外と内・人と家・人と人を緩やかにつなぐ、無抵抗な心地よさが広がる空間「縁側」

合理的という簡潔な言葉を使うより“ 無駄な空間をそぎ落としたシンプルな空間 ”といった方がシックリくる「平屋」。それは利便性よりも“ 心地よさ ” を優先にした造りだからだろう。

平屋独特の “ 心地よさ ” に中に環境に溶け込む無抵抗な心地よさがある。その重要な部分を補っているのが「縁側」だ。今回は、内と外をつなぐ役割をもつ「縁側」に焦点を当ててみたい。

内と外をつなぎ、人と人とをつなぐ、コミュニケーション空間「縁側」

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内と外の空間をつなぐ縁側。「縁側」は日本の和風家屋の独特の構造で、建物のヘリ部分に張り出した板敷きの通路のことをいい、欧風建築では、ベランダ、ポーチといったものが似たような役割を果たしている。

縁側は、庭など外から直接母屋の中に入る用途も含まれているが、外の景色を眺めながら太陽の光を浴び、自然の風が室内に流れこむ心地ちよい半屋外空間は、自然と人が集まるコミュニケーションの場ともなる。

言われて納得、「くれ縁」と「濡れ縁」2種類 の異なった「縁側」。

「縁側」と聞くと頭の中には、和風建築にヘリが出ている家をイメージするが、実は縁側には「くれ縁」と「濡れ縁」と呼ばれる2種類に大まかに分けられる。

「くれ縁 」は雨戸などを使って閉じることができ室内の一部となるタイプ、「濡れ縁」とは雨戸などの戸がなく屋外として雨や風にさらされる縁側のタイプをいう。どちらも異なった魅力を持っているので、好みやライフスタイルにあった使い方を選んでみてほしい。

四季折々の景色を切り取って、「縁側」から見える絵画を楽しむ。

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縁側の魅力のひとつに、四季折々の自然の景色を眺めるという楽しみがある。縁側は中庭など外に面して作られているので、景色や庭に植えられている草木や花々を眺めるには最適な場所。

家の庭も、縁側から一枚の絵を切り取るように眺めれば一段と風情のある空間として楽しむことができる。お花見や花火大会など季節の行事をご家族やご近所の方と楽しむ場としても最適。

日本の気候風土に適した造り、室内温度を快適に保つ「縁側」。

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日本家屋の一部である縁側は、日本の気候・風土に適した要素も含んでいる。太陽高度の高い夏は軒が日差しを遮り夏の日差しが室内に入るのを防ぐ、逆に冬は太陽高度が低くなることから冬の日差しを室内に取り入れ部屋を暖かくする。日差しをコントロールし、風通しの良さを生かすことで、エアコンに頼らず夏も冬も過ごしやすい工夫がなされている。

 

内と外の空間をつなぐ「縁側」。その日本家屋独自の空間は室内にただ風を取り入れているだけの簡単な役割ではない。人と家をつなぎ、人と自然をつなぐ、さらに人と人をつなぐ空間は、それぞれの “ 心地よさ ” が緩やかに触れあう“ 接点 ”のような重要な役割を果たしている。