固定金利が過去最大級の上昇 賃貸需要が高まる「買えない時代」の不動産市場
2026年6月のフラット35の金利は3.21%と前月比0.5%の大幅上昇となり、固定金利は過去最大級の上昇を記録しています。「金利が上がれば住宅価格が下がるのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、現実はそう単純ではありません。新築マンションの販売価格は用地取得費と建築費などを積算して決定されており、現在は物価の上昇に伴いこれらのコストも引き上がっています。また、用地取得から実際に販売が始まるまでには2年以上の期間が開くため、今後数年間は相場が大きく変動する可能性は低いです。住宅は「買いたくても買えない」時代に入りつつあります。この状況が賃貸市場に与える影響と、戸建賃貸住宅オーナーにとって何を意味するかを整理します。
固定金利3%超えで「購入層」が「賃貸層」に転換する

住宅ローンの固定金利が3%を超えてくると、同じ物件でも月々の返済額は低金利時代と比べて大きく増加します。たとえば借入額3,000万円・35年ローンで比較すると、金利1%では月々約8.5万円の返済が、金利3%では約11.6万円まで跳ね上がります。購入を検討していた層がこの返済額の増加に二の足を踏み、賃貸を選び続けるという動きが広がります。都心部では賃貸住宅の家賃上昇も話題となっており、購入希望者にとっては「買う」メリットが相対的に高まっているものの、実際には価格と金利のダブルパンチで踏み出せない層が増えています。購入を諦めた層が賃貸市場に留まり続けることは、賃貸需要の底堅さをさらに強固にするという構造的な変化を生み出しています。
「買えない時代」が良質な賃貸住宅の価値を高める

住宅購入のハードルが上がれば上がるほど、賃貸住宅に求められる水準は上昇します。購入を断念した層、特にファミリー世帯は「どうせ賃貸に住み続けるなら、快適な家に住みたい」という意識が強まります。東京23区における新築戸建の平均希望売り出し価格は8,667万円に達しており、都心部では敷地や延床面積が広い高価格帯物件の供給が増え、相場全体を押し上げる動きが続いています。この価格水準では、共働き世帯でも購入に踏み切れないケースが増えており、代わりに広くて高品質な賃貸住宅への需要が拡大しています。広いLDK・高い断熱性・充実した収納といった住環境を備えた戸建賃貸住宅は、「買えないけれど妥協したくない」という層に最も響く選択肢です。
供給が少ないからこそ「オーナーが有利な市場」が続く

ファミリー向けの広い賃貸住宅への需要が高まる一方で、その供給は依然として少ない状況が続いています。日本では子どもを含む家族での生活に想定される70平方メートル以上の広さの賃貸物件は、東京23区では賃貸住宅全体の1割にも満たない状況です。需要が増えても供給が追いつかない状態が続くということは、良質な物件を持つオーナーが入居者の選択肢として有利な立場に立ち続けることを意味します。家賃水準の維持・向上も見込みやすく、空室リスクも低く抑えられます。固定金利の上昇で購入層が賃貸市場に留まり続けるこのタイミングは、既存の戸建賃貸オーナーにとっては安定した入居需要を確保しやすい環境が続くという意味で、追い風の局面と言えます。
「買えない時代」の不動産投資
固定金利の急騰と住宅価格の高止まりが重なる「買えない時代」は、賃貸市場にとってはむしろ需要拡大の局面です。購入を断念したファミリー層が良質な賃貸住宅を求め続けるなかで、高い住環境を提供できる戸建賃貸住宅の存在感はこれからも増し続けるでしょう。市場の変化を正確に読み、一歩先を行く賃貸経営を続けることが、長期的な資産形成の確かな柱になります。