清川あさみと名和晃平による二人展「Invisible Garden」がポーラミュージアムアネックスで9月16日(水)より開催
東京・銀座のポーラ ミュージアム アネックスにて、美術家・清川あさみと彫刻家・名和晃平による二人展「Invisible Garden」が、2026年9月16日(水)から11月8日(日)まで開催されます。
写真や布に刺繍を施しながら、記憶や物語、目には見えない感覚を作品として可視化してきた清川あさみ。一方、名和晃平は、ガラスビーズなどでモチーフの表面を覆う代表作「PixCell」をはじめ、素材と知覚の関係を探究してきました。それぞれ異なる方法で「見ること」のあり方を問い続けてきた二人が初めて本格的に向き合う本展では、有形と無形、自然と人工、現実と仮想が入り混じる現代の風景を、「にわ」というイメージから描き出します。
清川あさみの『みえないにわ』から広がった「Invisible Garden」

本展の出発点となったのは、清川あさみの著書『みえないにわ – Invisible Garden』です。
私たちの周囲には、目で捉えられるものだけではなく、記憶や時間、夢、想像力といった形のないものが存在しています。さらに現代社会では、現実の風景とデジタル空間、自然物と人工物といった境界も曖昧になりつつあります。
「Invisible Garden」が描こうとする「にわ」は、整然と完成された庭園ではありません。滴や胞子、微生物、植物や動物といった生命の気配から、人の記憶や時間、夢や想像力まで、さまざまな存在が重なり合いながら生成され続ける場所です。
清川が糸によって紡ぎ出すイメージと、名和が「セル(細胞・粒)」という概念を通して変換するイメージ。それぞれ独立した作品でありながら、白を基調とした展示空間のなかでゆるやかに呼応し、ひとつの「Invisible Garden」をつくり上げます。
現代美術家/アートディレクター・清川あさみ

兵庫県淡路島生まれ。東京を拠点に活動。写真や雑誌、布、書物に刺繍を施す独自の表現を出発点に、「見えないものを可視化すること」をテーマに作品を制作。近年は、記憶・神話・自然・AI時代の想像力を主題に、平面作品、インスタレーション、公共アート、映像、出版など領域を横断して活動している。
代表作に「Our New World」「Dream Time」「Serendipity」シリーズ。
虎ノ門ヒルズ駅の大型パブリックアート《Our New World (Toranomon)》をはじめ、国内外で多数の展覧会を開催。また教育活動にも力を注ぎ、大阪芸術大学で特別講義を行うほか、子どもたちとの創作プロジェクトや地域文化事業にも取り組む。
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』をはじめとした書籍の絵を手がけるほか、著書に『千年後の百人一首』など。2026年、新刊『みえないにわ – Invisible Garden』刊行予定。
彫刻家/Sandwich Inc.主宰/京都芸術大学教授・名和晃平

1975年生まれ。京都を拠点に活動。2003年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士課程彫刻専攻修了。2009年「Sandwich」を創設。感覚に接続するインターフェイスとして彫刻の「表皮」に着目し、セル(細胞・粒)という概念を機軸に創作を続ける。彫刻の定義を柔軟に解釈し、鑑賞者に素材の物性がひらかれてくるような知覚体験を生み出してきた。
近年では、アートパビリオン《洸庭》など、建築のプロジェクトも手がける。2015年以降、ベルギーの振付家 ダミアン・ジャレとの協働によるパフォーマンス作品《VESSEL》《Mist》《Planet [wanderer]》《Mirage》を制作。2018年にフランス・ルーヴル美術館 ピラミッド内にて彫刻作品《Throne》を特別展示。2023年、フランス・セーヌ川のセガン島に屋外彫刻作品《Ether (Equality)》を恒久設置。
近年の個展として、「Sentient」(SCAI THE BATHHOUSE、東京、2025)、「Photon Camp」(Pace Gallery、ロサンゼルス、2026)がある。
全幅約9メートル、二人の表現が交差する《PixCell-Our New World》

展覧会の中心となるのが、清川あさみと名和晃平による共同制作《PixCell-Our New World》です。全幅約9メートルという大型作品で、二人の表現方法がひとつの画面上で交差します。
作品のベースとなっているのは、風景写真や生成AIによる画像の断片を用い、清川が構成した「Our New World」です。そこに名和が透明なセルを施すことで、元となるイメージは細かく分割されると同時に、見る位置や光によって再びひとつの風景として立ち上がります。

