建築家・遠藤克彦による白い空間に柔らかく拡がる光が心地よい都市型住宅「横浜篠原町の家」

2022年2月に開業した〈大阪中之島美術館〉や公共建築賞にて優秀賞を受賞した〈豊田市自然観察の森ネイチャーセンター〉などの公共施設から住宅といった様々な空間設計を手掛ける建築家・遠藤克彦。遠藤による神奈川県横浜市の住宅街に建てられた「横浜篠原町の家」は、少ない開口から取り込んだ光を効果的に活用した空間が心地よい住まいです。

開口部が抑えられ、閉鎖的な印象の外観

via : http://www.e-a-a.jp/ photo : HIROSHI UEDA

建築は白い外壁に覆われ、屋根の一部が少し欠けた直方体のフォルムが特徴的な外観を持ちます。建築正面には玄関と縦に長い窓が一つあるのみで、ユニークな形状ながらも少し閉鎖的な印象を与えます。建築中央の繰り抜かれたように見える部分は、内部では梯子によって1階からアクセスできるロフトのような空間になっています。

白い空間がもたらす開放感と心地の良い光

via : http://www.e-a-a.jp/ photo : HIROSHI UEDA

閉鎖的な印象の外観と一変し、内部は壁、天井ともに白で統一されており、明るく開放的な印象を受けます。窓やトップライトなどところどころに設けられた開口部から差し込む光が白い空間によって柔らかく拡散し、朝日や夕暮れなどその時々の光を住宅内に取り込み、その時々で移り変わる光を楽しめます。部屋と部屋の間には扉を設けず開口とすることで視線の遮りを無くし、より広々とした印象となっています。様々な要素によって作られた、深呼吸をしたくなるような伸びやかな空間です。

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玄関を開いた先に広がる大きなワンフロア空間に配されたLDKでは、プライベートの時間はもちろんゲストと共に過ごす時間まで、用途に合わせた空間のアレンジが可能。模様替えもスムーズで、自由気ままに楽しめそうです。

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2階へ上がる階段は壁側に設けられた白壁の裏側に配し、さらに折れ曲がった先を壁と同様の白色で、薄いつくりとすることで軽やかな印象とし、LDKへの存在感を和らげています。白の空間に添えられた木の質感が、あたたかな雰囲気を生み出しています。

借景を取り込む豊かなプライベート空間

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階段を上がった2階の部屋は、大きな開口部から広がる自然とトップライトから差し込む日の光があたたかく心地の良い雰囲気となっています。夜になると月の光と小ぶりのシーリングライトの柔らかな灯りによって落ち着く空間に。コンパクトなスペースながら居心地の良い空間は、読書やお酒を楽しんだりと、お気に入りの場所となりそうです。

効果的な開口で光をうまく取り入れた、居心地の良さが魅力の住まい

閉じられた印象の外観とは一変した、明るく開放的な内部空間が魅力の「横浜篠原町の家」。少ないながらも効果的に設けられた窓やトップライトなどの開口部から差し込む光を柔らかく受け止め、拡散する白の特性を活用した住まいです。ロフトや折り返し階段などをLDKに差し込むことで、ワンフロアの空間ながら単調にならず、広々とした印象を保ちながらリズミカルで楽しげな住空間となっています。