吉田愛・谷尻誠が率いるSUPPOSE DESIGN OFFICEがデザイン監修の「THE GRANDUO FUTAKOTAMAGAWA SEED」

丸子川のほとりに、緑が積層する建築が完成しました。株式会社フェイスネットワークが手がけるテナントビル「THE GRANDUO FUTAKOTAMAGAWA SEED(ザ・グランデュオ フタコタマガワ シード)」が、2026年6月25日に竣工しました。二子玉川駅から徒歩5分、駅前の商業エリアを抜けた先、丸子川に寄り添う立地に生まれたこの建物は、吉田愛・谷尻誠が率いるSUPPOSE DESIGN OFFICEのデザイン監修のもと、「建築によって都市に自然を還元する」というコンセプトのもとに計画されました。

植物が「外側」を覆う——自然と建築の境界を曖昧にする設計

SEEDの外観を最初に印象づけるのは、その豊かな緑の量です。積層する各フロアのファサードには、キングプロテアやブラシアなど南国をテーマにした約45種類の植栽が帯状に組み合わされており、緑がダイナミックな景観をつくり出しています。まるで建物の表皮そのものが植物へと変わっていくような、力強く有機的な外観です。

外壁には、粒立ちのある素材感が際立つ「リタメイト仕上げ」を採用しています。洗い出し風の肌触りを持つこの仕上げは、丸子川に隣接する敷地の自然環境と響き合い、コンクリートという無機的な素材に土地の温度をもたらしています。

環境への配慮は外観の演出にとどまりません。株式会社イケガミが開発した特殊土壌「アクアソイル」を採用することで、雨水を効率よく保持する高い保水力を実現。都市のヒートアイランド現象の緩和にも貢献する、実質的な環境設計が建物に組み込まれています。

自然光が満ちる内部——開口部と吹き抜けが生む明るさ

建物の内部は、外観とは対照的に、光と開放感を軸に設計されています。柱と梁の最大寸法で確保した開口部が、各フロアに自然光を最大限に引き込みます。丸子川のせせらぎが感じられるよう、テラスやバルコニーを設け、通りに面した南東側を中心に植栽を配置することで、さまざまな方位から自然を感じられる計画となっています。

なかでも特徴的なのが地下階の設計です。通常、地下空間は採光の確保が難しく、どうしても閉塞感が生じやすい。SEEDでは地下階の天井高を他の階よりも高く確保した上で、吹き抜けと天窓を設けることで、外光が届く明るい空間を実現しています。地下でありながら自然の光を感じられるという体験は、「建築によって自然を還元する」というコンセプトが地下という難条件においても一貫していることを示しています。

SUPPOSE DESIGN OFFICE が二子玉川で問い続けること

SUPPOSE DESIGN OFFICEは、広島と東京を拠点に、住宅・商業施設・公共空間など多岐にわたるプロジェクトを手がけてきました。機能と美しさを兼ね備えた空間づくりに定評があり、国内外で多数の賞を受賞しています。「植物の特性を深く理解し、自然と建築の関係を一貫して探求してきた」という言葉が示すように、同スタジオにとって植栽は装飾ではなく、設計の根拠です。

谷尻誠は「建築」と「事業」をブリッジさせながら活動する建築家として知られています。「絶景不動産」「DAICHI」「yado」など多分野での起業を重ねる一方、設計と経営を横断する視点で建築の社会的役割を問い続けてきた人物です。吉田愛はインテリアから住宅・複合施設まで幅広いプロジェクトで受賞歴を持ちながら、空間プロデュースやインテリアスタイリングを事業の核とする「etc inc.」を設立するなど、建築の枠を超えた活動を広げています。ふたりが共同主宰するSUPPOSE DESIGN OFFICEとしての設計は、こうした多層的な実践の蓄積の上に成り立っています。

「SOIL」から「SEED」へ——二子玉川を舞台にしたシリーズの展開

SEEDの完成は、このプロジェクトが単独のビルの竣工を意味するのではないことを示しています。今回のSEEDに先立ち、2026年3月には「THE GRANDUO FUTAKOTAMAGAWA SOIL(ソイル)」が同じ二子玉川エリアに完成しています。SOILもまたSUPPOSE DESIGN OFFICEのデザイン監修のもと、「都市と自然の融合が生み出す新たな価値」をコンセプトに掲げた建築です。

SOIL・SEEDという2つの名前は、大地(土壌)と種(種子)という植物の成長サイクルを象徴しています。連続したコンセプトで開発されたこのシリーズは、二子玉川という、多摩川の自然と都市的な商業が交差する街において、建築が継続的に緑の彩りと賑わいを生み出し続けるという意志の表れです。日々姿を変えていく植栽とともに、建物自体も時間の経過とともに深みを帯びていく——そのような長い視点を持ったプロジェクトです。

THE GRANDUO FUTAKOTAMAGAWA SEED

アクセス:東急電鉄田園都市線 二子玉川駅 徒歩5分
構造:鉄筋コンクリート造 地上4階・地下1階建
用途:テナントビル(事務所×1/店舗×3)
敷地面積:224.44㎡/延床面積:546.46㎡
デザイン監修:SUPPOSE DESIGN OFFICE
設計・監理:株式会社杉浦建築設計事務所
建築・施工:株式会社岩本組
竣工:2026年6月25日
詳細情報:thegranduo.com/futakotamagawa-seed/