60人以上の建築家が関わった、伝説の世界遺産建築「メキシコ国立自治大学(UNAM)」

メキシコ・シティにある中南米最大規模の大学、メキシコ国立自治大学(UNAM)。2007年に世界文化遺産に登録されたこの場所は、60人以上の建築家が建築に関わったという歴史ある大学だ。今回はそんなメキシコ国立自治大学(UNAM)で実際に見ることができる3つの建築を紹介する。

1. フェリックス・キャンデラ最初の作品「宇宙線研究所」

今ではHPシェル構造建築で世界的有名な建築家となったフェリックス・キャンデラ。彼の初めての作品が、メキシコ国立自治大学(UNAM)にある。華奢な柱で作られ、一階部分がピロティになっているカワイイ容姿が印象的だ。

この建築も、彼の代名詞とも言える「HPシェル構造」でできている。コンピューターのない当時、特に建築のエンジニアリングの世界で注目された。

平均厚さ4cmという薄い構造で作られたこの建築。1985年のメキシコ地震にも耐えた、数少ない建築だという。

2.世界最大の壁画を持つ大学中央図書館

メトロバスの駅から大学内に入ると、まず目に飛び込んでくるのが、壁画で覆われたこの大学中央図書館だ。いかにもメキシコの壁画の派手さが印象的である。

この中央図書館の壁画は、メキシコ国立自治大学(UNAM)が世界遺産に登録された際の「象徴」とも言われており、壁画家でもあるメキシコの建築家フアン・オゴルマンによって作られた。

描かれているのは、アステカ文明やスペイン侵略をモチーフにした内容や、天動説・地動説など。

1920年代、メキシコ・シティで革命の意義やメキシコ人のアイデンディティを伝える壁画運動が起こった時代を背景に、この壁画からは、そんなメキシコ独自の芸術性とメキシコ近代建築の魅力を体感できる。

3. 鮮やかな色彩の壁画がある大学科学美術館

メキシコ国立自治大学(UNAM)で、最も鮮やかな色彩の外観が特徴的な大学科学美術館。ここには、現代のメキシコの画家や彫刻家の作品が展示されている。

この壁画を描いたのは、メキシコ壁画運動の三代巨匠の一人であるダビド・アルファロ・シケイロスだ。「民衆から大学へ、大学から民衆へ」という意味が込められた壁画は、独特なタッチが立体的で迫力がある。

 

メキシコ国立自治大学の建築は、当時の最前線で活動していた建築家・芸術家巨匠たちの創り上げたものがそのまま残る。これから世界へと羽ばたく若者の学び舎にそれらが存在することは、代々継がれる時代と歴史を守っているようにも思う。そこからは、今もなおメキシコ文化芸術、建築が最前線で注目されるその理由を感じることができるだろう。

メキシコ国立自治大学 –  UNAM