トラフ建築設計事務所・鈴野浩一氏とと共に辿る、自身の経験や活動や作品について。

前編:トラフ建築設計事務所・鈴野浩一が語る、今とこれからの「アドリブ」のあるデザイン。

2週に渡り、ゲストとの対談を繰り広げる福岡のラジオ放送CROSS FM「ライフスタイルメディア #casa」。今回は、トラフ建築設計事務所の鈴野浩一氏をゲストに招いた2週目。今週はより深く、トラフ建築設計事務所の活動や作品について話してもらった。

オーストラリア・メルボルンでの実務経験で得た気付き

Via : TORAFU ARCHITECTS /写真:トラフ建築設計事務所

元々、日本を離れ1年間オーストラリア・メルボルンの建築事務所で働いていた鈴野氏。海外での実務経験を持つ彼は、外から日本の建築業界の様子を見たことで「日本は開かれているようで閉じている」と気づいたという。なぜならオーストラリアの建築について、日本にはその情報が全く入っていなかったのだ。

Via : TORAFU ARCHITECTS /写真:healthy(巽陽介)

島国ならではでもあり、「閉じている」からこその「洗練」はある。しかし外からもっと吸収しなくては勿体無い。

トラフ建築設計事務所を始めたキッカケ

Via : TORAFU ARCHITECTS /写真 : 池田晶紀

鈴野氏がメルボルンから日本に帰国してすぐ、トラフ建築設計事務所は後輩から設計依頼を受けたところから始まった。「名刺もないので事務所名を決めてくれとか…あれよあれよと会社を作っていった感じですね。」と答え、よしやるぞ!という感じではなかったという。

街を遊びたおす「路地裏オリンピック」

Via : TORAFU ARCHITECTS /写真:志鎌康平

オリンピック会場である東京。その大都市から遠く離れた山形県の路地裏を会場に開催された「山カップ<路地裏オリンピック>」。この展覧会作品+ワークショップを手がけたのが、トラフ建築設計事務所だ。

テーマは「新しいローカル競技をデザインする」。新スポーツ「ハットサル」「花笠テニス」「山形ピンポン」を考案した。

Via : TORAFU ARCHITECTS /写真:志鎌康平

この競技考案には、オーストラリアで感じたものがフィードバックされているという。例えばオーストラリアの環境には、公園に当たり前のようにベンチやBBQセットが常設されている。これにより、食材さえ自分で準備できれば、公園を自分たちのキッチンダイニングのように使えるのだ。

鈴野氏は、この「公園の拡張」が、路地裏オリンピックでの「街を遊んでしまおう」という思考に繋がったと話した。

グッドデザイン賞受賞作品「PLAYRING」

Via : TORAFU ARCHITECTS /写真:ジャクエツ

「PLAYRING」は、ジャクエツと協同開発した鉄製遊具だ。3つの大きなリングを組み合わせてあり、360度どの方向からも遊び始めることができる。

PLAYRINGのデザインには「完成されていない遊び」にポイントがある。敢えて余白を多く残すことで、こども達それぞれが「自分たちで創造性を発揮し、遊びを見つけていく」ことに繋がるのだ。

Via : TORAFU ARCHITECTS /写真:ジャクエツ

遊具でもあり、オブジェでもある遊具。自分で遊び方や捉え方を自由に生み出すことができるPLAYRINGは、遊具の新たな価値を提案している。

鈴野浩一の「LIFE IS 〇〇」

CROSS FM「ライフスタイルメディア #casa」では、対談の最後にゲストそれぞれの「LIFE IS 〇〇(人生とは)」を尋ねる。その質問に対し鈴野氏は「創作」と答えた。図画工作が好きだった鈴野少年。その頃から変わらなくそこにあるのは、まさに「創作」「ものづくり」への情熱、喜び、探求心だ。今回、その想いをインタビューを通して、我々も深く知ることができた。

【4/27】鈴野浩一さん(トラフ建築設計事務所)