「新しいものより古いものに惹かれる」音楽プロデューサー・田中知之が語る好きなデザインと印象に残っているDJイベント
布袋寅泰や東京スカパラダイスオーケストラ、くるり、サカナクションなど数多くのアーティストのリミックスを行うほか、自身のソロ・プロジェクトFPMとして楽曲制作を行う田中知之さん。DJとしての活動に加え、「渋谷スクランブルスクエア」46階の展望フロアのミュージックバー「Paradise Lounge」や、JR原宿駅・新駅舎2階の「猿田彦珈琲 The Bridge」などの音楽監修も務め、活動の幅は多岐に渡ります。今回は田中さんに、日常で大切にしているデザインや印象に残っているイベントについて伺いました。
DJ、音楽プロデューサー・田中知之
1966年京都府生まれ。音楽プロデューサー/選曲家として国内外で活躍。FPM名義で8枚のオリジナルアルバムをリリース。多数のアーティストの楽曲プロデュースや、布袋寅泰、東京スカパラダイスオーケストラ、UNICORN、サカナクションなど100曲以上のRemixも手掛け、TVCM音楽、全米映画や海外ドラマ、演劇作品へ楽曲を提供。DJとしては、国内の有名フェスは元より、米国のコーチェラ・フェスティバルなど海外の有名フェスへの出演経験も多数。各種商業施設やエンタテインメント・コンテンツの音楽~音響ディレクションも手掛け、東京2020オリンピック開閉会式、パラリンピック開会式では音楽監督を務めた。昨年度より洗足学園音楽大学”音楽・音響デザインコース”の客員教授に就任。
公式サイト : http://www.fpmnet.com/
未来を想像したデザインに興味がある
まずは日常生活の中で大切にされているデザインについて伺いました。
「過去から見た未来をデザインに置き換えたものに興味があります。生まれたのが1960年代中頃で、月に初めて誰が行くのか、どこの国が到達するのか、といった具合に社会が宇宙にいろんな想いを馳せていました。現実的な未来ではなく人々のイメージによる、可愛らしかったりユニークだったりするビジュアルが当時流行っていたんです。デザインでいうと正にそんなミッドセンチュリーのものが好みで、レコードや服、車なども新しいものより古いものに惹かれます。」
便利な都会がやっぱり好き(笑)
お好きな空間はどういったものなのでしょうか。
「今年で地元の京都から東京に移り住んで28年経ちました。長く離れたからこそわかる京都の良さもあるのですが、やっぱり僕は都会が好きです。自然の素晴らしさもわかるのですが、気が向いたときにアイスクリームをパッと買えるくらいにコンビニが近くにある生活が好きなんです。現実的ですが、便利な場所が良いんです。都会に暮らすのが向いていると思います(笑)。」
エッフェル塔を背負ってDJプレイ
国内外の様々なイベントでDJをされている田中さんですが、特に印象深い場所はどちらでしょうか。
「2001年になる瞬間、2000年の12月末のパリでのイベントです。会場はシャイヨー宮というエッフェル塔の横の宮殿でした。その宮殿の壁面が縦にくり抜かれて、そこの枠にはまるようにエッフェル塔が見えるんです。まるでエッフェル塔を背中に背負うような感覚でDJをした、非常に特別な場所でのプレイの思い出ですね。」
新しいものとこだわりのバランスが多くの人の心を掴む
レコードや車など、新しいものより古いものが好きだと語る田中さん。流行より自身の感性を大切にしつつ、都会ならではの刺激も常に取り入れることで、多くの人の心を掴む音楽を生み出せるのかもしれません。
後編:「レコードは気軽に買えるアート作品」音楽プロデューサー・田中知之が語る音楽制作の際に意識するポイントや近年のアナログブームについて