プリツカー賞受賞の建築家ドーシが手掛けた大学「CEPT」

インドには芸術的なデザインや歴史的に価値の高い建造物が数多くあります。2017年にユネスコによって世界遺産都市に認定されたインドのアーメダバードは、インドで初めて都市そのものが世界遺産登録されました。

プリツカー賞を受賞した世界的建築家バルクリシュナ・ドーシ

Via: Wikipedia.

アーメダバードあるCEPT大学は、インド出身の建築家バルクリシュナ・ドーシによって設計されています。

インド西部の街アーメダバードに事務所を構える1927年生まれの現在90歳を超える世界的な建築家となったドーシは、かつてパリのル・コルビュジエの事務所で働いていた。独立後は、建築家としての活動以外にも、出身地であるインドの人々のライフスタイルをより豊かにするための都市設計や教育などにも仕事の一つとしていました。

ドーシは建築界のノーベル賞と呼ばれるプリツカー賞を2018年に受賞し、審査員に「質が高く信頼性のある建築を通して母国や国民に貢献したいという思いや責任感から、公共機関や教育・文化機関、個人住宅など数々のプロジェクトを手掛けてきた」と高く評価されています。

ドアのない教育がコンセプトのCEPT大学

70年間に渡る建築活動の合間にドーシは、自ら手掛けたこのCEPT大学の初代校長を務めているのです。このCEPT大学は数多くある彼の建築物の中でも代表作で、現在でも多くの学生が通います。

CEPTのコンセプトは「ドアのない教育」。

CEPT大学は仕切りがなく常に外の空間と繋がっているのです。これは大学のコンセプトでもある「ドアのない教育」にも関係していますが、近代建築の機能美としての一面でもあります。もちろんル・コルビュジエの影響を受けていることは明らかでしょう。

このエリアはスタジオになっています。インドは厳しい猛暑で、さらに雨季には毎日雨が降り、乾季には気温が45度を超えるそうです。しかし、教室同士の壁がないため風通しが非常に良く、それほど暑く感じません。風の通り道を作り、熱が籠らない設計にすることで猛暑でも過ごしやすい空間になっているのです。

コンクリートを使用した建築によって生まれたピロティには休み時間に多くの人がリラックスするために訪れ、公園のような雰囲気。

レンガで作られた日除によって日陰が生まれるようになっています。こんな些細なところにも、インドの文化を熟知し、熟考しているからこそ生まれるドーシの配慮が感じられます。

建設される場所の文化を考えた上で計画することがドーシの建築の共通点であり、これによって環境や社会構造にも影響を与えたことがプリツカー賞受賞の評価にも繋がっているのです。

CEPT university