富士山を一望できる、まるでガウディ建築のような天才染色作家・久保田一竹の美術館

山梨県・河口湖畔の絶好のロケーションに建つ「久保田一竹美術館」は、ミシュランガイドの中で三つ星を獲得し、紹介されている必見の美術館。今は亡き天才染色作家・久保田一竹がつくった着物や、彼が収集した世界各国のあーと作品が集約されている。

久保田一竹の世界観

室町時代の『辻が花染め』の小裂に魅了された一竹は、辻が花染めは手間がかり値段も高く売れないために廃れてしまったことを知り、代わりに“一竹辻が花”として自己流の辻が花を発展させた。

突如として現れる荘厳な門がお出迎えしてくれる。この久保田一竹美術館は庭や建物、世界各地で調達した美術品や雑貨の配置にいたるまで、久保田一竹の独自の審美眼で計画されていて唯一無二の存在。

この門はインドの古城に使われていた木製の扉を組み合わせて作られたもの。その両脇の鉄製のとぐろを巻くようなオブジェがあり、美術館に入る前から非凡なセンスに驚かされる。

そのエントランスをくぐると傾斜を活かした庭園になっている。久保田一竹の構想のもと、京都の造園家である北山安夫が作庭したそうだ。

ガウディ建築を彷彿とさせる新館

庭園を登っていくと美術館のチケットを売っている新館にたどり着く。

うねるような石張りの列柱が並ぶビジターセンターは、アントニ・ガウディの「グエル公園」を彷彿とさせる。山梨にいるのにバルセロナを訪れたかのような驚きだ。

上のテラスの手摺は同じくガウディの「カサ・ミラ」のようである。

代表作品の展示される本館

石舞台の上にそびえ立つピラミッド型の日本家屋で本館に向かう。中は久保田一竹の染色工芸品が数多く展示されている。内部は撮影禁止のこの展示スペースだが、求心的な空間作りで作品自体も綺麗で非常に見応えがある。

日本庭園の望める茶房

展示室の奥には、茶房がある。

大きなガラスの向こうには素敵な日本庭園が広がり、アジアの雰囲気と日本庭園の美の融合に癒される。

久保田一竹美術館の奥にあるもの

展示室の更に奥に進むと、洞窟が現れる。その中にあるのは、慈母像である。骨董品屋の息子として生まれた一竹は、関東大震災で両親の店の商品が全焼し、道楽商売ではなく自分の腕に技術をつけようと思うようになったのである。

 

インスタ映えする美術館としても知られる、この美術館。今もなお、人々から愛される美のセンスは、これからも不朽なのだろう。

久保田一竹美術館

開館時間:9:30~17:30
休館日:火曜日
入館料:¥1,300
電話:0555-76-8811
URL : http://www.itchiku-museum.com
住所:山梨県南都留郡富士河口湖町河口2255