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10の素材から隈研吾の建築をみる「くまのものー隈研吾とささやく物質、かたる物質」。

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日本を代表する世界的建築家、隈研吾。

「負ける建築」「自然な建築」などの理念を実践してきた約30年に及ぶプロジェクトの集大成としての展示「くまのものー隈研吾とささやく物質、かたる物質」が現在開催中である。本展では特に、彼自身が触れ、そして対話してきた素材にフォーカスをあてている。主要なマテリアル(竹、木、紙、石、土など)ごとに分類・整理することで、“もの” という観点からこれまでの作品のプロセスをみることができる。

「もう一度、様々な物質と、いきいきとした会話をはじめよう。」という隈自身のメッセージが込められた本展。その魅力を、作品と合わせて紹介していきたい。

五感で感じる「竹」

  展示スペースに入ると、早速竹林にいるような香りに包まれる。その中でも一際目立っているのが「ナンチャンナンチャン」。2013年に韓国にて製作されたこの動くパビリオンは、湾曲させた竹を用いて、視覚、そして聴覚を媒介として人との関係を結び付けており、本展ではその作品を一部再現。

アーティストのヨシホリカワとのコラボレーションにより、音を発する音響システムも内蔵され、空間全体が振動する。まさに竹の特徴を最大限に生かした作品だ。隈は「竹は僕の古い友人だった」といい、その繊細で孤高な竹の魅力を経験から彼自身が感じとり、製作しているのがよくわかる。

暗い部屋で、神秘的な存在感を放つ「香柱」。2014年にロンドンのロイヤル・アカデミーから、「視覚を超えた五覚の建築を」と依頼を受けて制作された作品は、エフェクトを最大化することに挑戦し、まさに空間に香が流れていくような構造だ。

竹ヒゴと竹ヒゴとは、熱可塑性樹脂を用いて接合されており、竹ヒゴは床下から香料を吸い上げる仕組み。香り渦巻く空間に圧倒される。

「木」を編む

彼の作品といえば沢山の木が編まれた建築を想像する人も多いのではないだろうか。中でも、東京に住む人には馴染みの深い「スターバックスコーヒー太宰府天満宮表参道店」。

「奥へ奥へと引き込まれるように流動性を与えた」というこの店舗では、参道に面する細長い店舗の形をうまくいかしている。

そして、このダイアゴナルな立体格子を向きを変えることで、積層型の構造システムへと変換した「サニーヒルズジャパン」。

2層ではなく、3層重ねることで強度を増しているというこの構造は、日本の伝統的な木組みシステムのひとつである地獄組からヒントを得ているという。展示ではその木組みを間近でみることができる。

多様に変化する「樹脂」

浮かぶ風船と、布によって作られた空間「浮庵」。なんともユニークな見た目に、「これは何?」と足を止める人も多くみられた。塩ビ製の風船と、スーパーオーガンザという布によって作られたこの空間の正体は、移動式の茶室。

薄い布一枚だが、不思議と外と中では異なる空気を感じることができる。

天井からぶら下がる無数のもじゃもじゃ「てっちゃん」。このもじゃもじゃの正体は、廃材となったLANケーブルだ。

「家具、照明器具、壁、天井をやわらかくすることを試みた」というこの作品。実際に吉祥寺にある焼き鳥屋「てっちゃん」にて、その世界観を体験できる。

素材の視点からみる建築

今回の展示では、素材にフォーカスを当てることから、私たちの生活により近い視点から彼の建築をみて、感じることができた。

隈の素材ひとつひとつへの思い、そして素材との対話を垣間見ることできる本展。是非一度足を運んで体験してほしい。

「くまのものー隈研吾とささやく物質、かたる物質」

開催場所:東京ステーションギャラリー
休館日:4月30日をのぞく月曜日
開館時間:10:00~18:00
※金曜日は20:00まで開館
※入館は閉館の30分前まで
入館料:
一般(当日)1,100円 高校・大学生(当日)900円
一般(前売)900円 高校・大学生(前売)700円
※中学生以下無料
※20名以上の団体は、一般800円、高校・大学生600円
※障がい者手帳等持参の方は当日入館料から100円引き(介添者1名は無料)

Kiyo

Kiyo

専門学生兼イラストレーター。

美術館巡り、映画鑑賞が趣味です。

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