「小さく作って大きく暮らす」40坪の異形地に建てられた建築家・深瀬ヤスノリによる平屋の家

一生に一度と言っても良いほど大きな買い物になる住宅。家族と思い出を刻む空間に、妥協も後悔はしたくはないけど、建築家に依頼するのは高くなりそう。そう考える人も多いはず。でも、土地代を抑えれば自分だけの心地の良い住まい作りができるかもしれません。今回は約40坪の三角形の異形地をベースに、4人家族が暮らす平屋を建てました。建築家・深瀬ヤスノリが手がけた住まいには、限られた空間を最大限活用しながら家族全員が心地よく暮らす工夫が詰まっています。

注目が集まる”平屋”の暮らし

今回の住宅は2階建ではなく平屋。平屋というと少し昔の建築様式に思われがちですが、すべての空間がワンフロアに収まり、上下移動の必要がない平屋の暮らしやすさに近年注目が集まっているのです。例えば、平屋には階段がないのでフラットなバリアフリーの家の実現も可能。長く住まう空間だからこそ、年齢を重ねても暮らしやすいのは大きな魅力です。また、生活がワンフロアで完結する平屋は、家族と顔を合わせる機会が増えるため、コミュニケーションが取りやすくなるのもメリットの一つです。

狭い土地でも平屋は可能?

様々なメリットが魅力の平屋。とはいえ、ワンフロアに家族全員が暮らすということは、同じ延床面積の家を建てる場合、2階建より広い敷地が必要になります。今回建てられた平屋は40坪の土地をベースとしています。一見、40坪のワンフロアに4人で住まうのは窮屈そうに感じられますが、多くの住宅の設計を行っている建築家だからこそ、空間を有効活用にする工夫によって、コンパクトながらも心地よく住まえる平屋が完成しました。

「小さく作って大きく暮らす」40坪の平屋づくり

今回設計を担当したのは、建築家・深瀬ヤスノリ。そして建設を担当したのは、日本の高温多湿の環境の中でコンパクトながら施主の希望を叶える家づくりを得意とする工務店・コラムホーム。両者がタッグを組んで、「小さく作って大きく暮らす」をテーマに、狭い土地では難しいと思われがちな平屋づくりの固定概念の払拭を目指しました。

真っ白な外壁がモダンで爽やかな外観

今回完成した住宅は、真っ白な外壁が爽やかな一軒。水平に並んだ窓に写り込んだ青空が、鮮やかで美しいコントラストを生み出す外観が印象的です。シンプルなデザインだからこそ、植栽の影までもが美しく映えます。

窓上に設けられた庇は日射の遮蔽と、窓の汚れを防ぐため窓維持管理の観点から付けられています。玄関と庇にはヒノキが取り入れられており、温かみを添えています。木は生き物なので経年により劣化していくものですが、実は天井に用いるとそのペースが落ち着くそう。そういった違いから住んでからも新たな気づきが得られるようにといった深瀬の遊び心から、双方に使用されています。

コンパクトな土地でも工夫次第で空間は広々と感じられる

限られたスペースでも、工夫次第で心地の良い住まい作りは可能になります。約40坪の異形地に建てられた平屋に詰まった、建築家・深瀬ヤスノリの空間を生かす工夫の数々は「建築家・深瀬ヤスノリが手がけた40坪の平屋に見る、広々と住まうための工夫とは?」に続きます。