変動金利9割の日本が直面する現実 賃貸住宅オーナーが今すぐ備えるべき5つのこと
住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者調査(2026年1月調査)」によれば、購入時に利用した住宅ローンの金利タイプは「変動型」が75.0%、「固定期間選択型」が14.9%、「全期間固定型」が10.1%との結果で、「変動型」と「固定期間選択型」を合わせると約9割が金利変動の影響を受ける住宅ローンを利用していることとなります。政策金利が1%に達した今、この9割の借り手に実質的な影響が及ぶことは避けられません。賃貸住宅を経営するオーナーにとっても、他人事ではありません。投資用ローンを変動金利で組んでいる方も多く、返済額の増加がキャッシュフローに与える影響を正確に把握しておく必要があります。
①自分のローンの「金利タイプ」と「返済余力」を再確認する

最初にすべきことは、現在利用している投資用ローンの金利タイプを確認し、金利上昇シナリオ別の返済額をシミュレーションすることです。2024年5月から2026年5月の2年間で、住宅ローンの主要金利はそれぞれ「変動型」が+0.65%、「10年固定型」が+1.45%、「全期間固定型(フラット35)」が+0.88%上昇しました。この2年間の変化を自分の借入条件に当てはめ、月々の返済額がどれだけ変わるかを数字で把握しておくことが第一歩です。「なんとなく大丈夫だろう」という感覚的な判断ではなく、具体的な数字に基づいた確認が、収支悪化の早期発見につながります。
②家賃水準が周辺相場と乖離していないか点検する

返済コストが上がる局面では、収入サイドである家賃収入の最大化が重要になります。現在の入居者との契約家賃が、周辺の現在の相場と比べて低くなっていないかを定期的に確認する習慣が欠かせません。特に、数年前に入居者が決まり、そのまま更新を繰り返している場合、契約家賃が現在の相場を大幅に下回っているケースがあります。契約更新のタイミングは家賃の適正化を図る絶好の機会です。家賃上昇トレンドが続く現在の市場環境では、丁寧な説明と実績の提示を組み合わせることで、入居者の理解を得ながら家賃を引き上げられる可能性が高まっています。
③空室リスクを最小化する「入居者選び」の精度を上げる

金利上昇によって月々の返済額が増えた場合、空室が1カ月でも発生すると収支へのダメージが以前より大きくなります。入居者の審査基準や属性の見極めを丁寧に行い、長期入居が期待できる入居者を選ぶことが、空室リスクを最小化する最善策です。ファミリー層を対象とした戸建賃貸住宅は、子どもの学校区への配慮や生活拠点の安定を重視するため、入居期間が長くなる傾向があります。優良な入居者に長く住んでもらえる環境を整えることが、金利上昇に対する最も現実的なリスクヘッジです。
④修繕計画を前倒しで立て、突発コストに備える

金利上昇によってキャッシュフローが圧縮される時期に限って、設備の故障や修繕が重なると経営を直撃します。収支が安定している今のうちに、屋根・外壁・設備の状態を確認し、今後5〜10年の修繕見込み額を把握しておくことが重要です。高い断熱性・耐久性を備えた長期優良住宅は、建物の劣化が緩やかなぶん修繕タイミングを計画的に管理しやすく、突発的なコスト発生リスクを低く抑えられます。物件の品質に投資することは、将来の修繕コストを抑えるという意味でも、金利上昇に備えた合理的な選択です。
⑤「持ち続けられるか」を出口から逆算して確認する

今求められるのは「買えるか」ではなく「持ち続けられるか」の視点です。レバレッジより出口逆算の投資設計が重要になっています。金利が上昇する環境では、短期的な収支の改善だけでなく、10年・20年という長期スパンで物件を保有し続けられるかどうかを、売却時の想定価格も含めて逆算しておくことが不可欠です。売却を急ぐ必要がない収支構造を維持しながら、賃料収入を積み重ねていく戦略が、金利正常化の時代における賃貸経営の基本姿勢です。今一度、自分の物件の「持ち続ける理由」を数字と根拠で確認しておきましょう。
賃貸経営の基本に立ち返る
変動金利9割という構造は日本の住宅市場の特性であり、今すぐ変えられるものではありません。しかし、収支を正確に把握し、家賃を適正化し、良質な入居者に長く住んでもらえる物件を持つことは、今日から始められる備えです。金利が上がり続けるいまだからこそ、賃貸経営の基本に立ち返ることが、最も確かなリスク対策になります。