ロンドン中心部の発電所をコンバージョン!タービンホールが衝撃的な美術館「テート・モダン」

イギリス、ロンドンに、発電所をコンバージョンした美術館がある。1891年から1981年までバンクサイド発電所という建物を全面改装し新しく美術館へと生まれ変わったテート・モダン。とにかく巨大なスペースが特徴だ。有名画家の作品の他にも、発電所だった建物を利用しているため、巨大な吹き抜けの本館ボイラーハウスなど建物自体も見どころとなっている。

発電所が美術館へと進化した驚異の空間

テート・モダンは、ロンドンのテムズ川沿いに建っている。発電所の名残である煙突がそびえたち、遠くからでも目立っている。レンガ造りの無骨な外観のため、一見美術館には見えない。

発電所をコンバージョンしたテート・モダン。発電所の建物をコンバージョンして美術館として再利用する計画を具現化したのは、安藤忠雄ら世界の名だたる建築家の中から設計コンペによって選ばれたスイス人建築家ユニット、ヘルツォーク&ド・ムーロンだ。

セントポール大聖堂の対岸にあり、ミレニアムブリッジで結ばれているため、ロンドンらしい景色を堪能しながら訪れることができる。

テート・モダンは、大英博物館やナショナルギャラリーなどと並ぶ、ロンドンで最も入場者数の多い人気美術館で、イギリスの国立系ミュージアムの一つである。

大迫力のエントランス「タービンホール」

入場すると、北側のテムズ川サイドにある2002年にオープンした元々の建物のボイラーハウスと、南側の2016年にオープンした新しい建物のスイッチハウスがある。そしてその間にある巨大な空間のタービンホールと呼ばれているエントランスが出迎えてくれる。かつてはここに大きな発電機が置かれていたそうだ。7階まで吹き抜けているため、その空間は大迫力だ。天井はガラス張りとなっているため、自然光が入り、より明るい空間になっている。

人々と比べると、どれだけこの場所が大きな空間なのかよく分かる。

タービンホールの中にチケットカウンターがある。一部企画展が有料はあるが、基本的には無料で入ることができる。

近現代アートの代表作が眺められる「ボイラーハウス」

テート・モダンの1番の見どころは、北側にある「ボイラーハウス」の2階と4階である。展示方法が面白く、テーマ別となっているので、通常の美術館のような年代別などで分かれていない。そして、近現代のアートの中でも巨匠と言われるクラスのアーティストの代表的な作品を楽しむことができる。

壮大な絵画が、ずらっと膨大な量で展示されているため、その空間に圧巻される。

20世紀最も成功したと言われている彫刻家の一人、スイスのジャコメッティなど現代アートの巨大な作品もある。その迫力は息を飲み込むほどだ。

絵画や彫刻の他にも、視覚芸術、肉体を使って表現されるパフォーミングアートなどもあり、展示されている作品の種類がとても豊富に揃っている。

大きな反響をよんだアンリ・マティスの切り絵展で展示された一作品や、キャンバスに絵具を垂らして描くアクションペインティングで有名なジャクソン・ポロック、ピカソと並ぶ、キュビスムの代表的アーティスト、ジョルジュ・ブラックなどの作品を見ることができる。

「メディアネットワーク」というテーマで、テクノロジーとアートに関連する作品が多く展示されている4階には、ブラジル出身のシウド・メイレリスの「バベルの塔」をみることができる。古いラジオやラジカセが積み重なって塔のようになっている。2001年の作品とのことなので、現代に置き換えると、ラジオが、スマートフォンのような感じなのかもしれない。なんとも言えないユニークな空間だ。

各階には、タービンホールに面したスペースがあり、ソファが用意されているので、疲れた時にもほっと一息つくことができる。

ミュージアムショップのある階まで行くと、テムズ川を通して、ロンドンの立派な街並みを眺めることができる。テムズ川にかかる歩道橋の向こうには、「セント・ポール大聖堂」がある。

いかにこの建物が広いのかがよく分かる景色である。まるで映画「ハリーポッター」の世界に紛れ込んだかのように感じる。このタービンホールを見下ろす渡り廊下を渡れば、新館のスイッチハウスに行くことができる。

2016年に完成した、新しい「スイッチハウス」

ボイラーハウスの反対側にある、2016年に新しくオープンした新館スイッチハウス。レンガをモザイク状に並べ、奇妙にツイストしているのが特徴的で、既存のテート・モダンの外壁を受け継いでいる。スイッチハウスは、0階から10階まであり、3階は見どころが多く、コンテンポラリーアート作品が展示されている。

20世紀のモダン建築らしい、滑らかな曲線でコンクリートで作られている印象的な螺旋階段。

カラーフィールドをオブジェにした感じの可愛いらしく、高い光の塔が展示され、斜めになっている外壁がユニークである。

モザイク状のファサードから、木洩れ陽のように柔らかい光が館内を照らしており、温かい空間になっている。

新館のスイッチハウスの方が、大きく空間を使っている作品が多いため、ゆとりがあり、観賞しやすい印象だ。

パフォーマンス・アーティストとして活動しているマリーナ・アブラモヴィッチなどの定義し難い現代アートも展示されている。

シティ・オブ・ロンドンを一望できる展望台スポット

そしてスイッチハウス10階は、テート・モダンの見どころの一つである展望台スポットだ。テムズ川沿いの風景を一望することができる。セントポール大聖堂とプレミアムブリッジを真正面から見ることができ、写真スポットとしてもおすすめ。また美しい夜景を楽しむことができ、人気スポットだ。

ボイラーハウス越しに見る再開発の進むシティ・オブ・ロンドンの高層ビル群は、新しいものと古いものが同居するロンドンを象徴しているよう。

まだまだ進化をし続けるテードモダン

地下にあった空間も展示室として改装中らしく、テート・モダンはまだまだ拡張中のようだ。ここの空間がどのように生まれ変わるのか、どんな巨大アートが展示されるのか、楽しみである。

ボイラーハウス、スイッチハウス、共に一階にはミュージアムショップがあり、お土産を探すにもぴったり。天井から吊り下がっているキラキラとした装飾が、最後までワクワクさせてくれるテードモダンであった。

発電所の面影を残したまま、その大きな空間は、迫力があり、ピカソやダリをはじめとした有名画家から、今をときめくアーティストまで幅広い作品が展示されているミュージアムである。展示品だけでなく、その外観や展望台スポットなど、色々な楽しみ方のできる美術館である。

Tate Modern – テート・モダン

開館時間:10:00~18:00(金・木曜日~22:00)
電話:+44 20 7887 8888
URL : http://www.tate.org.uk/visit/tate-modern
住所:Bankside, London SE1 9TG UK