築100年の日本家屋から発信する美意識──ファッションデザイナー・野口アヤが語る「古いもの」の魅力
ファッション、インテリア、アートなど、ジャンルを軽やかに横断しながら心地よい暮らしのヒントを発信するファッションデザイナーの野口アヤさん。今回は、渋谷区にある築約100年の日本家屋を拠点に活動する野口さんに、ご自身の暮らしや空間へのこだわり、そして長く愛されるアートやものづくりへの思いについてお話を伺いました。
ファッションデザイナー・野口アヤ

東京都出身。武蔵野美術大学卒業。複数のファッションメゾンでデザイナーとして経験を積み、2000年に独立。夫・チダコウイチ氏とともにブランド運営を開始する。代官山の築約100年の日本家屋を拠点に、ライフスタイルショップを経て、2017年にはアートギャラリー「SISON GALLERy」へとリニューアルし、ギャラリーディレクションを手がける。2020年より自身のブランド「ayanoguchiaya」をスタート。ファッション、インテリア、アートを横断しながら、日本家屋での暮らしや美意識を発信し、NHK Eテレ「心おどる あの人のインテリア」などのメディアにも出演している。
心からくつろげる空間とアートの融合

まず最初に、野口さんが暮らしのなかで大切にされているデザインについて教えてください。
「暮らしとなると家がメインになると思いますが、私は『心からくつろげて、心から好きなものに囲まれる』ということを一番大切にしています。私の場合、アートを扱っていたりインテリアが好きだったり、もちろんファッションもですが、デザインも含めた『質感』というものにこだわっていると思います」
ご自宅でのアートの飾り方にも、独自の視点があるそうです。
「上の辺や下の辺を揃えるといった単純な考え方ではなく、場所によって全然揃っていない飾り方もしています。とにかくそのアートと空間の相性や心地よさを一番に考えて、直感でやっちゃっている部分がほとんどですね(笑)」
築100年の日本家屋と、古いものが持つ「温かい質感」

野口さんの活動拠点であり、ご自宅でもある建物は、関東大震災の直後に建てられたという築約100年の貴重な日本家屋です。
「元々古いものが好きで、実家も含めて今まで住んできた家やマンションも古いところばかりなんです。その中でも今の建物は一番古く、修繕も多くて手もかかります。でも、その分やっぱり愛着もありますし、サステナブルな服作りのコンセプトや、消費されるものではないアートを扱う空間にも通じる精神が宿っているので、とても助けられています。
古い家の柱だったり、一点一点手作りされたアート、ヴィンテージの家具などが持っている『少し温かい質感』が好きなんです」
古いものと心地よく暮らす、これからの豊かさ
後編:心が動くものを長く愛でる──ファッションデザイナー・野口アヤが考える「豊かな暮らし」(8月18日 公開予定)