フェリックス・キャンデラによるスペイン・バレンシアにあるヨーロッパ最大の水族館「オセアノグラフィック」

スペイン・バレンシアにある「芸術科学都市」。ここは生命・科学・技術・芸術活動普及のための複合施設。その中で、建築家「フェリックス・キャンデラ」によって2002年に誕生した建築物こそ、ヨーロッパ最大の水族館「オセアノグラフィック」だ。

現代建築群によって構成された、バレンシアの巨大なランドマーク

スペイン・バレンシアでトゥリア川が流れる街にある「芸術科学都市」は、水族館・科学博物館・IMAXシアター・オペラハウスなどが併設された複合施設である。30万平方メートルを誇るの巨大敷地の中に、印象的な現代建築群が立ち並び、バレンシアの巨大ランドマーク建築としても有名だ。

芸術科学都市にある建築物は、基本的には「サンティアゴ・カラトラバ」の設計によるものだが、唯一「オセアノグラフィック」だけは、「HPシェル構造建築の大家」としても知られる巨匠建築家「フェリックス・キャンデラ」が手がけている。

建築家 フェリックス・キャンデラ

Via : Wikipedia.

スペインで生まれ、メキシコで名立たる建築を多く手がけて活躍した建築家「フェリックス・キャンデラ」。彼の建築の特徴といえば、「HPシェル構造」という建築技法を用いた設計技術だ。

コントラクターでもある知識で作り上げたHPシェル構造は、薄い曲面板から作る建築法で、まるで「シェル(貝殻)」のような容姿で仕上げられた流れるような曲線美と曲面の空間作りが印象的である。

当時コンピューターのまだ無い時代に、計算をして創り上げたという「伸びやかで軽快な設計」は建築界に一躍その名を知らしめ、後に「天才的建築家」と呼ばれる彼の代表的な建築技法となっている。

ヨーロッパ最大の水族館「オセアノグラフィック」

芸術科学都市内、フェリックス・キャンデラが手がけた「オセアノグラフィック」は、ヨーロッパ最大の水族館と言われている。館内には独立してフェリックス・キャンデラによる建物が散らばっていて、いずれもアーチやドームの形状が何とも彼らしい、双曲面の建造物が集まる。

水量合計は約42,000トン、展示されている生き物の数は約500種と世界的にも巨大な水族館だ。

陸上にはあまり高い建物がなく、広い近未来形の公園のような雰囲気と、中世の建物が残る街並みとの対比が面白い。

ひだ状の珊瑚のような「HPシェル構造」が美しい

エントランスになっている棟などいくつかの棟は、フェリックス・キャンデラらしい「HPシェル構造」が印象的だ。まるで「花びら」や「ひだ状の珊瑚」のような造形が、水面にも映し出される。

内部空間に進むと、まるで帆のような天井がシェル構造で美しく伸びる。解放的な中にも圧倒させるデザインで、思わずこの曲面を見上げてしまうほどのインパクトだ。

野球などのスタジアムをも想像させる、巨大なイルカプール

水辺の景観にも馴染む、真っ白な外観のイルカプール。「HPシェル構造」が目を引く他の建物と対比して「直線の柱」が特徴的で、敷地の中でのアクセントを感じる。

中に入ると、青空の下で外へ開くような解放的な作りが心地よく広がる。向こう側には、芸術学園都市の他の建築も望むことができる。

南極の生き物を展示するドーム型の建物

南極の世界観を模したような、ひんやりとしたドーム型の建物の中には、様々なクジラが展示されている。閉ざされた巨大空間の中には、クジラが優雅に泳げるほどの大きな水槽が並ぶ。

我々人間が「お邪魔する」ような感覚と、生命・地球・環境の偉大さを尊く噛み締めることができる空間づくりは圧巻だ。

オセアノグラフィックの中でも最も大きな水槽「オーシャンズ」

オセアノグラフィックの中でも最も大きな水槽「オーシャンズ」は、約7,000トンの水量を誇る長く巨大なトンネルだ。見上げると色々な魚たちの群れが幻想的に泳いている。

地上の生物を展示するためのドーム型の骨組みでできた棟

フェリックス・キャンデラによる建築は、水槽だけではない。熱帯の生き物を展示したドーム型の骨組みの棟では、水槽では見せられない「一種別」の解放感ある空間づくりが面白い。

まるでSF映画のワンシーンで出てきそうな球体世界の中には、違和感なく様々な生き物が暮らす様を見ることができ、未来的なのだか、過去や未来とも共存しているような感覚に陥る。

まるでフェリックス・キャンデラが魅せる小宇宙「オセアノグラフィック」

フェリックス・キャンデラは、HPシェル構造建築の第一人者として、コンピューターがない時代から世界中へその名を知らしめてきた。そして、その美しいの建築技法の裏側には、彼が想い描く前代未聞の世界観があり、その壮大なデザインで長年人々を驚かせてきたと言っても過言ではないだろう。

ヨーロッパ最大の水族館「オセアノグラフィック」は、フェリックス・キャンデラが設計したHPシェル構造建築が美しいことはもちろんだが、それぞれに異色を放つ建造物で創り上げたのは、まるで彼のみが創り出すことができる「小宇宙空間」のようにも感じる。それほどにも壮大な空間設計・デザインの凄さに改めて感動する場所こそ、「オセアノグラフィック」なのである。

Oceanogràfic – オセアノグラフィック

開館時間:10:00~20:00
入館料:€26
電話:+34 960 47 06 47
URL : http://www.oceanografic.org
住所:Ciutat de les Arts i de les Ciències, Carrer Eduardo Primo Yúfera, 1B, 46013 Valencia, Spain