建築家と住まい手の自由な発想が形になった、外を愉しむ平屋の住まい

長崎に建てられた、こちらの住まいは「こんな暮らしがしたい」を軸に、欲しいものだけを丁寧に選び取り、建築家と一緒につくり上げた一棟です。機能やデザインにとらわれすぎず、自分たちらしい心地よさを大切にした住まいは、どこか肩の力が抜けた、気持ちのいい空間になりました。

今回は「自由な発想が形になった、外を愉しむ平家の住まい」をご紹介します。

無駄を削ぎ落とした、潔い外観

シンプルで無駄のないフォルムは、建築家の視点だからこそ生まれた造形です。装飾に頼らず、構成と素材で魅せる外観は、ひと目で強く印象に残ります。あまり開口部のない壁面に、わずかに設けられた細長い窓が、空間への期待感をかき立てます。

外に対しては「閉じる」ことでプライバシーを確保し、内に入ると一転、外とつながるような開放感が広がっています。
静けさと温もりが交わる玄関
玄関は、住まいの第一印象をつくる場所です。この家では、白壁と黒い扉のコントラストで落ち着きを感じられます。

ベンチや飾り棚には、木のやわらかな素材感が添えられ、視覚的にも温かさが加わります。
季節の草花や小さなインテリアが、住人の心づかいをそっと伝える仕掛けに。

機能性を損なわず、余白を大切にしたデザインが心地よさをもたらしています。

玄関を入ってすぐ左手には、靴をたっぷりと収納できるスペースを確保しています。
日常的に使うものから季節の靴まで、すっきりと収められるのが特徴です。

見せたくないものは隠し、出し入れしやすさはそのままに。
靴だけでなく、傘ベビーカーなども整理できる設計で、家族のライフスタイルに寄り添う収納空間になっています。

緑と光が広がるリビング

リビングは、正方形の大きな窓から外の緑が視界に入り、広々とした室内に自然の気配を感じられます。

人工的な装飾を加えずとも、自然そのものがインテリアになるような設計です。ただ広いだけでなく「自然とつながっている」という感覚がこのリビングに、特別な開放感と癒しをもたらしています。

足元には、ぬくもりある木目のフローリング。素足でも心地よく、木の感触が暮らしにやさしく寄り添います。

自然を感じられる開放感あるダイニング

窓の外には、季節の移ろいを映す豊かな緑。室内にいても自然とのつながりを感じられる、心地よいダイニング空間です。

無垢材のテーブルとフローリングは、視覚的にも温かく、家族の会話が自然と生まれるような穏やかさを演出します。

奥にはリビングとつながるスクリーンのある空間が広がり・食事をする場所・くつろぐ場所・楽しむ場所が一体となった暮らしの中心になっています。

「日常」がいちばん心地よいと感じられる、そんな住まいです。

大きな窓があることで、どこにいても自然と外へ目が向きます。

建築家は、景色の切り取り方や窓の高さ・位置にまで細やかな配慮を重ね、住む人が自然と視線を外に向けてリラックスできる空間を生み出しました。

奥行きのある広々としたキッチンカウンター

暮らしの中で、いつも自然と人が集まる場所、それがこのキッチンです。ゆったりと伸びるカウンターは、料理をする手元と家族の視線がつながるように設計されています。

素材はグレーと木の組み合わせ。硬質さと温もりが同居するバランスが美しく、空間に落ち着いたリズムを生み出します。壁面にはオープン棚。見せる収納としてだけでなく、日々の道具が使いやすく整っていることが暮らしやすさにつながります。

壁面は、日常的に使う炊飯器や調理器具さえも、空間を彩るインテリアの一部として美しく収まっています。

ステンレスやセラミック、木など、素材感の異なるキッチンアイテムが並ぶ様子は、まるで静かな展示棚のよう。
見せる収納としての美しさと、すぐ手が届く使いやすさを両立させた設計が、暮らしに整ったリズムをもたらします。

お気に入りの道具をただ「しまい込む」のではなく、「見せて魅せる」。
そんな発想が活きるこの空間では、日常の動作がどこか豊かで、丁寧なものへと変わっていきます。

内と外をゆるやかにつなぐ、五角形のバルコニー

バルコニーの特徴は、五角形のかたちです。角度をずらしたその設計が、視線の抜けを生み、周囲の自然をより豊かに感じさせてくれます。まわりを囲むのは、季節ごとに表情を変える緑の風景。

窓を開ければ、リビングからそのまま緑の中へとつながるような感覚を味わえます。天気のいい日は椅子を出して、風を感じながら過ごす。雨の日は、屋根の下で音に耳を傾ける。このように、そのときの気分や自然の表情に合わせて使い方を変えられるのも、このバルコニーの魅力です。

建築家の視点で丁寧に切り取られた空の一部と、周囲の自然を感じることで、暮らしにそっと豊かさを添えてくれる場所となっています。

自由な発想が形になった、外を愉しむ住まい

住む方が本当に欲しいと思える要素だけを丁寧に選び取り、建築家と共につくり上げた住まい。既成のスタイルにとらわれず、自由な発想がそのまま空間として形になっています。

建築家はその想いに応えながら、光・風・緑など自然の要素をどう効果的に取り込むかを考え抜きました。開口部の位置や視線の抜け、動線計画に緩急をつけることで、開放感とプライバシーを両立する空間を実現しています。

大きな窓からは庭の緑や空の明るさが室内にやさしく広がり、まるで屋外にいるような感覚に。一方で、必要なところにはしっかりと「閉じる」工夫が施され、落ち着きと安心感もきちんと確保されています。

理想の暮らしを叶える家づくりの参考にしてみてはいかがでしょうか?