巨匠・磯崎新の建築を歩く。地形を活かした建築「岐阜県現代陶芸美術館・セラミックパークMINO」

愛知と岐阜を跨ぐ山中、そこ現れるのは「岐阜県現代陶芸美術館」だ。ここには建築家・磯崎新がその地形を活かして作り上げた建築を体験することができる隠れた名スポットがある。

「岐阜県現代陶芸美術館」とは?

陶芸の歴史と技術が盛んなエリアとして知られる岐阜県・多治見市。

岐阜県現代陶芸美術館がある複合施設「セラミックパークMINO」は、多治見の深い森の頂上付近に存在する。美術館、イベントホール、国際会議場などで構成され、定期的に国際色豊な現代陶芸美術の展示やイベント、陶芸体験などが行われている。

ここ岐阜県現代陶芸美術館は、陶芸文化に特化した「コアな美術館」と言っても良いだろう。陶芸といえばその歴史が多く語られる中で、この美術館はその中でも「現代美術」にフォーカスしている点も更に興味深い。

建築家・磯先新とは?

通称「建築界のノーベル賞」ことプリツカー賞を獲得したことでも知られる巨匠、磯先新。建築業界で知らない人はいないだろう。日本だけでなく、ロサンゼルス現代美術館、ブルックリン美術館など、60年以上を日本国外でも活躍し、世界中から知られていることは言うまでもない。

ポストモダン建築を牽引した建築家の一人として知られる彼の特徴は「合理性を持った建築」であること。閉塞的な日本のアカデミズムを脱却し、装飾性やデザイン性を世界的な次元で建築構想している。

彼はかつてNew York Times誌に「私の建築の理論は、”不可視である”ということ」と言葉を残したことがある。その理由には「無形であり、五感を使って感じることができる空間」を大切にしている点が挙げられ、今回の建築にもその作風が感じられた。

自然環境との調和を意識した設計

岐阜県現代陶芸美術館がある複合施設「セラミックパークMINO」一帯の建築は磯崎新氏が設計し、2002年に竣工した比較的新しい彼の作品である。

「地形を壊すことのない設計」で里山を保護し、建物が上からカポッと被さったような空間づくりが特徴的だ。周りの自然はそのままの形で共存しており、美術館からも美しい自然や珍しい草木、鳥や動物の声や姿を実際に楽しむことができる。

白く開放的な空間が心地よい美術展示フロア

エキシビジョンの回路空間は、白い壁面で覆われたハコのようなフロアが連なる。無機質な空間の中には、違和感なく陶芸作品が展示され、その調和が心地良い。

2階フロアへ上がると、天井が高く抜けた開放的で明るい空間が広がる。思わず両手を広げたくなるほどの高さに設けた吹き抜けからは、爽やかに光が降り注ぎ気持ちが良い。光彩が陶器の肌に柔らかく照らされ、1階フロアの作品とはまた違う顔を見せてくれた。

段差を活用した美しい人工滝と茶室

テラスへ出ると出迎えるのは、山の地形を活かしたことで現れた段々形の滝だ。フロアでつなぐ外の空間は山々に囲まれ、水の清らかさとの調和がたまらなく爽快である。

屋上部に上がると、突如として和の空間が我々を出迎える。そこには茶室が存在し、そこから眺める庭園のような水辺の景色に深碧な緑が反射し、息を呑むほどに美しい。

今回、磯崎新が手がけた岐阜県現代陶芸美術館で最も目を引いたのは、随所に現れる陶器やタイル調のデザイン。建築にうまく溶け込んだ「陶器装飾」は、ここ岐阜県現代陶芸美術館だからこそ見ることができる作風だろう。

様々なセクションで個性が光る、陶器の装飾デザイン

陶器の町特有の「主張しすぎず、共存する」。そんなデザインが支えてくれているようにも感じた。

岐阜県現代陶芸美術館(セラミックパークMINO)

電話:+62 361 898 9104
URL:http://www.cpm-gifu.jp/museum/01.top/index1.html
住所: 岐阜県多治見市東町4-2-5 (セラミックパークMINO内)