アルネ・ヤコブセンの知られざる名作「Tongue Chair」が復刻。FRITZ HANSENから世界で唯一、日本で発売開始!
デンマークを代表するデザイナー、アルネ・ヤコブセン。セブンチェアやアリンコチェアの名を知らない人はいないほど、その仕事は世界中の暮らしに深く根を下ろしています。そんなヤコブセンが1955年にデザインした一脚が、約70年の時を経て復刻されます。フリッツ・ハンセンは、「Tongue Chair(タンチェア)」を2026年8月7日より、世界で唯一、日本のみで発売開始します。販売はACTUS限定。名作の陰に隠れてきたこの椅子が、いま静かに再評価されようとしています。
小学校のために生まれた、「トータルデザイン」の結晶

タンチェアの出自は、少し意外な場所にあります。この椅子は、ヤコブセンが設計を手がけたデンマークのムンケゴー小学校のために生まれたチェアなのです。

ヤコブセンの仕事を語るうえで欠かせないのが、「トータルデザイン」という思想です。建築の設計だけで完結させるのではなく、家具、内装、照明、そしてカトラリーやドアハンドルに至るまでを一体で設計する——その徹底した姿勢が、彼のプロジェクトを唯一無二のものにしてきました。タンチェアもまた、この思想のもとで開発された一脚です。
成形合板による一体型シェル、そして無駄を削ぎ落としたシンプルなフォルム。子どもたちが日常的に使う椅子という前提のもとで導き出されたこの形は、装飾を必要としない機能美として結実しました。ヤコブセン初期のデザインを象徴する存在として、いまなおその輪郭は鮮やかです。
教室からホテルのバーへ。空間を選ばない普遍性

タンチェアが興味深いのは、そのフォルムが小学校という限定的な文脈を軽々と超えていった点にあります。

このチェアはその後、SASロイヤルホテルのバーでも採用されました。ヤコブセンが建築から家具、テキスタイル、食器に至るまでを手がけた、20世紀モダニズムを代表するホテルです。子どもたちが学ぶ教室と、大人が夜を過ごすホテルのバー。まったく異なる二つの空間で、同じ椅子が違和感なく機能したという事実は、このデザインが持つ普遍性を何より雄弁に物語っています。
公共空間からホスピタリティまで、幅広いシーンで活躍してきた背景には、余計なものを持たない形の強さがあります。主張しすぎず、しかし確かな存在感を放つ——その絶妙なバランスこそが、タンチェアの本質と言えるのかもしれません。
現代のインテリアに寄り添う、カラードアッシュ仕上げ

今回の復刻では、オリジナルデザインの美しさを受け継ぎながら、現代のインテリアに馴染むカラードアッシュ仕上げが採用されました。

木目の表情を残しながら色を纏わせるカラードアッシュは、木という素材の温もりと、フラットな色面の軽やかさを両立させる仕上げです。オリジナルの持つプロダクトとしての強さを損なうことなく、現代の住空間により自然に溶け込む佇まいへと更新されています。

カラーは、ホワイト、ブラック、オリーブグリーンの3色展開です。ホワイトは空間に軽さを与え、ブラックは引き締まった輪郭を際立たせます。そしてオリーブグリーンは、木や土のトーンと響き合いながら空間に落ち着いた彩りを添えてくれる、今回のラインナップの中でも特に印象的な選択肢です。ベースはクローム仕上げ。細いスチールの脚が、成形合板のシェルを軽やかに支えます。
住宅からオフィス、商業空間まで幅広く使用できる仕様へとアップデートされており、ダイニングチェアとして、あるいはデスクチェアや玄関の一脚として——使い手の空間に応じてさまざまな役割を担ってくれるはずです。
「知られざる名作」を、いま日本から
セブンチェアやアリンコチェアほど知られてはいないものの、タンチェアはアルネ・ヤコブセンのデザイン思想を色濃く映し出す一脚です。むしろ、有名になりすぎなかったからこそ、その造形の純度が保たれてきたとも言えるでしょう。
約70年の時を経て現代によみがえったこの復刻モデルを通じて、フリッツ・ハンセンは、時代を超えて受け継がれるデザインの価値をあらためて提案します。1872年の創業以来、デンマークのデザイン文化を支え続けてきたブランドが、いま日本の市場に向けてこの一脚を送り出すという事実そのものが、日本におけるヤコブセン人気の深さを示しているようにも感じられます。
価格は65,780円(税込)。2026年8月7日からACTUS新宿店で先行発売され、今秋からはACTUS各店およびACTUSオンラインショップでも取り扱いが始まります。北欧デザインの名作を、日常の中に迎え入れる——そんな選択肢が、また一つ増えました。