ミラノデザインウィーク2018に「bud brand(バッドブランド)」産学協同プロジェクトの作品が出展。

前回紹介した「Aizu Flat」「HIBITSUGI」「木花」「meta-bonsai」「菱」「Do-asobi tile」は、既に活躍中のデザイナーと日本の伝統的な高い技術を持った職人のコラボレーションによって産み出された作品である。今回紹介する作品は主に「bud brand(バッドブランド)」の産学協同プロジェクトから産まれた、日本各地の大学生や専門学生の作品である。

前回の記事はこちら→「ミラノデザインウィーク2018のスーパースタジオに出展した「bud brand(バッドブランド)」の作品。

また、産学協同プロジェクトのプレゼンテーションの様子などは「ミラノサローネに出展するデザイナーを発掘する産学協同プロジェクト「bud brand」」で紹介している。

色彩を遊びながら学ぶおもちゃ「Iroha」

静岡デザイン専門学校の学生の卒業制作の作品である「Iroha」は、生まれてきた子供が大きな木のように元気にすくすく育ってほしいという思いと、多くの色を吸収しながら彩りある未来をつくってほしいという思いを込めた木のおもちゃである。

参考:http://www.bud-brand.com/#modal-object-7

テーブルウェア「つながりの器」

東京工芸大学の学生の作品である「つながりの器」は、二人分の食器が一つにまとまる様子を、二人 が「二人で一つの家族」である姿に重ねたテーブルウェアである。日本では子孫繁栄や無病息災といった意味があり、祝いの場で数多く用いられてきた菱形をモチーフにしている。このデザインを実現した高度な製作技術は、鹿沼組子を製造している有限会社豊田木工所によるもの。

参考:http://www.bud-brand.com/#modal-object-8

水引がモチーフの一輪挿し「花纏」

福岡デザイン専門学校の学生の卒業制作の作品の「花纏」は、日本の祝い事の際に贈答品や祝儀袋にかける飾り紐のことを水引をモチーフにした一輪挿しである。花器として、口の部分を上下にスライドさせたり、回すことで花の姿に合わせ水引きの形状を変えることで、華を纏うドレスのように、花の魅力を引き出すことができる。

参考:http://www.bud-brand.com/#modal-object-9

革で仕立てた傘「LEATHER UMBRELLA」

静岡デザイン専門学校の学生の卒業制作の作品である「LEATHER UMBRELLA」は、一言で言うと革で仕立てた傘である。結婚式で演出として「相合傘」をするのは、降り注ぐ困難から身を守る意味があり、長寿を表す言葉に80歳を意味する「傘寿」があるように、傘はおめでたいプロダクトとして時々強い意味合いを持つ。末広がりな形状から縁起物として贈り物に最適である。

参考:http://www.bud-brand.com/#modal-object-10

お祝い事に縁起の良い箸置き「節」「矢羽」

福岡デザイン専門学校の学生の卒業制作の作品「節」「矢羽」は、お祝い事に縁起の良い贈り物としてパッケージまでデザインされた箸置きである。ひとつでも、二つ、三つと繋げても使うことができる「節」は、節目節目を大切に祝い合う「節」のつながりを形にしている。縁起物として「魔を破り、災厄を祓う矢」という意味を持つ破魔矢は、お箸を置きやすくするとともに、パッケージに収めた時には、段差が陰影を生み矢羽のイメージを伝える。

参考:http://www.bud-brand.com/#modal-object-11

御箸台をモチーフにした「おもてなしの箸置き」

福岡デザイン専門学校の学生の卒業制作の作品「おもてなしの箸置き」は、穀物の豊作を祝うお祭りの際に使う「御箸台」をモチーフにした箸置きである。シンプルな形をした「おもてなしの箸置き」ではあるが、お箸を受ける嚠喨たる曲面は丁寧に磨かれ、 小さなフォルムの中に凛とした佇まいを秘め、豊かな時間と空間を演出する。

参考:http://www.bud-brand.com/#modal-object-12

 

今回紹介した作品は、産学協同プロジェクトによる学生作品ではあるものの、視点や造形がユニークであったり、すぐにでも商品として世に出ていて遜色のないものもあり、活躍中のデザイナーの作品と合わせて非常に注目されていた。また、世界最大の家具見本市であり、デザインの発表の場でもあるミラノサローネ・ミラノデザインウィークに出展することだけでなく、実際の製作にあたっても職人さんとのコラボレーションも含めて貴重な経験になったのではないだろうか。