水にととのい、火を囲み、星と語らう。プライベートサウナと空に開くテラスが生む「創造の余白」
前編:窓のないファサードが問いかけるもの。ホテルライクな住まい「童心が息づく、創造の余白」
サウナで心身をリセットし、空に開いたテラスで外気浴をして、おこもりリビングで足を伸ばしてゴロゴロと過ごす。そんな当たり前のようで、現代の住宅では案外難しくなってしまった時間の使い方を、この家は日常の中に当然のこととして組み込んでいます。2階は「遊びのゾーン」として丸ごと設計されたフロア。周囲の視線から完全に解放されたその空間には、感性と知性がやわらかく遊べる余白が、豊かに広がっています。
2階は、「遊び」のためのフロア

1階の静かな寝室ゾーンとは対照的に、2階はダイニングキッチン、リビングルーム、プライベートサウナ、そして空に開かれたテラスが凝縮された「遊びのゾーン」として設計されています。窓のないファサードが外界を遮断しているからこそ、2階の空間は完全にプライベートです。誰かの視線を気にすることなく、時間を忘れて過ごすことができる解放感が、このフロア全体に満ちています。

階段を上がると空気が変わります。オリーブグリーンの左官壁が連続する廊下の先に、ダイニングキッチンが現れます。細長い縦窓からは外の光が差し込み、夜には外の暗闇とのコントラストが空間に奥行きをつくり出します。昼と夜で異なる表情を持つこのフロアは、時間の流れを楽しみながら過ごせる場として設計されています。
アーチがつなぐ、キッチンとリビングの豊かな関係

2階のダイニングキッチンに足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのが大きなアーチの開口です。オリーブグリーンの左官壁に穿たれた半円のアーチは、ダイニングキッチンとリビングルームを視覚的につなぎながら、ゆるやかにゾーンを分けるデザイン上のアクセントになっています。このアーチひとつが空間全体の印象を決定付けており、見る角度によって異なる表情を見せてくれます。

キッチンはセンターアイランド型で、幅の広いカウンタートップは調理の場であると同時にバーカウンターとしても機能します。ブラックのカウンタースツールが並ぶ様子は、まるでプライベートレストランのようです。シンクにはプロ仕様のスプリングノズル水栓が採用され、機能性と見た目のかっこよさを両立しています。左官仕上げのグレーとオリーブグリーンの組み合わせは、空間全体に品格と落ち着きをもたらしています。

テラスに面した引き違い窓からは、昼間の光がキッチン全体を明るく照らし、夜は照明の光がテラス越しに外の闇とコントラストをつくります。光の計画が精緻に設計されているからこそ、昼・夜どちらのシーンでも魅力的な空間が生まれています。
「おこもりリビング」という豊かな発明

ダイニングキッチンからアーチをくぐった先にあるリビングは、ひと際個性的な空間です。フロアレベルが一段下がっており、カーペット敷きの床が足元に広がる「おこもりリビング」として設計されています。段差のステップ部分はベンチとしても機能する構造で、ここに腰掛けてダイニング側と会話することができます。ソファを置かなくても、ステップに座ってゆったりと過ごせる——この空間は、家具の配置に縛られない自由な使い方を促しています。

壁沿いにはウォールナット材のローボードが設えられており、テレビを置いたり趣味のものを飾ったりと、住む人の個性で育てていける余白があります。天井はなだらかな勾配天井となっており、空間に包まれているような感覚と開放感が絶妙なバランスで共存しています。効率や機能よりも、いかに気持ちよく過ごせるかを最優先に考えたこのリビングは、忙しい日常をいったん手放して、ただ「いる」ことを楽しめる場所です。
プライベートサウナと水風呂バレルが生む、ととのいの体験

この住まいの最大の特徴のひとつが、2階に設けられたプライベートサウナです。サウナ室はフィンランド製の本格ストーブを中心に据えた仕様で、白木のベンチが段違いに組まれています。コーニス照明がベンチの輪郭をやわらかく照らし、壁面には温湿度計が埋め込まれており、室内の状態を常に把握しながらサウナを楽しめます。木の香りと間接光が包むこの空間は、日常から切り離された静かな時間を生み出します。

サウナと直結するテラスには、木製のバレル型水風呂が設置されています。天空に向かって開いたテラスで外気に触れながら水に沈む体験は、都市の住宅では到底得られないものです。サウナで身体を温め、水風呂でリセットし、外気の中でただ静かに整っていく——そのシークエンスが、すべてこのテラスの中で完結します。

テラス壁面にはシャワーも設けられており、サウナ→水風呂→外気浴というセットを途切れることなく体験できます。シャワーヘッドはブラックのデザイン仕様で、機能性と美しさを兼ね備えた選定です。植栽が置かれ、空が見え、二脚のチェアが並ぶテラスは、プライベートな小さなリゾートそのものです。
「ほどける」時間が、ここにある
サウナで整い、テラスで空を見上げ、おこもりリビングで好きな時間を過ごす。この家には、そういった「余白のある暮らし」を支えるための装置が、2階フロア全体に丁寧に散りばめられています。感性と知性がやわらかく遊べる場所、大人も子どもも心を解き放てる場所——物件タイトルである「童心が息づく、創造の余白」は、この2階のあり方そのものを指しているのかもしれません。日常の輪郭がゆっくりとほどけていく、そんな住まいがここにあります。