彫刻家イサム・ノグチがデザインした「モエレ沼公園」とガラスのピラミッド 「HIDAMARI」

モエレ沼公園にそびえるガラスのピラミッドは、公園を象徴するモニュメントでもある。夏には美しい芝生で切り取られた青空を、冬には一面の雪原の美しさを味わえる。モエレ沼公園のガラスのピラミッドは、透明な面の集合体として、軽快な見え方を追求したデザインとなっており、2002年度グッドデザイン賞大賞を受賞している。

彫刻家イサム・ノグチと札幌

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イサム・ノグチは、詩人であり英文学者の野口米次郎と教師で編集者のレオニー・ギルモアとの間にロサンゼルスで生まれる。 幼少期を日本で過ごし、アメリカ、フランスで彫刻を学んだノグチは、彫刻家として活躍。東西の芸術精神を融合した、従来の彫刻の域をはるかに超えるランドスケープ・デザインを次々と発表。20世紀を代表する彫刻家のひとりとして知られている。

1988年3月、ノグチは長い間温めていた数多くのアイディアを実現するために、初めて札幌を訪れた。 札幌市はぜひ作品を設置して欲しいとあげたいくつかの候補地の中で、ノグチはモエレ沼公園を選んだ。ノグチがモエレ沼公園を訪れてから8ヶ月後の11月17日、ノグチの誕生パーティーではモエレ沼公園の2000分の1の模型が披露された。しかし、ノグチが急病により急死。モエレ沼を初めて訪れてから9ヵ月後のことだった。

ノグチの亡くなった翌年から本格的な造成工事がスタート。 ノグチが設計に参画した1988年からは17年後の2005年、モエレ沼公園はグランドオープンした。

公園の中心にそびえるピラミッド

全体は彫刻家のイサム・ノグチがデザインしてアーキテクト・ファイブが実際の設計をおこなっている。ガラスでできた幾何学が自然の中にあるようで美しい。ガラスで構成されたアトリウムは、「ピラミッド」と聞いたときに思い浮かべる四角錐状ではなく、一辺が51.2mの三角面と四角錐、立方体が組み合わされた複雑な形態となっている。

“HIDAMARI”の空間

ファサードだけでなく、内観もすっきりして独特なスケール感が美しい。ガラスのピラミッドは「HIDAMARI」という愛称がついていて、その名の通り、陽をたっぷり取り込める設計となっている。

外部の景色と一体化しているようだ。

最上階から見るとカーテンウォールの連続性が綺麗に見える。全面ガラス張りのピラミッドは、日差しの強い夏には温室のようになるため、環境に配慮して、豊富な雪を使った「雪冷房システム」を採用している。

モエレ沼公園

住所 : 〒007-0011 北海道札幌市東区モエレ沼公園1−1