起業家でもある建築家・谷尻誠が考える暮らしのデザインと生活の豊かさとは!?

「豊かな生活」を追求する。その先にあるのは、快適な設備や便利な道具達なのだろうか?建築家であり企業家の谷尻誠氏が考える暮らしのデザインと生活の豊かさとは一体?

SUPPOSE DESIGN OFFICE 主宰、建築家/起業家・谷尻誠

写真:矢野紀行

広島県出身の建築家であり、企業家。建築設計事務所「SUPPOSE DESIGN OFFICE」の代表を務める。建築設計以外にも、社食堂、絶景不動産、21世紀工務店、未来創作所、Bird bath & KIOSK、tectureを経営し、企業家としても活躍している。

枠に囚われない広い活動幅の理由

写真:矢野紀行

谷尻氏といえば、住宅や商業空間、会場構成、ランドスケープ、プロダクト、インスタレーションなど様々な設計デザインを幅広くしていることも特徴の1つだ。彼は、建物の建築以外の分野でも活動を広げる理由について「僕自身が興味がある」と答えた。建築業以外の分野の方々から建築依頼をされる中で、その分野にも関心を抱き、気が付くと建築以外のことにも興味を持っていたという。

写真:矢野紀行

「その人たちに興味を持っている方が、その人たちとちゃんと会話ができる」。そう話す谷尻氏の言葉から、依頼主の想いを形にするべく動き考えた先に「興味」が生まれ、活動幅が広がっていることが分かる。

経営業を数々開業。その素となったのは「無いから作る」

最近では「社食堂」や「絶景不動産」「21世紀工務店」など、建築設計だけでなく、経営業を数々開業する谷尻氏。「起業家としての谷尻誠と建築家としての谷尻誠」、その違いについての問いに彼は「無い」と答えた。

例として挙げたのは、彼が手掛ける不動産事業「絶景不動産」

Via : https://zekkeisite.com

絶景を望める物件のみが掲載されている不動産仲介を行っており、サイト上では「どの絶景がよいか」という始まりで探す選び方に最適化されていることも特徴的だ。

不動産になっていない場所でも誰かの所有であれば買えるのだから、そういう場所を不動産に変えていく。まだ皆が価値に気づいていない場所を、風景と一緒に建物を設計することで新しい価値を見出している。

「生活=モノの中で生きる」ことを意識したデザイン選び

写真:矢野紀行

「暮らしの中で大切にしているデザイン」について谷尻氏は、「モノの選び方」で全てが決まっているのではないかと話す。その理由の先にあるのは「生活はモノの中で生きる」という観点。だからこそ買う時には、それが本当に必要なものなのかを考えた上で買うようにしているという。

出来るだけ美しいものを見る生活に合わせたモノ選びも大切

そんな谷尻氏が最近買った「モノ」の中で一番気に入っているというのは、元々インドで作られているピエール・ジャンヌレが作ったビンテージの椅子。当時、1つの型で2000脚くらいしか存在しないらしい。

彼はインタビュー中、モノ選びについて「やっぱり自分の美意識に合う、出来るだけ美しいものを見る生活をしたいなと思う」と話す。

谷尻誠がこだわる「自然エネルギーと共存する生活」とは

写真:矢野紀行

「昔からあるものに興味がある」という谷尻氏は、この温暖化の真っ只中、自宅にエアコンを持たない。

実際に谷尻氏の自宅では、夏は冷水を流して結露させ、水蒸気で室内を冷やし、冬は温水を床暖房に使って、暖炉で火を焚いて生活している。

温暖化現象が進む時代だからこそ、自然のエネルギーをできるだけ使うように心掛けることは必然であり、モノを創る立場としても、考えていきたいテーマだという。

目的は「豊かな生活をしてもらうこと」

写真:矢野紀行

谷尻氏が話す内容で最も印象的だったのは「僕らがやりたいことって、豊かな生活をしてもらうことが目的なので」という言葉。

「豊かな生活」というのは、単にエアコンや設備が完璧で、快適な空間のことをさすのだろうか。出来るだけ美しいものを見る生活や、地球環境を考えて地球と共に永く生きること、すごく風景が良い場所に住まうことは、きっと心の内から満たされることができる「豊かさ」を感じることができる本当の贅沢なのだろう。