ミラノデザインウィーク2018のスーパースタジオに出展した「bud brand(バッドブランド)」の作品。
4月17日から4月22日までイタリア・ミラノ開催されたミラノデザインウィーク2018。「bud brand(バッドブランド)」は、例年同様に新進気鋭のデザイナー達が集まるトルトーナ地区のSuperStudioのという場所の「SuperDesignShow」に出展した。トルトーナ地区のSuperStudioは、フォーリサローネと言われるフィエラ本会場以外で最も注目度が高く、来場者数の多い場所である。
今年は、SuperStudioで佐藤オオキ率いる「nendo」の新作を含む大規模な個展も開催されたこともあり、例年以上の来場者数だったのではないかと思われる。「bud brand(バッドブランド)」のブースにも大勢の各国の人々が訪れ、興味深そうに作品に見入っていた様子が見受けられた。
bud brand(バッドブランド)2018のテーマは「お祝い – おめでたいプロダクト」
わたしたちの過ごす日々には、小さなコトから人生に関わる出来事までたくさんのおめでたい出来事があります。お祝いのシーンに彩りや華やかさを添えるモノ。お祝いの気持ちとともに贈るモノ。祝福の想いが伝わるモノ。遊べるモノなど、生活が楽しく、心が豊かになるような“お祝い”にまつわる【おめでたいプロダクト】をテーマとします。
※お祝いのシーンは自由に想定
例:進学/新築/還暦/結婚/出産/就職/入園・入学/卒園・卒業/開店・開業/成人・・・etc
今年は「お祝い – おめでたいプロダクト」と、少し遊び心が加わりそうなテーマ。また、今回は明確に日本の伝統技術や職人さんなどとコラボレーションした作品を出展。その分クオリティとユニークさが高くなった「bud brand(バッドブランド)」の作品を紹介していく。
会津漆器の花塗りを用いたランチプレート「Aizu Flat」
「Aizu Flat – アイズフラット」は、表面を研磨せず鏡のように仕上げる会津漆器の独特の「花塗り」という技法を用いたランチプレート。人の力設計室一級建築士事務所主宰の小林哲治氏のデザインで、伝統工芸士である塗師の古川勝規が製作。花塗りの平面を、スリット目地でつないでゆくシンプルな形状で構成され、大きさ、高さ、色、材質の異なるプレートを組み合わせて使用する。料理や人数に合わせて色々な組み合わせを楽しむことができ、自分のプレートなのか他社のプレートなのか境界が曖昧になっていくことが非常におもしろい作品だ。
参考:http://www.bud-brand.com/#modal-object-1
金継ぎの技法を使ったまな板「HIBITSUGI」
金継ぎの技法を使ったまな板「HIBITSUGI」は、「ひびをつなげていく」愛され永く受け継ぐことができるモノ・コトを具現化した作品。WONDERWOODの坂口祐貴氏が製作で、FANFARE Co., Ltd.の木谷氏のデザイン。一度継ぐと離れない、ということからご祝儀道具ともされる縁起のいいとされる「金継ぎ」は、景色としてみたて愉しむ、別のものとつなげ価値を生みだす、
継ぎを美とし愉しむ、など修復としての役割に止まらない。「HIBITSUGI」は一度はくずれたモノコトでも修復し、さらにはより良いものへ昇華することを目指す。
参考:http://www.bud-brand.com/#modal-object-2
花を添えるような木皿のテーブルウェア「木花」
新築に際してのお祝いの贈り物としての木皿のテーブルウェア「木花」は、一点一点木の素材を活かしたシンプルな木皿と木匙で、台座に収めると花のような立体的な造形となる。新築のお祝いに花を添えるような家族の日常生活に寄り添う姿をしている。時の経過とともにたえず表情が変化し、風合いが増してゆく、一時として同じ状態である木であることの意味がある。横浜を拠点に活動する注文家具工房「HALF MOON FURNITURE WORKSHOP」が手掛けている。
参考:http://www.bud-brand.com/#modal-object-3
盆栽をメタファーにしたホームアクセサリー「meta-bonsai」
春の訪れを表す和柄“霞”を用いた「meta-bonsai」は、“松”の盆栽モチーフにしたホームアクセサリーだ。光や風をとらえ景色に変化を生む“葉”と、華やかさをもたらし“実”は、癒やしの香りをまとっている。枝は幹を軸に回転できるので枝ぶりを愉しむことができ、春の訪れを表す和柄“霞”を用いオブジェクトとして表現。葉や実としてデザインされたオブジェFANFARE Co., Ltd.の木谷氏のデザインで、RILNO(リルノ)と戸崎鐵工所が製作した。「meta-bonsai」は、窓辺・テーブル・玄関・シェルフなど空間にある余白に縁起と新鮮な景色をもたらす。
参考:http://www.bud-brand.com/#modal-object-4
三州瓦の素材と鬼瓦の技術を使った菱形六面体の酒枡「菱」
古来よりおめでたい形として用いられ、家紋に使われる菱形を組み合わせてデザインされた「菱」は、愛知・三河の三州瓦の素材と鬼瓦の技術を使ってできたこれまでにない酒枡である。その形状故に注ぎやすく機能的であり、複数個組み合わせて多彩なオブジェクトを生み出すことができる。大前洋輔氏とLINEs AND ANGLEs の西脇佑氏のデザインで、丸市の代表で鬼瓦職人で鬼師の加藤佳敬氏の製作による作品だ。この「菱」は、お祝いの席でも心地良く使うことができ、プレゼントした後でも様々な場所に色々な形でおもいおもいに飾られる。
参考:http://www.bud-brand.com/#modal-object-5
益子ならではの独特の釉薬を使った皮鯨タイル「Do-asobi tile」
「Do-asobi tile」は、益子ならではの数多の釉薬が混ざり合った独特の釉薬である皮鯨を使ったタイルである。陶芸の街、益子ではあまった釉薬をひとつの容器に入れて保管するが、それを活かしたことで、その時々で変わる色合いやカタチは現代の画一的な工業製品では作れないタイルとなった。韓国と日本の陶芸界を結んで韓日交流に貢献した陶芸家・合田好道氏の和田窯が製作した。
参考:http://www.bud-brand.com/#modal-object-6
今回は既に活躍中のデザイナーと職人による作品だが、次回は主に産学協同プロジェクトとして進めていた学生がデザインした「bud brand(バッドブランド)」の作品を紹介していく。
昨年の作品は下記を参考に。