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アルヴァ・アアルトが手掛けた北欧・フィンランド最大の書店「アカデミア書店」が素敵。

「アカデミア書店」は、1969年にアアルトが設計した、地上3階、地下1階のフィンランド最大の書店です。2階の一角にはアアルトの名前のついたカフェが併設されています。この国内最大の書店は、老舗デパート ストックマンのとなりにあり、アアルトの建築めぐりのスタートとして最適な場所に位置しています。今回はこちらの「アカデミア書店」をご紹介します。

交差点をつくる通りに合わせて表情を変える外観

この建物は2つの通りの交差点にあり、その銅板で包まれた外観は、他のアアルトの建築ではあまり見られないような重厚な存在感が感じられます。窓廻りに注目すると、片側の通りに面する部分は窓の枠も外壁と同じ銅板。一方もう一つの面は窓廻りに白い大理石を用い、表情が明るく見えるようにしています。

これはそれぞれの通りの他の建物、街並みに対する配慮から出たデザインなのです。同じ建物でも面によって表情を変えることで歴史ある町並みでも浮くことなく、街の構成要素として溶け込んでいます。

書店は北欧最大級のデパートで知られるストックマンに隣接しており、ストックマンとは地下通路で繋がっているため、一度外に出なくてもそのまま入ることができます。地上3階、地下1階の巨大な本屋です。

店内は白を基調としており、丸みのある灯りがいかにもアアルト的なやわらかな印象を与えます。床や二階の縁は大理石が敷かれており、装飾要素は少ないながらも高級感が感じられる空間です。ちなみに、本を納めている棚もそのほとんどがアアルトのデザインです。

トップライトの光が心地よい開放的な空間

1階は吹き抜けで、上階は回廊式になっている開放感のあるスペース。中央にはこの建物の最大の特徴である、逆三角形のトップライトが配されています。高度が低い北欧の太陽の光を内部まで反射させて全体を明るく照らします。

北欧の気候を知り尽くしたアアルトならではの、日照時間の短い北欧での建築に対する工夫を感じさせてくれます。暖色の照明の効果もあり、あたたかな雰囲気を作り出しています。

空間が気持ちよく感じられる要因のひとつに、本の配列がありそうです。目線が建物の端から端まで通るように、書籍棚の高さが低く設定されており、目線が通ります。そのため空間を広く感じることができ、ゆとりが生まれるのです。

平積みしてある書籍には照明が当たるようになっており、吹き抜け回りの本の並び方や照明のあて方など建築だけでなくインテリアも緻密にデザインされていることが伝わります。

隅々まで居心地のよい雰囲気

中にはアアルトがデザインした家具の展示も。

暗めの照明で落ち着いた雰囲気は、書店というより図書館に近いかもしれません。

アカデミア書店の2階は、アアルトがデザインしたカフェ、その名も「カフェ・アアルト」があります。アアルトがデザインしたゴールデンベルがスマートな印象を作り出します。椅子はアルネ・ヤコブセンがデザインしたアリンコ・チェア。デンマークとフィンランドの巨匠のコラボレーションが身近に楽しめます。

本とともに気持ちよく過ごせる開放的な空間

アルヴァ・アアルトらしいインテリアを中心にデザインされた建築。それに加え読書文化が根付くフィンランドらしく書籍を演出する工夫が各所にみられ、書店だけれど図書館のように居心地がいい空間が広がっていたのでした。

Akateeminen Kirjakauppa – アカデミア書店

営業時間:9:00~21:00(土曜日~19:00/日曜日11:00~)
定休日:水曜日
URL : https://www.akateeminen.com
住所:Keskuskatu 1, 00100 Helsinki, finland

榎本綾

榎本綾

新しいものよりヴィンテージに惹かれます。

建築家は坂茂が好き。

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