ナノメートルアーキテクチャーによる「困った木 de アフター万博」がクラウドファンディング実施中!
万博のために生まれた建築が、閉幕後の未来へとつながるプロジェクトへ——。愛知県名古屋市を拠点とする建築設計事務所・ナノメートルアーキテクチャーが、READYFORにてクラウドファンディング「困った木 de アフター万博」を実施中です。目標金額は100万円、募集期間は2026年5月17日(日)23時まで。万博という特別な舞台で花開いた「困った木」の物語を、これからも続けていくための挑戦です。
URL:困った木を生かそう!! 困った木 de アフター万博
「困った木」とは!?

「困った木」という言葉を耳にしたとき、どのような木を思い浮かべるでしょうか。ナノメートルアーキテクチャーが定義する「困った木」とは、台風や大雨などの災害で倒れてしまった木、道路の拡幅工事に伴って伐採された木、あるいは過疎化によって管理する人がいなくなった里山の木など——人の都合によって行き場を失ってしまった木々のことです。
このプロジェクトが生まれるきっかけとなったのは、2020年7月に岐阜県を襲った「令和2年7月豪雨」でした。この大雨によって、瑞浪市の大湫神明(おおくてしんめい)神社にあった樹齢670年の御神木が根本から倒れてしまったのです。「なんとかして立て起こしたい」という地域の人々の声に応えようと、ナノメートルアーキテクチャーの野中あつみさんと三谷裕樹さんはこの御神木の保存・再生プロジェクトに携わりました。そのときに浮かんだのが、「困った木」というコンセプトでした。
万博の建築として結実した「時木の積層」

「困った木」のコンセプトは、2025年に開催された大阪・関西万博において、建築という形で世界に向けて発信されました。ナノメートルアーキテクチャーは、NHK・MBS・ytvなど関西の放送局が万博中継に使用するサテライトスタジオ東の設計を担当。256者のうち20選に選ばれた優秀提案として、「時木(とき)の積層」と名付けられたこの建築が実現しました。
建築を支える17本の柱は、全国18箇所から集めた「困った木」で構成されています。災害で倒れた木、伐採を余儀なくされた木……それぞれが異なる背景とストーリーを持つ木材を積み上げた「積み柱」は、従来の建材としての木材の使い方とはまったく異なる、新しい木造建築の可能性を示すものです。スタジオの外壁には稲藁(茅)が使われており、通気性・断熱性に優れ、最終的には土に還るこの素材も、「困った木」の思想と通じるものがあります。
万博が閉幕しても、木の物語は終わらない

大阪・関西万博は2025年10月に閉幕しましたが、「困った木」の物語はここで終わりではありません。ナノメートルアーキテクチャーは、万博後もこのプロジェクトで集まった木材や建築の思想を未来へつなげていくためのイベントを企画しています。それが、今回のクラウドファンディング「困った木 de アフター万博」です。
万博のために全国から集まった「困った木」は、建築としての役目を終えたあとも、どこかで誰かの暮らしや記憶と結びつく存在であり続けられるはずです。木材の再活用や、「困った木」の存在をより多くの人に知ってもらうためのイベントを通じて、このプロジェクトは新たなフェーズへと進もうとしています。
ナノメートルアーキテクチャー
野中あつみと三谷裕樹が2016年に設立したナノメートルアーキテクチャーは、愛知県名古屋市に拠点を構える建築設計事務所です。「リニモテラス公益施設」や「茶山台団地のリノベーション」など、地域に根ざした建築・都市のプロジェクトを数多く手がけてきました。
彼らの設計の特徴は、建築という枠組みを超えて、社会や環境の課題を丁寧に読み解き、それを建築というかたちで可視化しようとするアプローチです。「困った木」もまさにそのひとつ。製材されて流通する前の木や、身近にある木の意味に向き合いながら、建築の外側から社会問題や環境・産業問題を捉えようとする姿勢は、多くの人の共感を呼んでいます。
クラウドファンディング開催中
クラウドファンディングはREADYFOR上で実施されており、2026年5月17日(日)23時が締め切りです。目標金額は100万円で、現在も支援が集まっています。「困った木」の物語を応援したい方は、ぜひプロジェクトページをご覧ください。万博という大舞台で世界に発信された「困った木」の哲学が、アフター万博のこれからへと受け継がれていく——そのひと口の支援が、未来の木々の物語をつくる一歩になります。