アートや建築の島になった瀬戸内の「直島」の魅力。

「#casa(ハッシュカーサ)」が、毎週月曜日に立山律子がお送りする福岡のラジオ放送CROSS FM「DAY+」、今回ゲストとしてお越しいただいたのは、直島町観光協会の杉峰利明さん。瀬戸内エリアの魅力について語っていただきました。

 

直島ってどんなところ?

直島町の観光案内所の窓口で、直島を訪れるお客様への案内業務をしている杉峰さん。島全体がアートと言われる直島は一体どんなところなのでしょうか。直島は瀬戸内海に浮かぶ周囲16km、面積8k㎡の小さな島で、杉峰さんによると人口はここ10年で3100人ほどを維持しているそう。3年に一度行われる瀬戸内国際芸術祭の定着やアートの島として知名度が上がったことから、人口の約200倍の60万人前後の人が年間に訪れるようになったと言います。

香川県の島ではあるものの、島の位置は岡山県寄り。岡山県の宇野港よりフェリーで20分、香川県の高松港からはフェリーに乗って50分ほどで到着できるそうです。

 

アートの島になったキッカケとは

草間彌生「赤かぼちゃ」2006年 直島・宮浦港緑地 写真:青地大輔

直島に到着してまず目を引くのが、草間彌生氏作の「赤かぼちゃ」です。赤と黒の水玉模様が印象的な作品、「赤かぼちゃ」は直島を訪れた人に絶大なインパクトを残しますが、そもそもなぜ直島がアートの島と呼ばれるようになったのでしょうか。

杉峰さん曰く、もともと直島は一度、開発に失敗している島だったそう。それが現代アートの力によって持ち直したと言います。昭和時代に観光開発を誘致した企業が撤退し、あとを引き継いでくれる企業を探していたところ、現在でいうベネッセホールディングス、当時の福武書店の創業社長である福武哲彦氏が、「世界中の子供たちが集まって、自然の中でのびのびと過ごせる場所を瀬戸内海の島に作りたい」という構想を立てていたことから、当時の三宅町長と意気投合したそうです。

順風満帆に進むかと思われましたが、その半年後に福武社長が急逝。あとを継いだご子息の福武總一郎氏の構想である「直島文化村構想」が現代アートを基軸としたものだったことが、アートの島になったキッカケだと杉峰さんは語ります。

 

直島のアートは町民にとってどういう存在なのか

直島小学校や建築家である石井和紘氏が設計した直島町役場や福祉センターなど、一連の公共施設が順次建てられていくことで町民にとって建築物が身近な存在になり、その後ベネッセハウスが建てられ、古い家屋などを改修しアート化する家プロジェクトがスタートしましたが、町民に違和感はなく、身近なご近所さんとして受け入れらたのではないかと推測されていました。

過去には草間彌生氏作の「南瓜」が台風の高潮によって海に流されたところを、漁師の方が見つけて拾ってきたなんてエピソードもあったそう。

 

直島でおすすめの建築作品は?

数多くある直島のアート作品の中で、杉峰さんがおすすめする作品は一体どの作品なのでしょうか。伺ってみたところ、やはりどれか一つを選ぶのは難しいと仰いながらも、安藤忠雄氏が建築した地中美術館を挙げてくださいました。

瀬戸内の美しい景観を損なわないよう、建物の大半が地中に埋設された地中美術館。地上から地下に差し込む自然光のみで作品を鑑賞するため、天候や季節によって作品の見え方が刻々と変わっていくのだそう。非常に珍しい美術館だと言えます。

地中美術館に訪れた方々からの感想をお伺いしたところ、「瀬戸内の景観に溶け込む建築や、作品を展示している空間も含めて評価して頂いています」と胸を張って仰いました。

 

直島に所縁のある注目のアーティストは?

直島ホール 所有者:直島町 設計:三分一博志建築設計事務所 Photo:Shigeo Ogawa

直島の町民会館である「直島ホール」を設計された三分一博志氏、宮浦港のフェリーターミナルである「海の駅なおしま」や直島港ターミナルを設計された妹島和世氏と西澤立衛氏による建築家ユニットSANAA、そして「赤かぼちゃ」の制作者である草間彌生氏が注目のアーティストだと言います。

 

杉峰さんにとって人生とは

アートの島「直島」の観光案内所窓口で数多くの人たちと触れ合い、古くからアートと地域の関係、その変遷を実際に見てきた杉峰さんにとって、「ライフイズ◯◯」の空白に入る言葉とは一体どのような言葉なのでしょうか。その答えは、「ライフイズアート」と、瀬戸内国際芸術祭実行委員会の広報担当である関守さんと同様でした。

しかしながら、杉峰さんは英語でいうアート=Artには芸術以外にも意味があると言います。Artには処世術や、生きていく上での要領のよさ、人と付き合っていくコツなど、深い含蓄があるのだそう。生きていくこと、死ぬこと、人生丸ごとアートのような気がすると語ってくださいました。

そんな杉峰さんにお話を伺った直島は、数多くのアート作品展示のみならず、3年に一度開催される瀬戸内国際芸術祭でも盛り上がっています!ぜひ、直島へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

毎週様々なジャンルのスペシャリストが登場するラジオ版の「#casa(ハッシュカーサ)」。聴き逃した方はRadiotalk でもお楽しみ頂けます。

【7/22】杉峰利明さん(直島町観光協会)

後編:瀬戸内の島々を舞台に開催される瀬戸内国際芸術祭の今年の見所とアートについて。