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美しい海岸線を望むル・コルビュジェの終の住処となった「カップ・マルタンの休暇小屋」

ル・コルビュジェが南フランスのカップマルタンに設けた小屋「カップ・マルタンの休暇小屋」通称「キャバノン」。目の前に地中海が全面に開ける絶景に建ち、コルビュジェは休暇の際にはここから海岸まで降りて水泳を楽しみました。キャバノンはコルビュジェが最期の時を過ごした地でもあります。今回はこちらの「カップ・マルタンの休暇小屋」をご紹介します。

ミニマルなつくりながらも世界遺産に登録された一軒

こちらの小屋は上野にある国立西洋美術館や後期の傑作「ラ・トューレット修道院」「ロンシャンの礼拝堂」、パリ郊外にある「サヴォア邸」などと共に世界遺産にも登録されています。小屋は外壁が丸太の背面貼りで内部はベニヤを使用しており、最低限の資材で構成されていることがわかります。

2人の滞在を想定したこちらの別荘を1つのモデルと考え、量産のためにプレハブ化を目指していた実験的な住宅であったともいわれています。

扉を開けて中に入るとまず通路が見え、その先の壁を右に曲がると8畳ほどの部屋があらわれます。

左がクローゼットでその向こうが玄関からの通路。赤いカーテンの奥は、最小のトイレスペース。

そしてベッドへと繋がるように配置されています。流れが感じられる家具配置により、小さな空間でも心地よく過ごせる豊かさがあるのです。

小さな窓から顔を出すと一面に広がる地中海。コルビュジエも毎朝この窓から顔を出して外の様子を眺めていたそうです。

キャバノンに併設する小さなアトリエ

キャバノンの隣には白と緑のカラーリングが目を引く小屋が。これはコルビュジエの小さなアトリエだった建築です。

枕木の上にぽんっと置いただけの簡易的な小屋ですが、そのシルエットもおもちゃのようで可愛らしい。

中には大きめな作業台が置いてあるだけのシンプルなつくり。リビエラ海岸を望む小さな窓が開けられています。

最期のときを過ごし、今もここに眠るコルビュジエ

海を愛したコルビュジエは、妻が亡くなった後もこの地を訪れて「カップ・マルタンの休暇小屋」と言われるキャバノンで過ごしました。77歳のときに近くの海で海水浴中に心臓発作で亡くなり、このキャバノンが終の住処となったのです。現在、コルビュジエはキャバノンを含めてこの海を眺める高台に、自身が妻イヴォンヌのために作ったお墓に2人で眠っています。

最小限の空間に密度の高いデザイン

ル・コルビュジエが自身と妻のために建てた「カップ・マルタンの休暇小屋(キャバノン)」には、最小限の空間に密度の高いデザインが実現されています。自然豊かな風景と大きくあたたかな海が広がるこの地では、シンプルな空間でこそそうした自然との共生を感じられるのかもしれませんね。

Cabanon – カップ・マルタンの休暇小屋(キャバノン)

開館時間:9:00~17:00
URL : http://capmoderne.com
住所:06190 Roquebrune-Cap-Martin, France

榎本綾

榎本綾

新しいものよりヴィンテージに惹かれます。

建築家は坂茂が好き。

casa cago

日本人に馴染みある6畳の組み合わせ

必要な部屋数でつくる家