喧騒から離れた寛ぎの住まい——分譲地に建つ、光と壁が織りなす「1/fの家」
神奈川県の敷地面積130.45㎡(約39.46坪)の南北に長い敷地に、街並みの中でひときわ存在感を放つ住まいが誕生しました。
斜めに切り取られた壁面が生む、インパクトのある外観

外観を見渡すと、まず目に飛び込んでくるのは大胆に斜めへと切り取られた壁面です。グレーの塗り壁を基調とした外壁は、V字を描くように鋭角に開かれ、その隙間から玄関へとアプローチへと誘われます。昼間は青空を背景にシャープな影を落とし、夜はライトアップされた壁面が幻想的な表情を見せます。分譲地という均質になりがちな街並みの中で、この住まいは確かな個性と存在感を放っています。

この計画のコンセプトは、「1/fの家 〜喧騒から離れた寛ぎの暮らし〜」。1/fゆらぎとは、自然界に存在するリズムのことです。波の音や木漏れ日のように、規則的でも不規則でもない、心地よいゆらぎ。この住まいが目指したのは、そんな自然のリズムを日常の中に宿すことでした。
壁に囲まれながらも開放的な、中庭とデッキの外部空間

玄関へのアプローチは、斜めに傾いた2枚の壁の間を抜けていく独特の体験です。頭上には梁が架け渡され、その隙間から空が見えます。

閉じているようで空に向かって開いているこの空間は、訪れる人に日常から切り離されたような感覚を与えてくれます。

玄関を入ると、タイル張りの土間が広がり、充実したシューズクロークが設けられています。可動棚が壁面いっぱいに取り付けられ、家族4人分の靴や外出グッズをたっぷりと収納できます。足元には間接照明が仕込まれ、シンプルながら品のある玄関空間を演出しています。

1階のLDKは、大開口のサッシを通じて隣接するウッドデッキや中庭と一体的につながる設計です。隣地からの視線が届きにくくなるよう、高さのある塀と斜めの壁面で外部空間を囲みながら、空へと向かって開いています。

プライバシーを守りながらも閉塞感を感じさせないこの構成が、LDK全体に明るさと広がりをもたらしています。
「庭を隣地から見えにくくし、高さと開放感のある壁面で囲むことで、閉塞感を出さずにゆったりとした空間を楽しめます。軒下になる部分はキッチンダイニングから利用でき、休日は外で朝食を楽しむことも。リビングのベンチから庭を観賞したり、内部と外部を繋げることで暮らしを楽しむスペースを点在させました」と建築家は説明します。
コンクリート調キッチンと無垢フローリングが調和する1階LDK

LDKに一歩踏み込むと、その空間の豊かさに思わず息をのみます。朝日ウッドテックのライブナチュラルプレミアム(ブラン)を用いた無垢フローリングが床一面に広がり、柔らかな木の表情が空間全体を包み込みます。

キッチンはグラフテクト・デュエシリーズを採用しています。ピアノベトン(コンクリート調)の扉材とシルバーの取っ手が組み合わさり、無骨でありながら洗練された印象を与えます。アイランド型のカウンターはリビング・ダイニング側に向かって大きく開かれており、料理をしながら家族の様子を見渡せます。ダイニングには木天板の大きなテーブルが置かれ、Muutoのアンダーザベルペンダントライトが空間のアクセントとなっています。

キッチン奥にはパントリーが設けられており、食材や調理器具をたっぷり収納できます。充実したパントリーがあることでキッチン周りは常にすっきりとした状態を保つことができ、整然とした美しいキッチン空間が実現しています。

リビングの一角には、一段高くなったベンチスペースが設けられています。背面にはアーバイン(平田タイル)の大判タイルが張られ、間接照明が柔らかく壁面を照らします。ソファを置かなくてもこのベンチで寛げるように設計されており、庭に向かって視線が抜ける心地よい場所となっています。

スケルトン階段がLDKの中央部に位置し、空間のシンボルとして機能しています。踏板には床材と同色のホワイトアッシュが使われ、軽やかで開放的な雰囲気を演出しています。
建築家の提案するコンセプトが豊かな暮らしを実現
神奈川県の分譲地に建つ「1/fの家」は、斜めに切り取られた壁面が印象的な住まいです。プライバシーを守りながらも光と開放感を取り込む設計と、コンクリート調キッチンと無垢フローリングが調和するLDKが、豊かな暮らしを実現しています。