アルヴァロ・シザが初期に手掛けた大西洋を望むポルトガルのレストラン「ボア・ノヴァ」

アルヴァロ・シザが初期に手掛けた、ポルトガルの「ボア・ノヴァ・レストラン」。周囲より少し小高い、海岸線沿いに位置しているレストランだ。

岩場の絶景に佇む「ボア・ノヴァ・レストラン」

屋根は薄く建物の高さが抑えられているので、通り沿いからは、エントランスへ続く階段と白い壁だけが浮き出るような見え方になっている。

大西洋を臨む岩場の絶景に、溶け込むように佇んでいる様子が美しい。ポルトガルらしいオレンジ色の屋根が、周囲とのコントラストで対比的にデザインされている。

レストランの向かいには、写真の小さなチャペルが建っている。

アルヴァロ・シザ自身のこだわりを体験できる空間

海岸線と調和する外観も素晴らしいが、さらに驚かされるのは内部空間。エントランスを入ると、自然に視線が海岸線につながる開口部へとつながる。

内部空間は、シザ自身が家具やインテリアの隅々までデザインしたこだわりの空間だ。

海岸線へと伸びる屋根の軒が、気持ち良い空間を作り出す。木張りの天井とコンクリートの柱の対比、開口部の開け方など、ここでしかない空間体験の装置がデザインされている。

木が飛び出たディテールがアクセントになったり、間接照明になったりと驚かされる空間。地形と一体になるような構成は、アメリカ・フェニックスにあるフランク・ロイド・ライトの「タリアセン・ウェスト」にも通じるものも感じられる。

テラス席に出てみると強風が吹いていたが、海岸線と軒が続く風景がいい感じ。

もう1つのレストランスペースは、海岸線に対してさらにオープンな感じ。ランチではあまり使われていないらしいが、貸切パーティーなどにはちょうどいい空間かもしれない。

床と天井に交わるコンクリートの柱の対比が、荒々しくていい。椅子やテーブルなど家具ひとつひとつが空間に合っていて、特に窓際のテーブル席は居心地が良さそうだ。

トイレやスタッフルームに続くエントランス脇のスペースは、ビルトインタイプのソファが設置して合って、有機的に建築とつながっているデザイン。こう言ったところにも、ライトの建築らしさが感じられる。

世界に無数にあるレストランの中でも、これほど素晴らしい建築のレストランはないかもしれない。

Casa de Chá da Boa Nova – Chef Rui Paula – ボア・ノヴァ・レストラン
営業時間:12:30~15:00/19:30~23:00
定休日:日・月曜日
電話:+351 22 994 0066
URL : http://www.casadechaboanova.pt
住所:Avenida da Liberdade nº 1681, 4450-718 Leça da Palmeira, Porto, Portugal