建築家・隈研吾や金剛組などの巨匠のタッグで作られる世界初の邸宅「THE SILENCE – Furnished by ARMANI/CASA」
京都・上七軒。日本最古の花街として知られるこの地に、築200余年のお茶屋「旧 長谷川邸」が静かに佇んでいます。その空間に、世界的建築家・隈研吾、創業約1400年の歴史を持つ堂宮大工「金剛組」、茶室建築の名工「中村外二工務店」、京の庭師「御庭植治」——日本の伝統文化と建築文化を形づくってきた巨匠たちが初めて一堂に集結し、前例のない邸宅「THE SILENCE – Furnished by ARMANI/CASA」が誕生しようとしています。
「百年後の世界へ紡ぐ」という使命

この邸宅を手がけるのは、土地と住空間にコンセプトブランディングという視点を持ち込む株式会社フィードが主導する「THE TIMELESS CONDOMINIUM」プロジェクトです。日本が育んできた歴史・伝統文化・美意識を、邸宅というかたちで未来へと継承する試みであり、「旧 長谷川邸」を舞台にしたTHE SILENCEはその第一弾として位置づけられています。

単なる歴史的建物の保存でも、ラグジュアリーホテルへの転用でもありません。日本が世界に誇る技術を持つ匠たちの感性と技術で空間を丁寧に読み解き、過去・現在・未来が連続する「文化資産としての邸宅」を創り出すこと——それがこのプロジェクトの使命です。
隈研吾が選んだテーマ、「静寂」と「竹」

デザインスーパーバイザーを務める隈研吾が、この邸宅の全体テーマとして掲げたのは「静寂」です。京都・上七軒という土地の文脈にふさわしいこの言葉が、邸宅のあらゆる空間を貫く精神となっています。

その「静寂」を象徴するコンセプト素材として選ばれたのが「竹」でした。強さとしなやかさ、そして余白の美——竹が体現するこれらの性質は、日本人が長年美意識として育ててきたものです。

かつてジョルジオ・アルマーニ氏自身が日本の風景から深くインスピレーションを受けたと言われる背景とも共鳴し、ARMANI/CASAというイタリアのラグジュアリーブランドのインテリアと、日本的な美意識が交差する必然の接点として「竹」が機能しています。

日本とイタリア。東洋と西洋。伝統と現代。この邸宅はその二項対立を超えて、両者が静かに溶け合う場所として構想されています。
デザインスーパーバイザー:隈研吾 / 隈研吾建築都市設計事務所

1954年生まれ。1990年に隈研吾建築都市設計事務所を設立。慶應義塾大学教授、東京大学教授などを歴任し、現在は東京大学にて特別教授・名誉教授を務めるほか、多くの機関で教育・研究活動を推進。日本芸術院会員。木や石などの素材が持つ力や光の表情を繊細に引き出し、土地の記憶と工芸性を現代へとつなぐデザインを基軸に、住宅から文化施設、都市スケールのプロジェクトまで多彩に展開。自然・技術・人間の新しい関係を切り開く建築を世界へ問い続けている。事務所には国内外合わせて数百名に及ぶ多国籍の設計プロフェッショナルが在籍し、それぞれの才能が世界30カ国以上で新たな潮流を生み出している。近年では室内装飾や食器・家具・インテリアなどのデザイン領域をさらに広げ、現在も各地で数百を超えるプロジェクトが進行中。これまでに50カ国以上で手がけた建築群は、世界建築界の最高峰を象徴する存在として高い評価を受けている。
世界最古の企業「金剛組」が1400年の技術で空間を再定義

旧 長谷川邸は、京都に特有の「鰻の寝床」と呼ばれる奥へと深く伸びる構造を持つ、数寄屋造りの木造建築です。長年の増改築を繰り返したことで複雑化した内部の構造を丁寧に整理し、現代の住まいとして再構成する施工を担うのが、飛鳥時代に四天王寺の建立に関わったと伝わる「金剛組」です。

創業約1400年という、世界最古の企業として知られるこの堂宮大工集団は、日本の神社仏閣を作り守り続けてきた唯一無二の存在です。その金剛組が今回取り組んだのは、無数に存在していた柱をわずか2本にまで集約するという大胆な構造の再編です。伝統建築の美しい骨格を損なうことなく、広々とした優雅な居住空間を生み出すこの技術は、まさに1400年の蓄積なくしてはなし得ないものです。

エントランスには数寄屋造りの趣を受け継いだ吹き抜け空間を設け、上七軒通りから連続する石畳のアプローチが内部へと自然に続きます。黒竹を映す漆喰壁が訪れる人をしずかに迎え入れるこの設えは、「静寂」というテーマが建築の細部にまで宿っている証です。

