心が動くものを長く愛でる──ファッションデザイナー・野口アヤが考える「豊かな暮らし」

前編:築100年の日本家屋から発信する美意識──ファッションデザイナー・野口アヤが語る「古いもの」の魅力

ファッション、インテリア、アートなど、ジャンルを軽やかに横断しながら心地よい暮らしのヒントを発信するファッションデザイナーの野口アヤさん。自身のブランドを通じて自然や社会に配慮したものづくりを実践するほか、東京の築約100年の日本家屋と海辺の家を行き来する2拠点生活を送っています。今回は、野口さんが取り組むサステナブルな服づくりや、自然と都市を行き来する生活のリズム、そして彼女が考える「豊かな暮らし」のあり方に迫ります。

環境に配慮したサステナブルな服づくり

Via : @ayanoguchiaya

野口さんの立ち上げたブランドでは、オーガニックコットンやリネンの使用、ヴィンテージパーツのアップサイクルなど、自然や社会に配慮したものづくりを大切にしています。

「オーガニックコットンやリネンの生地はここ数年でだいぶ種類も増えたんですけれど、最初使い始めた頃は本当に選べるものが少なくて。好きな質感に仕上げるために何度も加工を試したりと、色々試行錯誤していましたね」

また、デザイン性と環境への配慮を両立させるために、このような工夫も楽しんでいると言います。

「プラスチックのパーツや金属のパーツなど、燃えないゴミになってしまう素材は極力使わないようにしています。それらを使わないデザインで、なおかつ現代的なデザインを考えるというのは、もう結構楽しい作業になっていますね」

自然と都市を行き来する2拠点生活のリズム

Via : @ayanoguchiaya

東京の拠点とは別に、20年ほど前から海の近くにも家を構え、2拠点生活を実践している野口さん。自然の近くで過ごす時間は、日々の感覚に大きな影響を与えているそうです。

「やっぱり自然の中に身を置くことはすごく心地よくてリフレッシュできます。東京でアートやファッションの仕事をして、休みの日に海の近くに来ると、細胞が全部入れ替わるような『動物的な感覚』が蘇ってくるんです」

このオンとオフの切り替えは、クリエイションにも良い相乗効果をもたらしています。

「また都内に戻ってアートに触れたりすると違った見方ができたり、それがもっとよく見えたりする。生き物的な感覚が動員されやすくなるような気がしています」

日々の学びを生かし、100年の家を磨き上げる

Via : @ayanoguchiaya

大学時代にアートとファッションの境界線を学んだ野口さん。今後の展望について伺うと、日々の暮らしを大切に育てていきたいという等身大の言葉が返ってきました。

「今やっていることをしばらくはやっぱり続けて、また色々見えてくることとか学びは本当に日々あるので、それを生かしつつ続けていきたいですね。もう100年の家もどんどん古くなっていくので、そこも大事に大事に磨き上げていきたいと思います」

「Life is Wonder」心が動く瞬間を大切に

最後に、ハッシュカーサ恒例の質問「Life is ◯◯」への答えを伺いました。

「 “Wonder” でしょうか。ワンダーというのは、心が動く瞬間だったりで、それを大切にし続けるという意味かなと思います」

自身の感性に正直に、日々のときめきや感動を見逃さない。そんな野口さんの飾らないライフスタイルは、私たちがこれからの時代を自分らしく、心地よく生きるためのヒントに溢れています。