「今後は”超都市”になっていく」建築家・藤村龍至が考えるSNSと建築の関係性と都市の変化

前編:「暮らしが見えてくるまちこそ魅力的」建築家・藤村龍至のデザインへの視点と自身の設計の特徴

グッドデザイン賞や福岡県美しいまちづくり建築賞を受賞した「すばる保育園」や、INAXデザインコンテストにて審査員特別賞を受賞した「BUILDING K」など様々な建築物を通じて、超線形設計プロセスという独自の設計手法を提唱する建築家・藤村龍至。今回は藤村さんに、SNSと建築の関係性や、新型コロナウィルスの建築業界への影響について伺いました。

建築とSNSの関係性

Via : http://ryujifujimura.jp / Photo : Kenshu Shintsubo

日頃からSNSを積極的に活用されている藤村さんですが、SNSと建築はどのように作用するとお考えでしょうか。

「どちらもまちを動かす力があると思っています。建築はまちを動かしていかないと作れないし、むしろまちを動かすために作っていくもの。その時に機運みたいな空気感を作っていくことが、SNSでも重要だと考えています。様々な評判に晒されたり、みんなが一つの方向を目指したりと、共通点が多いと思います。」

都市と郊外の関係性の変化とは?

アーバンデザインセンター大宮「おおみやストリートテラス」2018 撮影=Hiroyuki Kudoh (PHOTO MIO JAPAN)

まちづくりのプロジェクトにも関わっている藤村さん。コロナの影響で在宅勤務が広がり、都市から郊外へ引っ越す人も増えています。そうした中で都市空間、郊外、地方の空間はどう変わっていくでしょうか。

「”超都市”になると考えています。今までは大都市があって、その周辺に郊外があって、地方があって、となっていました。今後は、大都市を中心に人が集まる、という流れがなくなり、様々なところに人が分散して住むようになっていくと考えています。大都市じゃなくて、”超都市”という新しい動きとして捉えたらいいのではないでしょうか。」

建築の分野での新型コロナウィルスの影響とは?

藤村龍至「あいちプロジェクト」2015 撮影=Yoshihiro Kikuyama

長く続く新型コロナウィルスとの共生。リモートワークや時差出社など、生活様式にも新しいスタンダードが生まれましたが、建築業界にはどのような影響があるのでしょうか。

「建築は具体的なデザインであるので、人と人が会うことで機運を高めて動かしてく、ということが大きいです。密を避けるため、一箇所に集まらないやり方でそれをどうやっていくか、を意識する必要がありそうです。」

新型コロナウィルスとご自身の活動について

コロナ禍で変わりゆく暮らしに呼応して、ご自身の活動はどのように変わっていきますか?

「今までのように自分がその場にいけるか、みんなで集まれるかどうかが基準ではなく、メンバーが分散した状態でもことを動かしていく、ということがスタンダードになっていくと考えています。」

確かに、どんな場所にいてもコミュニケーションが可能になった現代では、どんなプロジェクトでも物理的距離は関係なくなっていくのかもしれませんね。

ライフイズ〇〇

「つばきの森のマーケット」2019 撮影=Ryuji Fujimura

建築家として、様々なプロジェクトで活躍されている藤村さん。そんな藤村さんにとってライフイズ◯◯の〇〇に入るものは何でしょうか?

「プロセスですかね。連続した過去から未来の中でライフみたいなものが見えてくると思っているんです。突然ライフが変わることはなく、連続する中でライフが生成されていくと考えています。」

暮らしは経過の連続と捉える藤村さん。周囲の意見や社会の変化を取り込み、柔軟な提案を行う藤村さんらしい視点でした。

コミュニケーションから生まれる多様な視点で変化を捉える

常に変化し続ける時代に呼応するように、様々な立場のメンバーとの日々のコミュニケーションを重んじる藤村さん。そんな藤村さんが日常で大切にしているデザインや、影響を受けた人物については「『暮らしが見えてくるまちこそ魅力的』建築家・藤村龍至のデザインへの視点と自身の設計の特徴」からどうぞ。