ミラノデザインウィーク2026から読み解く、最新インテリアトレンド4つのキーワード

熱気に包まれたミラノデザインウィーク2026世界最大級のデザインの祭典「ミラノデザインウィーク2026(ミラノサローネ)」。第64回目を迎えた今年は、国際情勢の不安定さがありながらも、前年比4.5%増となる31万6342人もの来場者を記録し、大いなる熱気に包まれました。市内で開催されるフォーリサローネを含め、数え切れないほどの展示が行われた中で、これからのインテリアのヒントとなる「色」「形」「素材」「注目のアイテム」という4つのキーワードから、最新トレンドを紐解きます。

空間を彩るカラー「バーガンディ」×「イエロー」

MON-NID bed

今年の展示で多くの人の目を引いたのが、深みのある赤茶色「バーガンディ」と、鮮やかな「イエロー」を組み合わせたカラーコーディネートです。その代表格が、イタリアの名門ブランド「Cassina」の展示でした。パトリシア・ウルキオラのディレクションのもと、空間全体がバーガンディとイエローを基調にまとめられ、非常に没入感のあるイマーシブな演出がなされていました。また、カッシーナの展示では、この2色に加えて薄い水色を差し色として取り入れるという、非常に繊細で上品なカラーリングも提案されていました。これまでのアースカラーの落ち着いたトーンから一歩踏み出し、より鮮やかで気分を高揚させるような色彩が求められていることが窺えます。

フォルムは「柔らかな曲線」vs「凛としたミニマル」

Fiera Milano, Rho Kartell Salone del Mobile.Milano 2026

家具のフォルムについては、2つの対照的なトレンドが共存しています。一つは、コロナ禍以降継続している「有機的で柔らかな曲線」です。Cassinaが復刻したガエターノ・ペッシェによる「ダリラ」アームチェアや、「Kartell」が発表したバーバー・オズガビーによる「サボラ」など、包み込まれるような優しさと親しみやすさを感じさせるデザインが多数見られました。

一方で、その対極となる「凛としたミニマル」なフォルムも力強い存在感を放っています。イタリアのブランド「Minotti」が発表したハンネス・ピールの新作のように、シンプルでありながらも質量感があり、空間に心地よい緊張感をもたらすデザインです。

多様なライフスタイルに合わせて、寛ぎを求めるか、あるいは空間を引き締めるか、好みに応じてフォルムを選べる豊かな時代になっていると言えます。

思わず触れたくなるマテリアル「ふわっとした質感」

今年のミラノサローネでは、ジャンルやブランドを問わず「ふわっとした質感」を持つマテリアルが要所に取り入れられていたのも印象的でした。例えば「Yves Salomon」の展示では、フランク・ロイド・ライトの名作椅子に上質なミンクのファーが張られたり、ベッドにファーのスプレッドがかけられたりと、思わず手で触れたくなるようなリッチなテクスチャーが空間を彩っていました。

AIやデジタル技術が生活に浸透する中、反動として人間の五感に訴えかけるような「触り心地の良いリアルな素材」が、インテリアにおいてこれまで以上に重要な役割を担い始めています。

空間のアクセントとなる「屏風」と「大型スピーカー」

空間を構成するアイコニックなアイテムとして、今年は「屏風(パーテーション)」と「大型スピーカー」の躍進が目立ちました。

「Louis Vuitton」や「B&B Italia」、「PAOLA LENTI JAPAN」など、数多くのトップブランドが屏風を取り入れた展示を行っていました。コンパクトに折りたため、空間を緩やかに仕切りながらインパクトを出せる屏風は、現代の多様な住環境に非常にマッチしています。

また、大型スピーカーも、「Stone Island」や「カリモク家具」など、様々な展示で空間の主役として鎮座していました。音楽を楽しむだけでなく、インテリアを象徴するオブジェとして大型スピーカーを取り入れるスタイルは、今後の注目トレンドと言えるでしょう。

多様化するトレンドを暮らしに取り入れる

ミラノデザインウィーク2026で示されたトレンドは、単に「流行のスタイルを追う」というものではなく、素材の質感や色彩を通じて「自分自身の心をいかに豊かにするか」という本質的な問いかけを含んでいました。今回ご紹介した4つのキーワードをヒントに、ご自身の空間づくりに新しい風を取り入れてみてはいかがでしょうか。