斜めのラインが暮らしを導く。「上質な暮らし」を演出するツートーンの外観が印象的な1.5階建ての家
白とチャコールグレー、ふたつのボックスが寄り添うように建つ住まい。その白い壁面には、鋭く切り込まれた斜めのラインが走り、三角形に開いた玄関ポーチの奥に、木質の壁と黒いドアが静かに佇んでいます。高台の住宅地に建つこの家は、シンプルな箱型でありながら、たったひとつの「斜め」によって、他のどの家とも違う表情を獲得しています。外観の個性と暮らしやすさをどう両立させるか——その問いに対する明快な答えが、この住まいのデザインには詰まっています。
斜め壁が生み出す、動線美と視覚的な躍動感

この家の外観を特徴づけているのは、白い外壁に大胆に切り込まれた斜めの開口です。壁を斜めにカットしてつくられた玄関ポーチは、単なる意匠ではありません。斜めのラインが視線を自然に玄関へと引き込み、訪れる人を導く動線のデザインとして機能しています。

三角形に開かれたポーチの内側には、木目のアクセントパネルが張られ、無彩色の外壁との対比によって温かみが際立ちます。時間帯によって斜めの壁がつくる陰影は刻々と変化し、朝・昼・夕方とそれぞれ異なる表情を見せてくれます。ラインと陰影が動きと躍動感を生み、見た目の美しさだけでなく、暮らす家族にとっても日々の帰宅が少し特別に感じられる——そういう外観のデザインです。

白い1.5階建てのボリュームと、チャコールグレーの平屋ボリュームというツートーンの構成も、この家の外観に奥行きを与えています。高さと色の異なるふたつの箱が組み合わさることで、シンプルながらも単調にならない、彫刻的な佇まいが生まれています。
高台の敷地を読み解いた、配置計画

この住まいが建つのは、高低差のある高台の静穏な住宅地です。南東方向には美しい山並みを望む抜け感があり、北側と南面には隣家、西側には道路が接するという環境。設計は、この敷地条件を丁寧に読み解くところから始まっています。

最も眺望と陽当たりに恵まれた南東側に広々とした庭を配置し、そこにLDKをつなげる計画によって、住まい全体が自然と調和し、光と風を最大限に取り込めるようになっています。隣家からの視線が気になる方向には開口を絞り、抜けのある方向へ大きく開く——外に対する開き方と閉じ方のメリハリが、プライバシーと開放感を同時に実現しています。

視線を気にすることなく過ごせるLDKでは、キッチンに立ちながら家族の様子を眺め、庭で遊ぶ子どもたちを見守ることができます。BBQを楽しんだり、外遊びを思いっきりさせてあげたり——敷地全体を暮らしの舞台として使い切る発想が、この配置計画の核心にあります。
エントランスから覗く、光と景色

玄関に足を踏み入れると、正面のスリット窓から外の景色が目に飛び込んできます。エントランスから庭へと視線が抜けるこの設計は、玄関という閉じがちな空間に景色と自然光、そして風を効果的に取り入れる役割を果たしています。

土間はモルタル金ゴテ仕上げで、シンプルながらも上質な質感。壁一面に設けられたシューズクロークの収納は、木目の建具で美しく隠され、玄関まわりの生活感を抑えています。エントランスから直接庭へとスムーズにアクセスできる動線は、日々の利便性を高めるだけでなく、帰宅した瞬間に外とのつながりを感じさせてくれる仕掛けでもあります。
「上質な暮らし」を演出する大胆な外観
住まいの第一印象を決めるのは、外観と玄関です。この家は、斜めの壁という大胆なデザインで個性を放ちながら、その裏側に敷地を読み解いた合理的な配置計画と、暮らしやすさを支える動線設計を隠し持っています。デザインと機能がひとつに溶け合った住まいの好例として、この家は多くの示唆を与えてくれます。
後編:吹き抜けにネット遊具、ロフトに書斎。遊び心を暮らしの真ん中に置いた1.5階建てのLDKで「上質な暮らし」を(7月23日 公開予定)