直線と曲線を合わせたフェリックス・キャンデラの「ラ・メダージャ・ミラグロサ教会」の不思議な空間

メキシコには、建築家巨匠達が手掛けた教会建築が多く存在する。中でも今回紹介する「ラ・メダージャ・ミラグロサ教会」は、HPシェル構造建築で有名なフェリックス・キャンデラがデザインしたもの。「教会」という神聖な場所を、更に崇みのある空間へと表現する。早速、キャンデラが手掛けた匠な建築技を早速見ていこう。

フェリックス・キャンデラが手掛けた「ラ・メダージャ・ミラグロサ教会」

フェリックス・キャンデラは、HPシェル構造という建築技法を用いて世界中へその名を知らしめた、いわばHPシェル構造建築の第一人者だ。

彼の建築の特徴といえば、湾曲と独特の曲面を描きながら表現する天井屋根のデザイン。コンクリート素材で出来ているとは思えない、伸びやかで軽快な設計は、コンピューターがない当時、神技だったに違いない。

キャンデラの教会建築はメキシコシティに多く存在する。中でも今回紹介するラ・メダージャ・ミラグロサ教会」は、彼が手掛けた教会建築の中でも比較的「一般的な教会のカタチ」を踏襲している。

支柱から垂れ下がるような屋根が印象的な外観

「ラ・メダージャ・ミラグロサ教会」の一番の特徴は、一体になった屋根と柱で創られた独特な空間。白い屋根が、支柱から垂れ下がるように曲面を描き、そのファザードからは「フェリックス・キャンデラによる構造」らしさが感じられる。

まるで森の中にいるような、モダンなエントランス

入り口から中に入ると、上に行くほどに太くなる柱が立ち並ぶ。天井とシームレスで繋がっており、まるで森の中にいるような印象を覚える。

その柱に沿って出迎えるのは、三角形に作られた建具。控え目でありながらも、存在感のある情緒が美しい。

直線と曲面の複雑な組み合わせで魅せる、多彩な空間

教会の中に入ると我々を驚かすのは、身体的なスケール感で生まれた独特な雰囲気。ステンドグラスから入る虹彩は、彼の構造らしい「曲面」に反射して美しく照らされる。

居心地の良いこの空間の秘密は、直線と曲線を合わせた有機的なカタチにある。スパンが大きくなっているところを中心に天井を高くし、この屋根や柱によって、洞窟や叢祠のような落ち着きを感じることができる。

もう1つの部屋は、木漏れ日のような光が印象的

キャンデラの建築にして「壁面がフラットでスッキリとした空間」は逆に個性を感じる。天井にはトップライトを備え、木漏れ日のような光が注ぐ。天井から吊るされた照明器具は、この礼拝堂のデザインに合わせて作られたオリジナルのもの。滑らかな空間を鋭角的なデザインで、パリッとアクセントを効かせている。

 

教会といえば、ヨーロッパ的な開放的で明るい空間が一般的。だが、キャンデラが提案した「教会の形」は、開放感では得られることができない「多彩で落ち着きのある空間」が魅力的だった。

ラ・メダージャ・ミラグロサ教会 – Parroquia de la Medalla Milagrosa

電話 : +52 55 5605 5638
URL : http://medallamilagrosa19.wixsite.com/parroquia
住所 : Calle Matías Romero 78, Vertiz Narvarte, Benito Juarez, 03600 Ciudad de México, CDMX, Mexico