透明なセルを介して見ることで、像は拡大されたり歪んだりし、輪郭が不確かなものへと変化します。デジタルと現実の境界が曖昧になった現代において、私たちが目にしている世界そのものの不確かさを象徴しているようでもあります。
清川によって紡がれたイメージと、名和によって物質的に変換された表面。その二つが重なることで、どちらか一方の作品には還元できない、新しい風景が現れます。
清川あさみ「Serendipity」と名和晃平「PixCell-Random」の新作も展示

会場では《PixCell-Our New World》だけでなく、それぞれのアーティストによる作品も紹介されます。
清川あさみは、写真や雑誌、布などに刺繍を施す独自の手法を出発点として、「見えないものを可視化すること」をテーマに制作を続けてきました。近年では記憶や神話、自然、そしてAI時代における想像力へとテーマを広げ、平面作品だけでなくインスタレーションや映像、公共アートなど多様な表現を展開しています。本展では「Serendipity」をはじめとする作品が展示されます。

対する名和晃平は、彫刻の表面を「皮膚」のようなインターフェイスとして捉え、「セル(細胞・粒)」という概念を軸に制作を続けてきた彫刻家です。代表的な「PixCell」シリーズでは、モチーフを透明な球体で覆うことで、実体とイメージの関係を揺さぶります。
今回の「Invisible Garden」では、「PixCell」の近年の展開となる「PixCell-Random」の新作も登場。清川の作品と同じ空間に配置されることで、色彩、素材、輪郭、光といった異なる要素が互いに影響を与えながら、展示空間全体を構成します。
作品の間を歩きながら自分だけの「みえないにわ」を探す

「Invisible Garden」で重要なのは、個々の作品を鑑賞するだけではなく、その間を歩くという身体的な体験です。
ある作品から次の作品へと移動するなかで、鑑賞者は断片的なイメージを自身の記憶や感覚と重ね合わせていきます。同じ作品を見ていても、そこから思い浮かべる場所や記憶、感じ取る生命の気配は人によって異なります。
その意味で、本展における「にわ」はアーティストによって完成された空間ではありません。作品と鑑賞者、光や素材、時間が出会うことで、その瞬間ごとに形を変えながら生まれていく場所なのです。
さらに会期中は、ポーラ ミュージアム アネックスのあるポーラ銀座ビル3階のギャラリーだけでなく、1階の「POLA GINZA」にも作品を展示。植物や滴をモチーフとした作品によるインスタレーションが展開されます。
3階と1階という二つの空間を行き来しながら作品を辿る体験は、まさに庭を散策することにも似ています。

また、この展覧会は2026年の「アートウィーク東京」に参加予定です。
URL:https://www.artweektokyo.com/
清川あさみと名和晃平がつくる、境界のない新しい風景
刺繍によって目には見えない記憶や感覚を紡ぎ出す清川あさみと、彫刻の表面を変換することで知覚そのものを揺さぶる名和晃平。一見すると異なる表現方法を用いる二人ですが、その作品には「私たちは世界をどのように見ているのか」という共通する問いを見出すことができます。
情報が絶えず流れ、生成AIをはじめとする技術によって現実と仮想の境界さえ変わり始めた時代に、私たちが見ているものとは何なのか。そして、その奥に存在する目には見えないものを、どのように感じ取ることができるのか。
二人の作品が響き合う「Invisible Garden」は、鑑賞者それぞれの記憶や想像力によって異なる姿を見せます。銀座の展示空間を歩きながら、自分だけの「みえないにわ」を探してみてはいかがでしょうか。
清川あさみ|名和晃平「Invisible Garden」
会期:2026年9月16日(水)〜11月8日(日) ※会期中無休
時間:11:00〜19:00(入場は18:30まで)
※11月6日(金)〜8日(日)は10:00開館
会場:ポーラ ミュージアム アネックス
所在地:東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
入場料:無料
主催:株式会社ポーラ・オルビスホールディングス
協力:ASAMI inc.、Sandwich Inc.
URL:https://www.po-holdings.co.jp/m-annex/