北欧デザインの巨匠アルヴァ・アアルトが手掛けた最高傑作と言われる「マイレア邸」

アルヴァ・アアルトが設計した住宅の最高傑作と言われる「マイレア邸」をご存知でしょうか。「マイレア邸」は、アアルトや妻のアイノ・アアルトらの4人で設立したフィンランドの家具ブランド「artek(アルテック)」の出資者でもあるグリクセン夫妻のための住宅で、アアルトが自由な設計を任されました。その結果、それまでに手がけた「アアルト自邸」や「アアルト・アトリエ」らの建造物をさらに発展させたアアルトの最高傑作となったのです。派手ではないけれど、小さな幸せが感じられる名作住宅「マイレア邸」をご紹介します。

周囲の木々に溶け込む建築

フィンランド南西部の地方都市からバスで向かい、40分程度森の中を歩いた先に佇む「マイレア邸」は、アルヴァ・アアルトが手掛けた傑作住宅と言われています。白いヴォリュームから木のヴォリュームが飛び出たような構成で、2階の連続する窓は少し斜めに振っています。

モダンな建物から大きく飛び出した雲のような形をした庇が印象的なエントランス。サイドには木のルーバー状の柱が並び、外からの目隠しとなることで程よい落ち着きを与えてくれます。敷地の廻りに立つ松に似たような柱によって印象的なファサードも自然と周りの風景に溶け込んでいるのです。

暮らしを楽しくするスペースの数々

マイレア邸は、L字のコートハウスのようになっており、住戸の裏には曲線が美しいプールもあります。豪邸でありながら木を基調とした素材使いや、プールやテラスの曲線を生かした造形によって柔らかさを感じられる建物は、北欧デザインの中でも特にアアルトらしいと言えます。

フィンランドらしくサウナも完備されています。

庭に面した屋外ダイニングもあり、奥の薪ストーブでお料理も楽しめそうです。

アアルトのいくつかの素材を組み合わせたり、フィンランドの森に溶けていくような自然と馴染むデザインは、ル・コルビュジエやミース・ファン・デル・ローエと言った正統派モダニズムの建築家とは一線を画すのではないでしょうか。

アアルトによる美しいインテリア

リビングの写真はこちら – Houzz

そしてマイレア邸は、インテリアが他の建築物と比べ格段に美しいといわれます。室内の撮影は禁止されており、現地でしかその空間美を味わえません。

庇で見られたような、円柱のルーバーが配置されている階段は、柔らかい印象を与えることはもちろん、どこかアジアンテイストでピッチに変化を与えつつ丸い柱と同化して部屋の中央にありつつその存在感を和らげてくれます。

リビングの写真はこちら – Houzz

各部屋に北欧らしい家具やファブリック、アートが配置されていて、よりインテリアが豊かなものになります。奥にはサロンがあり、日本をイメージするような格子状の木質が連続しており、和を感じさせる空間が広がっています。

まとめ

アルヴァ・アアルトの最高傑作と言われる「マイレア邸」は、彼が手がけた建築のなかでも最もインテリアが素晴らしくまとめられています。デザインの美しさに限らず、マイレア邸には日々の暮らしを豊かにする工夫がたくさん。 外では、アウトドアダイニングで食事を楽しみ、夜は暖炉の火を見ながらお酒を飲む。またはサウナに入ってプールで汗を流して、好きな事をして気ままに過ごす。そんな日々の暮らしを最大限に楽しめる建築こそ名作とよばれる住宅なのでしょう。

Villa Mairea – マイレア邸

開館日:おおよそ6~9月
入館料:20€
URL : https://www.villamairea.fi
住所:Pikkukoivukuja 20, 29600 Noormarkku, Finland