「人々の日常を豊かに。」建築家・永山祐子が語るデザインとこれまでの歩み。

毎週月曜日に立山律子がお送りする福岡のラジオ放送CROSS FM「DAY+」。「#casa(ハッシュカーサ)」の枠に今回ゲストとしてお越し頂いたのは、2021年に開催されるドバイ万博の日本館や、新宿歌舞伎町の超高層ビルのファサードデザインなど、国内外で大規模なプロジェクトを手がける建築家・永山祐子(ながやまゆうこ)さんです。前編のこちらではデザインに対するこだわりや今後の在り方、建築家を目指したきっかけ等を伺います。

建築家・永山祐子さん

永山祐子
撮影:木内和美

1975年東京生まれ。昭和女子大学生活美学科卒業後、1998-2002年 青木淳建築計画事務所勤務。2002年永山祐子建築設計設立。代表作に〈YLANG YLANG〉〈ルイヴィトン京都大丸店〉〈丘のある家〉〈anteprima plastiq六本木ヒルズ店〉など。ヨーロッパやアジアでも、プロジェクトを抱え、現在 京都精華大学、昭和女子大学、お茶の水女子大学、名古屋工業大学などで非常勤講師も勤められています。

普段の生活で大切にしているデザインは?

西麻布のいえ
Via : yukonagayama.co.jp / 西麻布のいえ | 撮影:表恒匡 / Nobutada Omote

まずはじめに伺ったのは「日常生活の中で大切にしているデザイン」について。空間を創る仕事をする永山さんにとって、普段意識しているデザインとはどういったものなのでしょうか。

「私は建築を通して暮らしに関わるデザインをしているので、その場の人々の日常が豊かになるようなシーンが生まれるデザインを大切にしています。」と答えた永山さん。

SiSii
Via : yukonagayama.co.jp / SiSii | 撮影:阿野太一 / Daici Ano

住宅や職場など日常的に過ごす空間だからこそ、テラスやインテリアに自然を取り込んだり、人との交流が生まれるスペースを設けたり、豊かな時間を過ごせるデザインを常に意識されているそうです。

建築についての自身のこだわり

tonarie大和高田
Via : yukonagayama.co.jp / tonarie 大和高田 | 撮影:表恒匡 / Nobutada Omote

例えば「tonarie 大和高田」は、通路がアクセントになっている可愛らしいウィットに飛んだ作品のようですが、建築を考えるうえで意識していることはあるのでしょうか。

「これはテナントビルなので、商業施設が入っています。とはいえ建物の立地的に商業地区と住宅地区の境界線のような場所だったので、どちらにも見えるような佇まいを設計しました。建物自体の役割はもちろんですが、周囲の環境に溶け込むような設計を心がけています。」

tonarie大和高田
Via : yukonagayama.co.jp / tonarie 大和高田 | 撮影:表恒匡 / Nobutada Omote

おしゃれだから商業ビルにも見える一方、通路などの機能性のあるポイントも見せることで公共空間のようにも見える。建物が位置する環境を考慮し、まわりに溶け込むことで、その地域に住まう住民からも長く愛されるランドマークになり、人々の日常を豊かにする存在となるのかもしれません。

永山祐子さんの好きな場所・空間

LLove
Via : yukonagayama.co.jp / LLove | 撮影:Takumi Ota

現在、小学1、2年のお子さんを持つ永山さんにとって、好きな空間・場所を挙げるとすると“公園などの外部空間”なのだそう。

「子供がのびのび遊びたい時期なので、公園や、室内であれ家の中であればテラスや半外部的な空間が好きです。」

お子さんを持つ母親らしい視点が伺えます。今後もお子さんが成長するにつれ好きな空間への視点は変化し、ご自身の作品にも良い影響を与えてくれるのではないでしょうか。

今後の暮らしのデザインはどう変わっていく?

LivLi Station 秋葉原
Via : yukonagayama.co.jp / LivLi Station 秋葉原 | 撮影:阿野太一 / Daici Ano

建築家として精力的に活動される一方、母としても大忙しな永山さん。流動的な世の中での、これからの暮らしについて尋ねてみました。

「新型コロナウィルスの影響でテレワークが広がったことで、今後生活空間のなかに働く場が共存していくようになるのではないかと考えています。つまり、逆の視点で言うと、働く場所が多用な用途に使われるようになってきているので、人々がリラックスして心地よく動ける空間が求められてくると思います。」

勝田台のいえ
Via : yukonagayama.co.jp / 勝田台のいえ | 撮影:阿野太一 / Daici Ano

テレワークや在宅勤務が浸透し、様々な空間が勤務スペースへと変化する現代。自分らしい仕事を行うためにもリラックスできる空間が今後のポイントとなりそうです。

建築家を目指すきっかけとは?

最初から建築家を目指しているわけではなかったという永山さん。なにが一生の仕事を決めるきっかけとなったのでしょうか。

「小さい頃から絵本や空想の世界が好きだったので、絵本や物語をつくる人になりたいと思っていました。高校生になり、進路を考えているときに、父が生物・物理研究者なのもあって、小さなミクロの世界にも惹かれていたのですが、受験をするタイミングで友人のなかに建築家を目指す子がいたんです。それを聞いた瞬間に、小さな世界も魅力的ですが、リアルで大きな世界も面白そうだと感じ、建築の世界を志しました。」

要所要所でなりたいものは変わったように聞こえますが、その根底ではやりたかった世界観は繋がっていたと話す永山さん。自分の頭で作り上げた世界に、現実を取り込みながら実現させていくことが、永山さんの一生のテーマなのかもしれませんね。

師・青木淳氏との共通点

URBANPREM南青山
Via : yukonagayama.co.jp / URBANPREM南青山 | 撮影:阿野太一 / Daici Ano

多くの建築家を輩出している青木淳氏の建築事務所に大学卒業後入社され、現在は自身の事務所を持たれている永山さん。師である青木淳さんとの共通点はあるのでしょうか。

「所員時代には、プロジェクトごとに各担当者とじっくり話し合いながら設計を進めることを大切にしていたので、そういった自身の意志を通すのではなく、相手と真摯に向き合うスタイルは一緒だと思います。異なる点を挙げるとしたら、私が手がけるプロジェクトに商業寄りな建築が多いことだと思います。」

商業施設に携わることが多いという永山さん。デベロッパーや施工スタッフなど多くの人がかかわり、完成後も多くの人々が訪れる空間だからこそ、それぞれの相手の意見を柔軟に取り込む姿勢がより生かされているのでしょう。

多くの人々と想いや意思を共有し、ともに創り上げる建築

建築家として、母として、常に忙しく活動されている永山さん。仕事を共に進める仲間の意見を取り込むのはもちろん、母親としての視点も生かし、多くの人々にとって豊かな日常を過ごせる空間を実現されているようです。

毎週様々なジャンルのスペシャリストが登場するラジオ版の「#casa(ハッシュカーサ)」。聴き逃した方はRadiotalkでもお楽しみ頂けます。