なぜドイツ・フライブルク市「ヴォーバン地区」は世界最先端のエコタウンなんですか?

日本にはエコタウンやエコヴィレッジと呼ばれる街が幾つか存在するがそこまで成功している事例は少ない。

一方、環境先進国のドイツ南西部フライブルク市には「ヴォーバン地区」という世界最先端のエコタウンがある。

今回この「ヴォーバン地区」を訪れリサーチすることができた。

再生可能エネルギーを選択した住民達

die-solarsiedlung-von-westen(c) Rolf Disch SolarArchitektur www.rolfdisch.de

1969年に原子力発電所の建設計画が持ち上がったが、地域の環境確保のためフライブルク市民は原子力ではなく再生可能エネルギーを選択した。

さらに1986年4月にチェルノブイリ原発事故があったことがきっかけになり、フライブルク市議会で化石燃料や原子力ではなく太陽光や太陽熱を利用した「ソーラーシティ・コンセプト」を掲げて消費電力量の10%は再生可能エネルギーでまかなうとしている。

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ソーラーシップという太陽光パネルが設置されたオフィスや商業施設、集合住宅の複合施設の周辺には「パッシブハウス」と言われる新しい住宅の考え方で建てられた家が立ち並んでいる。

その様子は単に「エコ」と片付けられるだけではなく、そのカラフルな街並が表すように生き生きとした生活が想像できる。

自然との共存する街作り

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この地区を歩いていて驚くことはすごく緑が多いということと、子供が多いということがある。

街路樹が申し訳なさそうに立っているのではなく、街も住宅の敷地内も関係なく緑が生い茂っていて、複数の住宅が有機的な関係性を持っているように見える。

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道路と庭の間に1.5mの緑地緩衝帯が設けられ、それを住民が管理する「緑地の里親制度」が導入されているため周辺環境が適切に整えられていた。

それに加えて住宅毎に外壁の素材が異なり、一つ一つの住宅がとてもユニークでそれが賑やかな空気を作っている。

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カラフルで様々な素材の外壁の建築の合間には子供達が良く遊んでいて、日本では中々見ない風景だと思った。

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住宅街裏の森林公園にも乗馬などで楽しむ子供たちでいっぱいで、常に住民の気配がするから治安も良い。

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広場ではマルシェが開かれていてオーガニックな野菜や果物、自家製のジュースやワインが売られていてどれも美味しい。

こういう街にはマルシェは良く合う。

トラムを中心とした公共交通とヒューマンスケールの移動方法

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「ヴォーバン地区」ではマイカーによる移動は大きな通りに限定されていて、ガレージなどは住戸には装備されていない。

その代わり、大きな駐車場がありそこに住民の車がまとめて収められている。

自動車が路地に侵入することがないため、そういった場所は子供達が遊べる空間になっている。

街の中心の通りには緑地化されたレールの上を走るトラムが貫いていて合理的だ。

 

「ヴォーバン地区」が最先端のエコタウンと言われるのは、全体的な街の計画とそれを意識の高い住民たちが上手く活用することで成り立っていた。

それは住民が「パッシブハウス」のようなソーラー発電や「緑地の里親制度」によって行政コストを抑えていることからも伺える。

行政や地域と分かれている日本から見ると、フライブルク市民の成熟度に感心する。