L字のカウンターとハイサイドライトが光を広げる、「ととのう家」の2階LDKとインテリア
前編:サウナと外気浴テラスを結ぶスパエリア、「ととのう家」の1階に息づく癒しの動線
神奈川県茅ヶ崎市の旗竿地に建つ「ととのう家」。前編ではアプローチと外観を、中編ではサウナと外気浴テラスを結ぶ1階のスパエリアをたどってきました。全3回シリーズを締めくくる後編の舞台は、スケルトン階段を上がった先に広がる2階のLDKです。ダイナミックな開放感とサプライズ感を意識し、家具や窓、壁のすべてが連なるように配置された空間には、コンパクトな面積を感じさせない伸びやかさが息づいています。
L字に連なるカウンターが空間をひとつにつなぐ

階段を上がると、約20帖のLDKが広がります。この空間の要となるのが、キッチンカウンターからリビングのベンチへとL字型に連なる造作です。

調理をする場所、食事をする場所、腰かけてくつろぐ場所。本来なら家具ごとに分断されがちな役割を、壁に沿って伸びる一本のラインがゆるやかに束ね、視線が途切れることなく奥へと導かれていきます。

ダイニングテーブルもカウンターと同じ高さで連続し、キッチンに立つ人とテーブルを囲む人の目線が自然に揃う。家族の時間が一筆書きのようにつながっていく構成です。
ハイサイドライトと間接照明が描く、時間の移ろい

壁の高い位置には、3連のハイサイドライトが横一列に並びます。住宅密集地でありながら隣家の視線を気にすることなく、空の光だけをたっぷりと室内へ導く窓の配置です。

日中は白い天井が光を受けて空間全体を明るく満たし、夕暮れには折り上げ天井にまわされた間接照明が灯り、包み込むようなあたたかい表情へと切り替わります。

勾配のついた天井が光を奥までやわらかく運び、同じ空間が一日のなかで何度も表情を変えていく。カーテンを閉める必要のない暮らしは、それだけで開放感を生む。光の設計が、このLDKの心地よさを根底から支えています。
ブラックウォルナットが導く、落ち着きのトーン

足元には、ブラックウォルナットの無垢材が貼られています。深みのある木目が空間全体のトーンを引き締め、グレージュのキッチンやブラックのレンジフード、黒いフレームの家具と響き合いながら、ホテルライクな落ち着きをかたちづくっています。

人造大理石の黒い天板をもつキッチンは、リビング側からは家電や手元が見えないよう計画され、生活感を抑えたすっきりとした佇まいを保ちます。パントリーの黒い可動棚が収納力を受け持ち、美しさと実用性を両立させています。
ワークコーナーとフリールーム、暮らしにそっと寄り添う居場所

LDKの窓辺には、景色を眺めながら作業ができるワークコーナーが造作されています。在宅での仕事や子どもの学習など、家族の「ちょっとこもりたい」に応える場所です。LDKと同じ空間にありながら、視線の向きを変えるだけで自然と集中モードに切り替わる、程よい距離感が心地よい設えです。

さらに隣接するフリールームは、来客時のゲストルームにも、趣味の部屋にも姿を変える自由な空間。ロールスクリーンで仕切ればプライベートな個室に、開け放てばLDKと一体の大空間になります。暮らしの変化に合わせて役割を変えられる余白が、この住まいの長い時間を支えていきます。
癒しと日常が無理なく重なり合う住まい
L字のカウンターが家族の時間をつなぎ、ハイサイドライトが空の光を運ぶ2階のLDK。1階のスパエリアで身体をととのえ、2階の光あふれる空間で暮らしをととのえる。「ととのう家」は、癒しと日常が無理なく重なり合う住まいの姿を、旗竿地というコンパクトな敷地の上に描き出しました。ずっとそこで過ごしたくなる、帰りたくなる。住まいがもたらす豊かさを、あらためて感じさせてくれる住宅です。