アリゾナ州フェニックスにある巨匠フランク・ロイド・ライトが手がけた傑作の建築作品3選

近代建築の三大巨匠の一人である建築家「フランク・ロイド・ライト」。「有機的建築」に力を注ぎ「より人間的な豊かさ」を解いた作品は、生涯で1191作品にものぼる。アリゾナ州フェニックスはライト建築が集まるスポットの1つとして知られ、彼が唱え続けた建築思想を実際に体験できる作品が残る。

近代建築の三大巨匠の一人 建築家「フランク・ロイド・ライト」

Via : Wikipedia

アメリカ・ウィスコンシン州出身の建築家フランク・ロイド・ライト。ル・コルビュジェやミース・ファン・デル・ローエと共に「近代建築の三大巨匠」と称される著名建築家である。

「有機的建築」に力を注ぎ「より人間的な豊かさ」について解いた作品の数々から「空間の魔術師」とも呼ばれ、今でも多くの建築家やデザイナーに影響を与え続けている。

フランク・ロイド・ライドは、生涯に1191にのぼる作品を残し、その中には日本の旧帝国ホテルなど、日本の近代建築の発展にも貢献した建築家だ。

昨今では、彼が手がけた「グッゲンハイム美術館」が世界遺産に登録されたことでも話題になった。まるでトグロを巻いたような螺旋状空間と個性的なデザインで魅せる彼の建築芸術は、人々に特別な体験を与え続けている。

ライトによる建築学校「タリアセン・ウェスト」

フェニックス郊外のスコッツデールという街にある「タリアセン・ウェスト」。ここは、フランク・ロイド・ライトの別邸であり、建築学校でもある建築施設だ。

フランク・ロイド・ライトの建築思想が色濃く反映された建築であることが特徴で、自然と調和する有機的なデザインが実現されている。

周囲の地形からそのまま飛び出たような壁に、鉄骨の骨組みと軽やかな屋根を組み合わせて構成された外観。低層で水平方向に広がる建築は、アリゾナの自然と調和してユニークな風景を作り出している。

石垣に屋根を載せたようなデザインからは、「自然物」と「人工物」の間のような関係を感じる。

外部と一体になるようなデザインが印象的な内部空間。石の混ざったコンクリートや大きな開口部のおかげで外部と一体になったような感覚になる。

連続する鉄骨の構造を見せることでラインが強調され、より人工物としての存在感を示している。ビームのアーチが自然と対比され、規定する空間は圧巻だ。

奥の部屋へと足を進めると、ライトが実際に暮らした部屋が現れる。室内には、当時を再現した家具が並べられている。ライトらしいインテリアで彩られた生活空間は、実際に取り入れたくなるデザインだ。

参考:フランク・ロイド・ライトの意思を継ぐ建築学校「タリアセン・ウェスト」

Taliesin West – タリアセンウエスト

開館時間 : 8:30~18:00
入館料:$34(ツアーのみ)
電話:+1 480-627-5340
URL : http://franklloydwright.org/taliesin-west/
住所 : 12621 N Frank Lloyd Wright Blvd, Scottsdale, AZ 85259

実際に泊まれるライト建築ホテル「アリゾナ・ビルトモア・ホテル」

ライトが58歳の時に完成した「アリゾナ・ビルトモア・ホテル」は、ライトのもとで修行していたマッカーサー兄弟によって手がけられた高級リゾートホテルだ。

ライトに関わるホテル建築の中でも、実際に今も使われている場所は世界で唯一「アリゾナ・ビルトモア・ホテル」だけである。これまで、ケネディー大統領、マリリンモンローをなど多くの著名人によって御用達されている。

ライト建築の理想と概念を継承していた彼らが設計をしたホテルというだけあり、ライトが手がけた日本建築「帝国ホテル」とどことなく似ているデザインである。今でも使われているので改装され使いやすくなっているが、随所に帝国ホテルの雰囲気が感じられる。

ちなみに、このホテルの設計でアリゾナ州を訪れたライトは、この地をすっかり気に入って「タリアセン・ウェスト」を作ることになったそうだ。

低い天井のエントランスと対比して開放的に開けたロビーは、吹き抜けの空間がコントラストが効いて心地いい。帝国ホテルにも見られる「テラコッタスタイル」のようなレンガや、木材で揃えたられたモダンなカラーリングが柔らかな空間が広がっていて、まさに「ライト建築のホテル」による魅力で溢れている。

Arizona Biltmore, A Waldorf Astoria Resort – アリゾナ・ビルトモア・ホテル

電話:+1 602-955-6600
URL : http://arizonabiltmore.com
住所:2400 E Missouri Ave, Phoenix, AZ 85016, USA

 

ライトが設計した最後の公共建築「アリゾナ州立大学ガメージ記念公会堂」

ライトの死後に建設された作品の1つ「アリゾナ州立大学のグラディ・ガメージ記念講堂」は、でライトが設計した公共建築の中で最後になった建物である。

円柱ドームのようなフォルムの外観には、美しい扇形の頭飾りの付いた列柱でデザインされている。夕日の効果も考えられたと思われる西向きのファザードは、露出した赤い煉瓦や橙色の外壁が夕日に照され、オレンジに輝く。その姿は、まさに息を呑む美しさだ。

Arizona State University Gammage Memorial Audorium – アリゾナ州立大学ガメージ記念公会堂

電話:+1 480-965-3434
URL : https://www.asugammage.com
住所:1200 S Forest Ave, Tempe, AZ 85281, USA

ライトの建築思想で様々に魅了する3建築作品

フランク・ロイド・ライドが生涯の建築家人生で唱え続けた有機的なデザイン建築。アリゾナ州フェニックスの街には、ライトの建築思想が用途によって様々にデザインされた作品を見比べることができる。

自然と人間の調和、ホテルとしての建築物、そして市民が集まるシンボルとしての建物の在り方を、ライトの思想によって読み解き体験する時間は「建築作品を通してライトと対話をしている」かのような、有意義な学びであった。