トラフ建築設計事務所・鈴野浩一が語る、今とこれからの「アドリブ」のあるデザイン。

毎週月曜日に放送される福岡のラジオ放送CROSS FM「ライフスタイルメディア #casa」では、2週に渡ってゲストと対談をしている。今回のゲストはトラフ建築設計事務所の鈴野浩一氏。彼自身が考えるデザインに関しての様々な話と、彼が「最高の環境」と語る空間とは一体?

トラフ建築設計事務所・鈴野浩一とは?

東京に拠点を置く「トラフ建築設計事務所」の代表。建築に止まらず、インテリア、展覧会の会場構成、プロダクトデザイン、空間インスタレーションやムービー制作への参加など幅広い分野に、建築的な思考をベースに取り組んでいる。

 

建築だけでなく、プロダクト制作などの広い活動幅

Via : TORAFU ARCHITECTS /写真:志鎌康平

元々、小さな頃から図画工作が好きだったという鈴野氏。「ものを作るということが好きで建築分野の道へ進んではいたが…」と話す彼の話を聞いていると、当初から視野にあったのは「建築」だけではなかったように感じる。

図画工作が好きだった少年からすれば「ものづくり」を建築だけでなく、プロダクトや家具、グラフィックも手がけているのは最早「当たり前」だったのだろう。

Via : TORAFU ARCHITECTS /写真:healthy(巽陽介)

「まずは建築に入って、大きいものを作る経験をしてから小さなサイズのものを作る方がいい」。自分がいかに「ものづくり」と向き合い、進みやすい順序は何かを考え、建築の門を叩いたのだ。

デザインには「アドリブ」を

Via : TORAFU ARCHITECTS /写真:Hua Wang

ライフスタイルメディア #casaでは、「暮らしの中で大切にしているデザインとは?」この質問からインタビューが始まる。鈴野氏は、自身の分野である「設計・建築」の活動の中で大切にしているデザインについて答えてくれた。

「図面を書き、作る人に伝える」。それが建築では当たり前になっているが、鈴野氏は図面を書いた後も、作っている現場・工場などへなるべく行くようにしているという。その場でも発想するようにすることで、見えてくる姿を大切にしているのだ。

Via : TORAFU ARCHITECTS /写真:長谷川健太

「決まったものをそのまま作るのではなく、生き物のように変えていく<アドリブ>を大切にしている」。その理念があるからこそ、美しく環境に溶け込むデザインが生まれているのだろう。

 

今後の暮らしの中のデザインは「デジタル→リアル」へ

Via : TORAFU ARCHITECTS /写真:小川真輝

今の暮らし方や、その中にあるデザインについて「もう少しリアルな実感が欲しい」と話す鈴野氏。

スマホを筆頭に様々なデジタル化が進んだ昨今。だが一方でキャンプブームやDIY、タイニーハウスなど、世の中がデジタルからクリニティブな方へ戻っているのは確かだ。

例えば、カタログからではなく「現物を見て判断したい」と感じることは多い。その状況を鈴野氏は「便利だがモヤモヤする」という。

Via : TORAFU ARCHITECTS /写真:阿野太一

同じ製品でも「タイルだけは手作り」などDIYの要素を入れる。改めてこういった、手でリアルに物を作るようなデザインが進んでいくのではないかと鈴野氏は考える。

Via : TORAFU ARCHITECTS /写真:鈴木竜一朗

実際に鈴野氏は、建築家を目指す学生に「ものづくり」を体験するDIY家具のワークショップを定期的に行っている。

鈴野が「最高の環境」と述べた至福の空間とは?

Via : TORAFU ARCHITECTS 写真:スタジオ・マッカ

建築、プロダクト、家具…様々な分野で活躍を見せる鈴野氏。そんな彼が好きな空間とはどのような場所なのだろうか?それはスバリ「サウナ」だ。彼自身が今ハマっているサウナは「一人になれる時間や、瞑想空間」が魅力的だそうだ。建築家の中でもサウナ友達がおり、サウナ巡りをしているのだという。

 

中でも話に上がったのは「デザインサウナ」。建築を軸に様々な物作りをする鈴野氏にすれば「建築と空間とサウナ」、この3つが同時に楽しめる空間は最高の環境。「いつか理想のサウナを建築してみたい」「理想のサウナが頭の中にいっぱいある」と実際に嬉しそうに話す口調からは、彼の笑顔が浮かぶ。いつか彼が手がけたサウナが誕生することがあれば、それは素晴らしいものになるに違いない。

【4/20】鈴野浩一さん(トラフ建築設計事務所)

後編:トラフ建築設計事務所・鈴野浩一氏とと共に辿る、自身の経験や活動や作品について。