オスカー・ニーマイヤーによるユニークな造形が立ち並ぶブラジル・ニテロイの「ニーマイヤー通り」

ブラジルを代表する建築家オスカー・ニーマイヤー。女性の身体に例えられるように有機的で自由な曲線を特徴としたデザインからは、ブラジルの自然が持つ生命感とモダニズムの幾何学の見事な融合を感じ取ることができます。2012年に104歳で亡くなる直前まで精力的に設計を手がけていた彼の作品は、プリーツカー賞・アメリカ建築協会ゴールドメダルなど数々の建築賞を受賞。その成功は建築という概念を超えてブラジルの名を世界に知らしめる多大な貢献を果たしました。

ニーマイヤーの作品が並ぶ大通り

そんなニーマイヤーの建築が並ぶ「オスカー・ニーマイヤー通り」と呼ばれるエリアがリオ・デ・ジャネイロの対岸の街、ニテロイにあります。ニーマイヤーの代表作でもある「ニテロイ美術館」と合わせて回りたいスポットです。

大胆な曲線にイエローが効いた「ニテロイ市民劇場」

通りの入り口にある観光案内所を抜けるとすぐに目に飛び込んで来るのは「ニテロイ市民劇場」。

「直線、直角は嫌い」と明言していたニーマイヤーらしく、美しい曲線で構成される建築です。柔らかなラインを描く屋根は、厚みが微妙に異なり、より動きを感じられるような自由な印象を与えます。

黄色い壁面には、曲線のイメージソースになったのであろうニーマイヤーによる女性のスケッチが残されています。

サンパウロのイビラプエラ公園内の「イビラプエラ劇場」のようにサイドにステージが設けてあり、屋外での上映もできるようになっています。

Teatro Popular Oscar Niemeyer – ニテロイ市民劇場

所在地：R. Jorn. Rogério Coelho Neto, s/n – Centro, Niterói – RJ, 24020-011 Brasil
URL : http://www.teatropopularoscarniemeyer.art.br/

半円の造形がユニークな「ロベルト・シルベイラ記念館」

ブラジリアの「ブラジリア国立博物館」と似たようなお椀を逆さにしたような造形の建築は「ロベルト・シルベイラ記念館」。文化、教育、科学領域の施設で、元リオ州知事でニテロイ市に貢献した故人「Roberto Silveira」の名が付されています。内部には照明や空調設備などがなく、それにより光と影が作り出す建築の造形がシンプルに楽しめます。

Memorial Roberto Silveira – ロベルト・シルベイラ記念館

所在地：Centro, – Centro, Niterói – RJ, Brasil

目の美術館として愛される「オスカー・ニーマイヤー財団博物館」

ロベルト・シルベイラ記念館の先にあるのが「オスカー・ニーマイヤー財団博物館」。視覚芸術、建築、意匠に関する展示を行う博物館で2002年に開業しました。巨大な目玉のような造形物が黄色い柱で支えられたようなデザインが特徴的で、地元ブラジルでは“Museu do Olho（目の美術館）”と呼ばれているほどインパクトのある建物です。

二つの建築物からなる博物館は、高さは地上4階分ほどで、目の中がギャラリースペースとなっています。35,000平方メートルの広大な敷地内に17,000平方メートルの展示スペースをもつラテンアメリカ最大の規模を誇るミュージアムで、年間30万人が訪れます。「目」は水盤の中に配されているため、晴天の日には青空が写り込み、幻想的な雰囲気を醸し出しています。奥の平坦な建物が美術館の入り口で、展示室やカフェなどが併設されています。「目」には地下通路を通って登ることができます。

エントランス棟は1階部分がわずかな柱で支えられた広々としたスペースで、2階は企画展示室。地下にはニーマイヤーのコレクションが配され、建築物の模型やデッサンなどがセクションごとに展示されています。地下通路を通り、階段もしくはエレベーターを使って地上4階の高さまで上がります。目の中は、まるで宇宙船のように緩やかな弧を描く天井に細かいチップが無数に敷き詰められ、その上をいくつかの光の玉が縦横に走っています。帰りは往路を戻ることも、裏側のスロープで直接中庭へ降りることも可能。外観はもちろん、内部の構成もユニークな建築です。