70以上の窯が集まる読谷村の「やちむんの里」近くのカフェ&ギャラリー「Tou café and gallery」

独自の食文化が魅力の沖縄。泡盛やソーキそばなど、ユニークなメニューが多い中で、それらの食事を一層引き立ててくれるのが、沖縄の焼き物「やちむん」の器たち。琉球王国の時代から続く歴史ある伝統工芸品でもある「やちむん」は、沖縄の家庭でも茶碗や皿などの日用品として使われているほか、素朴で温もりを感じる風合いで沖縄旅行のお土産としても人気です。沖縄本島の窯元としては、那覇市の壺屋と、そこから分かれた読谷村(よみたんそん)、座喜味(ざきみ)にある「やちむんの里」が有名です。

そんな読谷村のやちむんの里から程近く、素敵なやちむんと、美味しい食事を楽しみながら一息つけるカフェ「Tou café and gallery」は、観光に訪れる人にはもちろん、地元の人にも人気のスポットです。

やちむんで楽しむ食事が魅力のカフェ&ギャラリー

2017年にオープンした「tou cafe and gallery」。ランチやスイーツが楽しめるカフェと、ギャラリーから構成されており、ギャラリーでは、陶工・松田米司さんの作品を中心に展示・販売しています。

お店は、伊良皆の住宅街のなかにあります。建物は福岡を中心に活動されている 建築家・二宮隆史さん、清佳さん夫妻が設計を手掛けました。

大きさの違う四角いコンクリートの箱を3つ組み合わせた構成となっており、現代美術館のようなコンクリートの外壁は、モダンな印象を与えます。

店名である「tou」という言葉には、陶器の“陶”のほかに、二つの意味が込められています。一つ目が、「問う」。「どうやって色を付けるんだろう?」「どうやってこんな形にするんだろう?」と、やちむんに対して問うことを楽しんでほしいという想いが込められています。二つ目が、「答」。それらの疑問を静かに考えたり、時には尋ねたりして、答えを見つけてほしいという想いです。

木のぬくもりがあたたかい印象の店内

ガラス張りの扉を開き中へと入ると、まずはカフェスペースが広がります。

外見とは一変、木の家具があたたかく、落ち着いた雰囲気を作り出しています。

入り口右手のカウンターを横手に、奥の通路を進むとギャラリーがあります。

お茶碗や、湯のみ、一輪挿しなど、様々なやちむんが展示されています。天窓から明るい光が降り注ぎ、気持ちの良い空間で作品を鑑賞することができます。ギャラリーでは作品の鑑賞のほか、購入も可能。気に入った作品をお家に持って帰ることもできます。

ここでしか手に入らない貴重な作品から選べる楽しみ

米田さんは明るくやわらかな赤色の絵付けを得意としており、同店に並ぶやちむんにも、赤の絵付けを施したものが多く見られます。赤絵のやちむんは、一度焼成したあと、絵付けをしてから再び窯に入れて焼き上げます。職人が一つひとつ手描きで仕上げるため、それぞれに表情が異なります。

米司さんの作品は数が少なく、ほかのお店にはあまり卸していないのだとか。ここでしか手に入らない作品や、他店では見られない変わった作品に出会えるのも「tou cafe and gallery」の魅力と言えそうです。ギャラリーのみの訪問も可能なので、気軽にふらっとお店を覗いてみるのいいかもしれません。

多くの陶房が連なる「やちむんの里」も一見の価値あり

カフェが位置する読谷村は、70以上の陶房が集結するやちむんの聖地。

そんな読谷村の山あいにある「やちむんの里」は、19の個性豊かな工房やギャラリーが軒を連ねる工芸の村です。エリアには3つの登窯があり、中でも「読谷山焼共同窯」は、赤煉瓦と空の色のコントラストが目をひくシンボリックな存在です。

それぞれがアトリエで制作を行うほか、敷地内にある共同登窯を使用した陶器「読谷山焼」の制作も行われています。

「読谷山焼共同窯」で制作されたやちむんを販売しているのが、「読谷山焼窯共同売店」。比較的ベテランの作品が多く、伝統的なモチーフやデザインのものが多く見られます。

琉球・沖縄の文化を感じられる「やちむんの里」と「Tou café and gallery」

個性豊かな作品を一同に見て回れる場所として、やちむんファンに親しまれている「やちむんの里」。「Tou café and gallery」と合わせて、緑豊かな自然と、赤瓦の登り窯など風情ある景色を眺めながら工房巡りを楽しむのもおすすめです。

tou cafe and gallery
所在地 : 読谷村字伊良皆578番地
営業時間 : 11:00-18:00
定休日 : 月・日曜日
TEL : 098−953−0925
アクセス : 沖縄県路線バス 伊良皆バス停留所から徒歩5分