「喜ばせたいし、驚かせたい」異業種コラボで注目される「NO COFFEE」佐藤慎介さんインタビュー

福岡・天神近くにお店を構えるコーヒーショップ「NO COFFEE」。さまざまな企業やブランドとコラボレーションし、多様なグッズ展開も魅力です。そんな「NO COFFEE」やドーナツと焼き菓子のお店「ON SUGAR」などを運営するのが、NO CORPORATION 代表取締役の佐藤慎介さん。注目を浴びるコーヒーショップを開業するまでの経緯や、これまでの展開について伺いました。

プロダクトづくりで意識しているのは「シンプルさ」

佐藤慎介
株式会社NO CORPORATION 代表取締役。おもちゃメーカーやアパレルメーカーに勤めたのち、2015年に「NO COFFEE」をオープン。多くの企業・ブランド・アーティストとのコラボグッズも展開し、コーヒーの枠を超えた取り組みが話題となっている。

まずは、#casaの定番の質問「暮らしの中で大切にしているデザイン」から。佐藤さん自身がシンプルなものが好きだったことや、世の中にはシンプルなデザインが好きな方が多いのではと思っていたことから、店づくりやプロダクト開発は“シンプル”をキーワードにしているそうです。1番落ち着く好きな場所・空間として挙げたのは、自身の事務所。自分専用の場所を作ったといい、そこが1番誰にも干渉されず、落ち着けるのだとか。

「NO COFFEE」の開業前はおもちゃメーカーやアパレル業界で働いていた佐藤さんですが、なぜコーヒーを選んだのでしょうか。コーヒーショップに転身する前は東京で暮らしていたといい、学生時代には学生の時に4年ほど某大手コーヒーチェーンで働いていたとのこと。それがコーヒーを好きになるきっかけだったそうです。

「コーヒー屋をやりたい気持ちは前から持っていましたが、将来落ち着いたらやりたい、くらいの感覚でしかありませんでした。15〜6年はコーヒーと関係ない仕事をして、その後独立を考えるタイミングで挑戦することに。やりたいとは思ったものの、普通のお店をやってもずっと業界にいる方には敵わないので、ずっとモノづくりに携わる仕事をしていた経験を活かして、自分らしさを出していくことにしました。好きなものと得意なものを掛け合わせて、オリジナルのグッズ展開をしようと思ったんです」

お店の場所に選んだのは、当時住んでいた東京ではなく“福岡”。福岡出身の奥様の影響から福岡に行く機会があり、個人経営のお店も多く、いい街だと思っていたそう。「東京では大きな企業が運営しているお店も多いと感じていたのと、最初は資金力もないですし…。東京に少し疲れたところもありましたが、ふと“福岡”の選択肢もあると思いました」と話します。天神など栄えた場所ではなく“平尾”を選んだのは、「中心でやりたくなかった」から。「目的を持ってきてもらえるところにしたい、と思っていました。かと言って離れすぎていない、天神からギリギリ歩けるくらいのエリアで探していた」といい、自身の足で土地探しをする中で、現在の場所を見つけたときにビビッときたのだとか。

当初の想像を超えて広がりを見せる、コラボグッズ展開

さまざまなブランドや企業とのコラボグッズを展開する「NO COFFEE」ですが、最初は今ほどおこなうとは思ってなかったそう。なんと、最初にお店をオープンさせたときには、オリジナルのミッキーマウスのTシャツも製作しています。コラボの相手を決める目安となるのは、純粋に面白いと思うかどうか。

「異業種のコラボレーションが面白いと思っています。いろいろと展開する中で逆にわからなくなってきているところもありますが、大事なのはお客さんに喜んでもらえたり、驚いてもらえたりするようなもの。1番印象的だったのは、5周年の時に作って頂いた非売品のuniformexperimentのTシャツですね」

Instagramをうまく活用した拡散力

「NO COFFEE」のInstagramは、6万人ものフォロワーを持つ人気アカウント。前職のアパレルからInstagramを使ってプロモーションしていたため、そのときからSNSの重要性は感じていたそうです。Instagramは、上手く使えれば誰でもお金かけずに情報を発信できるもの。当時、佐藤さん個人のInstagramには7000人ほどのフォロワーがいたそうで、「NO COFFEE」のローンチをお知らせして誘導を促したといいます。

「福岡という土地でお店をやっていてると、お店に来た人しか写真を載せられませんが、NO COFFEEでは最初からオンラインストアもオープンしていました。例えば、北海道の人がスマホケースを買って発信したら、北海道の人から拡散してもらえたり、または海外の人からのも発信も可能になる。そういった動きを本当に地道にやっていった結果、フォロワーも増えていきました」

LIFE IS PEOPLE

最後に「LIFE IS ◯◯」に当てはまる言葉を尋ねると、佐藤さんから出てきた答えは「PEOPLE」。「人との繋がりは、何をするにおいてもとても大切だと思う。今の自分があるのも、さまざまな人から影響を受けたことも大きいですし、お店をやる上でも人は大事。これからも縁や繋がりは大切にしていきたいですね」とお話してくれました。コーヒーという枠におさまらず、大きな展開を見せる「NO COFFEE」から、これからも目が離せませんね。