デンマーク王立図書館「ブラック・ダイアモンド」の建築から知る”学び場”の考え方とデザイン

デンマークの重要な施設が集まるウォーターフロントのエリア「スロッツホルメン」。ここには世界からも注目を集める興味深く面白い建築が多く存在する。中でも今回焦点を当てたのはデンマーク王立図書館、別名「ブラック・ダイアモンド」だ。

北欧最大の北欧最大の蔵書数を誇る、デンマーク王立図書館「ブラック・ダイアモンド」

デンマーク・スロッツホルメンにあるデンマーク王立図書館。アンデルセンの直筆原稿や、デンマーク出身作家の文献や資料を多く所蔵している。その蔵書数は2000万点を超え、北欧最大級だ。図書館としての機能だけでなく、音楽、舞台芸術を扱う別室や、カフェ、レストラン、多目的シアターなども完備され、ローカルが集まる場としても人気になっている。

手掛けたのは、デンマークの建築家集団「シュミット・ハマー・ラッセン」

1999年にオープンした新館は、ダイナミックでシックな容姿が特徴的。この建築を手がけたのは、デンマークの建築家集団「シュミット・ハマー・ラッセン」である。

2016年には公共図書館の世界一を決めるPublic Library of the Year Award でグランプリ経験を持ち、「図書館建築のプロ」とも言える存在だ。

黒く輝くファサードが特徴的な外観

デンマーク王立図書館のデザインコンセプトは「宝石箱」。デンマークでは「本を宝石のように大切に扱う」と言われており、その意味も込めたテーマになっている。

黒く輝く容姿から「ブラック・ダイアモンド」通称される外壁は、南アフリカ産の黒色花崗岩でできており、運河から見ると更に違った顔を魅せる。空や雲や運河の水面が映る幻想的な姿は、上部に行くほど迫り出る平行四辺形のフォルムと相まり、息を飲む格好良さだ。

天井に向かってダイナミックに広がる、ガラス張りのアトリウム

ブラック・ダイアモンド内で注目の場所と言えば、ガラス張りで出来たアトリウムだ。そこは運河側の地形の谷のような吹き抜けが天井へ向かって広がる。

「四角い箱」になりがちな日本の図書館にはない、デザイン性の高いダイナミック空間。そこからは、学問への捉え方についても考えさせられ、圧倒的なレベルの違いと高さを痛感することができるだろう。

「波」のような曲線でデザインされた壁面

各階のフロアは「波」のような曲線のデザインが施されている。それをアトリウムを上部から見下ろすと、両脇の波打つ壁面が外につながるように対峙しているのがわかる。地上階から昇るためのエレベーターや対岸をつなぐ空中通路も魅力的だ。

各階のフロアはアトリウムを外部に見立てたように大きな学習室が並び、室内から「外を眺める」ように着席し読書や学習に励むことができる環境が備わっている。

地元市民が憩う「カジュアルな雰囲気」も日本にはないポイント

デンマークの図書館には、日本にはない面白さがもう1つある。それは、図書館とは言っても大部分が「市民の憩いの場」として使われていること。特にアルネ・ヤコブセンの名作椅子セブン・チェアがズラリと並ぶカフェは、とても賑やかで活気が溢れている。

運河を見渡せる窓際の席は、水平に切り取られた景色と落ち着いた照明が心地良い。

 

フラッと立ち寄り、静かにしなくても良い空間。それが「図書館」という場所にあることは「自分らしく学ぶことのできる環境づくり」にも繋がっているのだろう。

Det Kongelige Bibliotek – デンマーク王立図書館/ブラック・ダイアモンド 詳細情報

開館時間:8:00~20:00(土曜日9:00~18:00)
休館日:日曜日
URL : https://www.kb.dk
住所:Black Diamond, Søren Kierkegaards Plads 1, 1221 København K, Denmark