松山将勝による海を眺めながら時の移ろいをゆったりと楽しむ住宅 「天草の週末住宅」

福岡を拠点に活動する建築家・松山将勝。熊本県の天草諸島の辺境の地に建つ「天草の週末住宅」は、オーナーが自身の余生を過ごすために建てた、海辺に佇む自然豊かな住宅です。引退後の自由自適な暮らしにも、家族と過ごす週末の別荘にも、参考にしたい住まいです。

穏やかな海を望む、非日常が味わえる環境に佇む住宅

Via: https://www.matsuyama-a.co.jp/ | 撮影:石井紀久

敷地は、南西側に波の穏やかな内海を眼前に臨み、島原湾の向こう側には雲仙岳が構え、北側の背後には岩肌の崖が連続する環境下にあります。家業引退後の余生を過ごす海の別荘というオーナーの要望に、この場所の持つ固有性を読み解きながらこの住宅は建てられました。

建築は敷地の前面にそびえ立つ岩山のように、はじめからこの地に逞しく佇んでいたかのような、ソリッドなコンクリート造とし、海の水平性を意識した型枠W1800mm×H450mmの基本モジュールによって、全ての骨格が定められています。また、建築を海側に限界まで寄せる事で、まるで海の中に存在するかのような純度の高い、場の状態を創り出す事を意図しています。

この場所ならではの開放感が味わえる内部空間

Via: https://www.matsuyama-a.co.jp/ | 撮影:石井紀久

外観の表情は道路側と海側では全く異なり、コンクリートの塊のような闇の世界観から内部へと導入されます。扉を開けるとコンクリートの壁が外側まで拡張された内庭が現れ、外部との接触を徐々に増幅しながら通り抜けた先に、島原湾の広大な海の風景へと辿り着きます。

Via: https://www.matsuyama-a.co.jp/ | 撮影:石井紀久

その瞬間は自然の中に溶け込んでいくかのように、身体までもが開放されていくような感覚が味わえます。そうしたこの場所でしか存在しない特別な居場所を創り出す事がこの建築の主題でした。

週末住宅ならではのメンテナンスへの配慮

Via: https://www.matsuyama-a.co.jp/ | 撮影:石井紀久

週末住宅という用途の性質上、不在の時間が長いことからメンテナンス性においても、さまざまな建築的配慮が盛り込まれています。コンクリート造を採用したのは、塩害対策への基本的性能を担保する事を目的としていますが、その他にも海側の大開口に深い軒を設ける事で外壁やガラス汚染の対策、樋の葉詰まりが生じない雨水経路など、建築がその在り方で自らの性能を脅かすことがないよう、ディテールの検討も積み重ねられています。

広大な自然に包まれる、非日常の時間が味わえる住空間

水平線が果てしなく続く広大な環境と小さな建築とのスケール的関係性が保ちにくい状況において、コンクリートの壁が建築を超えた領域まで拡張する事で、周囲の環境のスケール感と住空間としての居心地の良さのバランスが取られた住宅。都会の喧騒から離れ、自然と一体化するような開放感が感じられる特別な空間です。