地球に埋まるアート？ランドスケープと一体化するモスクワのオーガニック建築
緑の丘の下に、彫刻作品のような建造物が埋まっています。曲線で構成された生き物のような住宅は、庭や風景と一体化しています。太陽の位置を考えて配置された天窓からの光で、住人は自然のリズムに従って暮らすことができます。ロシア発ランドスケープ住宅「House in the landscape」を訪れてみましょう。
ランドスケープと一体になった「House in the landscape」
ロシアを拠点とするNiko Architectと造園会社Ecopochvaは、従来の建築の直線的なルールにとらわれないモスクワの住宅を設計しました。人工の丘の植生が家のコンクリートをカモフラージュするように覆い、白い壁が上と外に向かって広がって屋根を構成。成形された床から天井までの窓がカーブし、裏庭とプールのパノラマビューが楽しめます。
「ランドスケープは建物に流れ込み、建物はランドスケープに流れ込みます」とNiko Architectは述べます。「住宅は緑の屋根によって強化され、上の木や草の植物と人工的なレリーフを持った庭と一体化します」
ランドスケープは、戦略的に配置された家を包み込み、道路や近隣の住民からその存在を隠しています。両側の曲がりくねった道と階段は、丘の輪郭に沿って配置され、大きく湾曲したコンクリートの正面玄関へとつながっています。
1階のベッドルームの上には、リビングエリアが重ねられています。どちらも床から天井まで窓があり、自然光と裏庭の景色をたっぷりと堪能することができます。
美術館のような雰囲気の空間が広がる
住宅は裏向きの中庭を囲むように配置されています。中庭は彫刻アートを中心に、池を見下ろす木の台へと続く木製の小路で仕上げられています。
Niko Architectは、屋上庭園の上に突き出たアメーバのような天窓を設置しています。それぞれの天窓は太陽の軌道に沿って、自然光の照明を最大化するように設計されています。
天窓は太陽の光を取り込むように最適な角度が付けられており、朝はリビング上部の天窓から、夜は寝室上部の天窓から光が入るようになっています。中庭と2階にある展望デッキのもう1つのリビングエリアには、午後と夕方に光が入る3つの窓があります。
大胆にカーブした白いらせん階段が2階へと続いています。黒大理石の床には彫刻が、丸みを帯びた陳列台には盆栽が、それぞれ美しく鎮座しています。この上階は2つの追加のベッドルームを収容し、池を見下ろすテラスに開いています。
湾曲した白い壁と吹き抜けの天井は、美術館のような雰囲気を醸し出しています。約280平方メートルの家全体を通して、様々な彫刻や家具が、時間帯によって変化する日の光を浴びてその印象を変えていきます。
1階のリビングエリアでは、壁は天窓に向かって上に伸び、緑の屋根の花々の上に突き出た天窓に向かって伸びています。展望エリアの隣には、大きな天窓の下に円形の掘りごたつ状の座面があり、天井に取り付けられた暖炉を囲んでいます。この談話エリアとダイニングの間には、大きく丸い穴の空いた曲線を描く木のパーテーションがあります。
有機的な造形のインテリア
曲線を多用した分厚い家具が、家のフォルムと呼応しています。
ベッドルームには、木製スラットが中庭からのプライバシーを確保しています。白い壁にゴールドとブラックのアクセントが絶妙に効いています。
太陽の光が降り注ぐ黒いバスルームの天井からは、暗いフィギュアたちがぶら下がり、異空間を演出します。夜中に行くのが怖い感じです。
通りに面するエントランスでは、アシンメトリーで未来的なカーポートが、敷地を守るフェンスの後ろで広い口を開けています。そこから、生い茂ったファサードを腕のように囲むように大階段が続き、隔離された裏庭への小路が下っていきます。
「これは環境と相互に接続されている、有機的な建築の存在です」とNiko Architectは語ります。