フィンランド随一の音響設計とガラス箱のような設計が美しい「ヘルシンキ・ミュージックセンター」
ヘルシンキ北部の中央駅近くには、国会議事堂やキアズマ現代美術館、ヘルシンキ中央図書館「Oodi(オーディ)」など様々な施設が集まるエリアがある。中でも2013年にオープンした新しいコンサートホール「ヘルシンキミュージックセンター」は外観設計、エントランスデザイン、そして世界屈指の音響設計で注目を集めている。
Oodiの向かいに建つ音楽ホール「ヘルシンキ・ミュージックセンター」
2011年に開館した「ヘルシンキ・ミュージックセンター」は、フィンランドの新しいランドマークとしても知られるキアズマ現代美術館(Oodi)向かい側に存在する。
ヘルシンキ・ミュージックセンターでは、フィンランドのトゥルクに拠点を置くLPR設計事務所のマルコ・キヴィストとオラ・ライホ、ミッコ・プルッキネンの3人が手がけた建築を見ることができる。
彼らが掲げたデザインテーマは音楽用語で「穏やかな声」を意味する「A Mezza Voce」。設計の観点では「周囲の景観を損なうことなく、そっと歩く」という意味を持ち、近隣にあるOodiなどの個性的な建物との調和を考えたデザインは、控え目ながらも淡麗として格好良い。
女神ガイアのオブジェが目を引くエントランス
中へ入るとまず目を引くのは、女神ガイアを表現した大きなオブジェ。木質でできた壁面へ窓から光が柔らかく差し込みながらも、その影がブレンドされ写し出される演出も美しい。
メインホールの音響設計は永田音響設計の豊田泰久氏によるもの
元々、ヘルシンキには「フィンランド・ホール」という有名なホールが存在した。しかし、フィンランド・ホールは音響効果の評判が良くなかったため、新しく作られたヘルシンキ・ミュージックホールはとにかく音響にこだわったという。
音響を一番に考え設計された音響設計を手がけたのは、ロサンゼルスにある「ウォルト・ディズニー・コンサートホール」の音響も手掛けた音響設計家、永田音響設計の豊田泰久氏。フィンランドのLPR設計事務所と提携しデザインされた。
大ホールは内壁の色調からフィンランドの伝統「スモークサウナ」を連想させる内壁をあしらい、客席にも木質の丸太を感じさせるデザインが新しい。
大自然と木の心地を感じる空間デザインと、豊田泰久氏が作りだす世界レベルの豊かな反響。それらの共鳴は申し分なく美しく、楽器の音色が明瞭に響く心地は圧巻だ。
「ヘルシンキ・ミュージックセンター」は、北欧的な柔らかさと前衛的な現代建築を合わせた印象深い建築。アルヴァ・アアルトによるフィンランディア・ホールとともにフィンランドの音楽文化を継承していくに違いない。
Helsinki Music Centre – ヘルシンキ・ミュージックセンター
開館時間:8:00~22:00(土・日曜日10:00~)
URL : https://www.musiikkitalo.fi
住所:Mannerheimintie 13 A, 00100 Helsinki, Finland