バスルームもまた、この邸宅の哲学を体現する空間のひとつです。離れに設けられたバスルームは、外に広がる「生きた竹」と呼応するように設計されており、入浴という行為そのものが、景観と建築が一体となった自然との対話になります。
施工:金剛組

西暦578年創業。1400年以上にわたり日本の社寺建築を支えてきた、国宝級の技術を有する世界最古の企業。その起源は、聖徳太子の命を受けて百済から招かれた三人の宮大工にあり、その中の一人、金剛重光が創業者とされている。日本初の官寺である四天王寺の建立を皮切りに、法隆寺や五重塔など、日本社寺建築の原点となる建造物を数多く手がけてきた。創業以来、金剛組は「社寺の造形美を形にし、建物を護り、後世に引き継ぐ」ことを使命とし、幾多の戦火や災禍に見舞われた社寺の再建に尽力。木の仕口や継ぎ手といった高度な伝統技法を継承・発展させてきた。現在も、永く建物を護持し、時代を超えて誇りを持てる仕事をするという理念のもと、文化財の修復や寺社仏閣の建造に関わり、日本建築の伝統を未来へと繋ぎ続けている。
「中村外二工務店」の茶室、「御庭植治」の庭

茶室の施工を担うのは、裏千家・表千家・武者小路千家の三千家をはじめとする数多くの茶室建築を手がけてきた「中村外二工務店」です。茶の湯の空間が持つ、削ぎ落とされた美と緊張感——「静寂」というテーマにこれほど似つかわしい建築の語彙はなく、この邸宅における茶室は、日常の住まいの中に非日常の緊張を持ち込む「結界」として機能します。

作庭を担うのは、代々「植治」の名を受け継ぐ京都の名庭師「御庭植治」です。無鄰菴をはじめ、平安神宮の神苑など、数々の名庭を手がけてきたこの名家が、THE SILENCEのために紡ぎ出す庭は、建築と自然が一体となった空間体験の核心となるでしょう。京都という土地の気候・地形・光の性質を知り尽くした庭師の手によって、邸宅の内と外の境界が溶けていきます。
作庭家:御庭植治

19世紀後半から20世紀初頭にかけて近代日本庭園の礎を築いた、京都の作庭家・庭師一門。七代目・小川治兵衛(1860–1933)は、地形や水の流れを生かした自然主義的な庭園様式を確立し、近代日本庭園の発展に大きな影響を与えた。無鄰菴、平安神宮神苑、円山公園、南禅寺界隈の別邸庭園など数多くの名庭を手がけ、その一部は庭園分野で最高位とされる国指定名勝に認定されている。現在も十一代目当主・小川治兵衛のもと、次期十二代・小川勝章氏を中心に、国指定名勝をはじめとする文化財庭園の修復・維持管理、ならびに歴史的建築と調和する庭園の作庭に尽力し、京都の庭園文化を継承する存在として活動を続けている。
ARMANI/CASAとの邂逅——東洋と西洋が交わる室礼

この邸宅の名に冠されたARMANI/CASAは、ジョルジオ・アルマーニが手がけるホームコレクションブランドです。イタリアのラグジュアリーと日本の伝統建築がひとつの邸宅の中で共存するという試みは、世界的にも前例のないものです。かつてアルマーニ氏が日本の美意識から多くのインスピレーションを受けたという背景を思えば、この組み合わせは単なるコラボレーションではなく、長年の時を経てようやく実現した対話のように感じられます。
匠が集結することの、歴史的な意味

隈研吾・金剛組・中村外二工務店・御庭植治——これほどの顔ぶれが一つの邸宅のために集結するのは、歴史上初めてのことです。それぞれが日本の文化と建築を別々の領域で守り、磨き、次代へ伝えてきた担い手たちが、京都・上七軒のお茶屋という小さな土地に向き合い、一つの空間を共に立ち上げる。この出来事そのものが、文化的な出来事として記録されるべきものでしょう。

築200余年の木造建築が、1400年の技術と世界的建築家の思想と、イタリアのラグジュアリーの美意識を受け取って、次の百年へと歩み出す。「THE SILENCE – Furnished by ARMANI/CASA」は、そのような時間の連なりとして存在する邸宅です。
THE SILENCE – Furnished by ARMANI/CASA
デザインスーパーバイザー: 隈研吾
施工(堂宮大工): 金剛組
茶室施工: 中村外二工務店
作庭: 御庭植治
インテリア: ARMANI/CASA
所在地:京都市上京区 上七軒(旧 長谷川邸)