建築家・石上純也が語る人間と自然のコミュニケーションのあり方の提案としての建築のあり方。

建築家・石上純也さんは2020年末、山梨の文化複合施設「清春芸術村」でアイスブロックを用いた作品「Hokuto Art Program vol.0」を披露した。積み上げた氷と炎による、大きな焚き火のようなその作品は、一瞬しか見ることのできない儚さも感じるもの。今の時期にこの作品が生まれた背景や、意図はどのようなものだったのだろうか。

一瞬で消える儚い作品

Ⓒ junya.ishigami+associates

お披露目されたのは、山梨県北杜市の小学校の跡地。北杜市にある美術館などで文化的催し物を開催する企画があり、そこに作品を作ることになったという。北杜市は標高が高くて寒く、夜になると人工衛生が見えるくらい星が綺麗で、自然が豊かな場所。「2020年は大変な年だったので、そんな1年を締めくくる年末の行事として、日本人の心の中に響くようなものを作りたかった」と話す。

そうして生まれた作品は、氷の大きな壁が火でだんだんと消えていくような、ある見方によっては儀式やお祭りのようにも見えるもの。建築のようなものが徐々に崩れていく姿に、何か神秘的なものや1日で終わってしまう儚さを感じられる。「火が上にのぼっていき、氷が地面に帰っていくような…そんな全部が戻っていくような感じで製作した」と語ってくれた。

建築とは人間と自然のコミュニケーション

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そんな石上さんは「アートビオトープ『水庭』」の他にも、石のプレートを重ねて屋根にしたり経年劣化した洞窟を人工的に作ったレストランなど、自然を建築で作っているイメージがある。建築と自然の関係性についてどのように感じているか尋ねてみると、次のように話した。

「建築は必要とされる理由は、そもそもは人間を厳しい自然環境から守るという目的から始まっていると思う。でも今は人間が自然に与える影響も大きくなりつつあるため、今は自然から人間を守るだけだけではなく、自然と人間とのコミュニケーションをうまく建築として何か考えられないか、という思いがある。単に自然をプロテクトするのではなく、人間と自然のコミュニケーションのあり方の提案として、建築があるのではないか」

コロナ渦でアプローチはどう変わる?

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当たり前の生活が、当たり前でなくなった2020年。今の流れはしばらく続くように思われるが、コロナ渦によって、建築のアプローチも変わってくるだろう。石上さんは「こういう状況になって改めて、街中で暮らすことを考え直さなければいけない」と語る。

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今は簡単に人と集まることができなくなったり、会社にすら行けずに家で仕事をしたりと、状況が変化しているが、そんな生活の中に「どうやって屋外環境・自然を取り込むか」が重要とのこと。「1日中閉ざされて仕事や生活をすると、閉鎖的な世界になりかねない。室内に屋外的な要素を取り込んで、快適に生活していけるかと考えなければいけないのでは」と話した。

建築家・石上純也の「LIFE IS ◯◯」

そんな石上さんにとって「LIFE IS ◯◯」とは。「人と自然は一体的で、共に生活を作っていくものだと思う。だから、LIFE IS ネイチャー」とまとめた。